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リドル・ハザード フラグを折ったら、もっと大変な事になりました(悪役が)。  作者: sirosugi
RCD4 2024 3月

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68 正しき道を通れ。正しき道は、ワニの口の中。

 ドキドキ迷路体験 (親目線)

 

 正しき道を通れ。正しき道は、ワニの口の中。

 シンプルな文面と共に、番号の書かれた5つの扉がその部屋にあった。

「1 14 9 3 99」

 扉にバラバラ数字が書かれていた。正しい扉を通るとゴールまで近道となっているらしい。

「ワニ口の中?」

「・・・どういうこと?」

 頭を捻って真剣に悩む2人を見守りながら、俺は肩でくつろぐエメルをなでた。

「ばうー。」

 この毛玉なら我先に飛び込んで、謎解きも何もなくなりそうだが、主であるリーフ君の様子を気だるげに見守っている。

 そうだねー、ときには黙って見守るのも大事だ。何より謎解きはもうこりごりだ。


 ホーリー少年と出会い、リーフ君を引き取ってから気づけば数か月が経ち、俺の生活はずいぶんと様変わりした。

 彼らと出会う前の自分は、見舞金と言う名の口止め料を得体のしれない組織からもらい、カウンセリングという名の尋問を受けながら、普段は家に引きこもり、気が向けば地域の人を手伝っていた。

 誰と話したとか、何をしていたとかは曖昧で、ただ生きているという感じだった。

 だから、あの日、目の前で転倒したホーリーを助けたのも、そう言った惰性の一つからだ。

(それが、まさかこんな生活になるなんてな。)

 転倒時に頭をうったホーリーは、しばらくはぼーとした様子だったが、その日の午後に、俺の過去を暴き、協力を求めてきた。俺はそれを拒絶したが、彼はあきらめなかった。

 未来の出来事を知ったという少年は、事件の被害者になるであろうリーフ君を、親元から引き離し、周囲の大人は彼女を保護した。自分は居合わせただけだが、ウッディリドルという男は、明らかに異常だった。かつて自分がまきこまれたリドル事件の関係者であることは疑いようがない。

 それでも未だに自分は、ホーリーや組織に詳しい話を聞こうとは思っていない。

 リーフ君を引き取ったのは、同情からだった。

 彼女の境遇は、俺が語るべきではない。だが、リドルに関わり、人生を狂わされた彼女を憐れに思い、いざという時は、どうにかしないといけない。そう思ったのは事実だ。独身で子育ての経験などなく、同居人のような生活であるが、そういった適度な距離感を提供してあげるべきと思った。

 そうやって始まった新生活が居心地が良かった。交友関係も広がり、表面上は社会復帰したとも思う。

 ホーリーは、リドルに関わる記憶を語らなくなり、リーフ君は笑顔でわがままを言うようになった。

 

「なんだ、ここにヒントが書いてあるのか。」

 頭を突き合わせるように謎解きに唸っている2人は気づいていないのか、謎解きの近くにはヒントが用意されていた。パネルで隠されたそれをひょいと持ち上げる。


 ヒント、目だったら4、鼻だったら9、口だったら?


「なるほど。」

 これはなかなかの難題だ。このヒントでも3択になるぐらいしか思いつかない。

「あっずるい。」

「・・・ラルフ。それは最後の手段。」

 ははは、大人はずるい生き物なんだよ。


 ちなみに、彼らは悩んだ末に、ホーリーが閃いて正解の扉を見つけていた。彼の発想力はなかなかなものだ。


 大人になって迷路というのは、ちょっと恥ずかしい。入ったときはそう思っていたが、気づけば、最近の技術はすごいなと自分も夢中になってしまった。

 それほど広くないはずのアトラクションのはずなのに、鏡とガラスによって無限に広がっているようにみえるし、グルグルと歩き回るせいで方向感覚が狂わされる。時折置いてあるワニのオブジェクトを頼りに進めば、なぜお腹を壊したか、どうやって助けるのかなどストーリーもちゃんとしており、続きが気になって先を急ぐ。

「あいた。」

 時々、先走ったリーフ君がガラスに顔を頭をぶつけたりしながら、やがては奥にある胃袋からアイテムを手に入れた。それをもって出口に向かえば景品をもらえるらしい。

「ここから帰るのか・・・。」

 ここまでですでに結構なボリュームだったが、出口までも結構な距離があるらしい。

「ああ、でもお疲れの人はこちらってなってますよ。」

 続く道にちょっとうんざりしていたら、ホーリーが目ざとく案内を見つけた。どうやら、帰り道は、直通とアトラクションの2種類のルートがあるらしい。

「バウ―。」

 よし、エメル。いい演技だ。

「エメルも疲れているようだから、僕は先に出ているよ。2人はゆっくり楽しんでくると言い。」

 はーいと元気に返事をしながら2人は、正規ルートらしき方向へと駆け出していった。存分に楽しんでくるといい。

「ばうー。」

「そうだな、ちょっと目が疲れた。」

 おじさんには、色々と眩しすぎて疲れた。彼らのように全力で楽しむのはさすがにきつい。


 ごん

「あいた。」

「り、リーフさん、大丈夫?」

 通路の向こうで元気に、衝突しているリーフ君とそれを心配するホーリー。その姿にちょっとだけ心配になるけど、彼らだって子どもではない。迷子になるなんてことはないだろう。

 と、我ながららしくない考えをしていることが、なんだかとても面白かった。




 アメリカな場所を舞台にしているのに、謎解きが日本語に寄ってしまった・・・。みなさんは分かりましたか?


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