TIPS 登場人物紹介④
***** 異界人 *****
◇プラ・エ・テラニス(迷宮群棲国)
・4人組の迷宮探索者
其れなりの手練れで、装備も立派な迷宮探索者のPT
加藤が緋色目のハグレを討伐後、新装備の代金を稼ぐ為に迷宮『古代人の魔窟』に籠っていた際に偶然顔を合わせた※130話
・奇特な新人PT
迷宮都市ベニスに在る狩人ギルドに最近加入した新人PT
緋色目のハグレを討伐後、魔術師ギルドの教育実習の手続きを待つ暇そうな加藤に声を掛け、迷宮『ガニ・ガルム』の探索に誘った※133話
初めて訪れた『ガニ・ガルム』では加藤と共にとある事件に巻き込まれ、結果20名近い迷宮探索者が死亡し、更には迷宮の一部が崩落する大惨事となった
その後、加藤に先導されて命辛々迷宮からの脱出に成功したものの、あれ程の惨事の直後にも拘わらず、帰還したベニスの町で平然と夕食を頬張る加藤を目の当たりにして恐れを抱き、彼のPTへの勧誘を断念した
・魔術師ギルドの門番Ⅰ
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部の正門を守る門番の一人
厳つい体躯の男で、無口なアホ面(加藤視点)
初めてギルドを訪れた加藤を威圧し、雑に門前払いした※131話
その為、加藤はこの男を非常に嫌っている
・魔術師ギルドの門番Ⅱ
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部を守る門番の一人
初めてギルドを訪れた加藤を門前払いにした
厳つい体躯を備えた彼は獣人であり、毛の生えた海豚の様な面構えをしている
また、獣人の言語だけでなく人族の言葉を流暢に操る上、イケボである
見た目に依らず冷静沈着な物腰であり、加藤の評価がもう一人の門番と比べて相対的に非常に高い
・魔術師ギルドの門番Ⅲ(獣人のお姉さん)
迷宮都市ベニスで暮らす獣人のお姉さん
獣人の門番とは従兄妹の間柄で、普段は洗濯屋で働く
日本人が獣人女性に対して想像するような可愛らしい要素は皆無で、女性でありながら従兄妹の門番に勝るとも劣らぬ屈強な体躯と自己主張の激しい乳房を誇る※137話
加藤が魔術師ギルドを訪れた際には、恋人に手酷くフラれて寝台から動かない従兄妹をぶちのめして深い眠りに就かせた後、ギルドに陳謝して代理の門番をしていた
若い人族にも拘らず自分を前にしても全く物怖じする事無く、また小柄ながら鍛え抜かれた加藤を見て、一目で彼を気に入る
・魔術師ギルドの受付嬢
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部の受付嬢
濃紺のロングヘアーに切れ長の目を備え、髪と同じ紺色の瞳の美女
鍔の広い銀灰色の三角帽を被り、同色のゆったりとしたローブを身に纏っている※132話 また、厚手の服のせいで余り目立たないが、抜群のスタイルを誇る
受付嬢でありながら彼女自身も非常に優れた魔術師であり、また殺意を漲らせた婆センパイと対峙しても一歩も引かない程に気性が激しく危険な弩級S女
表向き容姿端麗なとある下級貴族と恋仲であるが、実際はその他に三人の男性を身も心も完全に己の支配下に置いている
・リリィ=マグィストス=テオドラ(婆センパイ)
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部に棲む魔術師の老婆
また、嘗ての魔導の大家マグィストスの叡智と名を受け継ぐ魔術師
回復魔法を教わったビタに続く加藤の魔法の第二の師でもある
毛髪は年輪を感じさせる真っ白に染まり、皺くちゃの顔には巨大な鷲鼻、無駄に長い睫毛、そして不気味に輝くギョロ目の瞳は深い緑色である
頭部には鍔の広い銀灰色の三角帽を被り、身体には同色のゆったりとしたローブを纏っている
彼女は只の魔術師では無く、真なる魔女と謳われる異能存在の一人
故に生まれながらに魔に愛され、誰に教わる事無く魔力と戯れ、意のままに操る魔導の大天才である(彼女は幼い頃に精霊から魔法を教わったと思い込んでいるが、それは只の勘違いである)
しかしながらそんな事には一顧だにせず、己の生き様を貫き続けた女傑
元は大国エリスタルに属する田舎貴族の令嬢
幼い頃は屋敷で精霊と戯れ、その後は荒々しい喧嘩三昧の日々を送る
成長してからは恐るべき肉体改造を経て王都のプトリュードリア大学へと留学し、数々の浮名と伝説を残した
しかしとある事件を切っ掛けに王都から逃亡、大山脈を越えて辺境へと落ち延びた
辛くも辿り着いた辺境では生涯の伴侶と出逢って結婚、その後二児の母となり、一介の農婦として土と共に生きる事を思い定めた
その後、長い年月を経て夫と死別し、年老いて自前の農地を息子や孫に託して暇になった彼女は、慣れ親しんだ我が家を離れ、退屈凌ぎの魔法の研鑽と研究に没入する為に魔術師ギルドへ身柄を置く事を決意した
周囲の人々の彼女に対する評価は様々であるが、途轍もない天才魔術師であるのは概ねその見解が一致するところである
しかも精霊達に並外れて愛され、幼い頃より意思の疎通すら成し得た彼女は精霊魔法の使い手としても類い稀な素養を有している・・・但し、ある時を境に彼女は他の精霊魔術師とは異なり精霊達を蛇蝎の如く嫌っており、己に不用意に近付く精霊を独自に開発した魔法で悉く撲滅している
彼女は日、水、風、土の四大属性全てを使い熟すが、最も熟達しているのは土属性であり、野良仕事の傍ら数多くの魔法を独自開発して来た
特に彼女のオリジナル魔法である『肥沃の一握』(リリィ命名)は、古来より数多の魔術師達が実現を夢見て血道を上げるも、未だ実用化の目途すら覚束ない魔法の完成型である
そのお陰でリリィさん家の農地は、面積当たりの収穫量が凄まじい事になっている
また収穫に応じて土地を休ませる必要も無く、作付けした苗は害虫を物ともせず逞しく育ち、干ばつに強く病気も滅多にしない
しかし彼女は其の事を入念に隠匿している上、『肥沃の一握』を世の為人の為に伝播する気はサラサラ無い・・どころか息子や孫にすら厳格な緘口令を敷いている
勿論、年貢を搾取するベニスの役人共は賄賂と恐怖で以て完全に調教済みである
手塩に掛けた農地を手放し、凡庸で愚かな師(リリィ評)が女性を伴って逃げる様にベニスの町を去った後、刺激の無い退屈な日々に辟易し始めた彼女は、偶々要請が有った魔術師ギルドの指導教員の仕事を請け負う事にした
そして彼女は、魔法の教えを乞うべくギルドの門を叩いた加藤と出会う※133話
その時点で、魔術師ギルドで魔法を習い始めてから僅か4年目の出来事である
容姿が好みのタイプでは無かった為、当初は金だけ貰って適当に放り出そうと目論んでいた彼女だったが、加藤の常軌を逸した変人具合や、どれ程激しく罵倒し暴行を加えても素知らぬ顔で教えを乞うタフネスについ調子を狂わされてしまう
また、加藤が顔に似合わず指導に対して真摯に取り組み、また覚えも存外悪く無かった為、彼女は次第に熱心に魔法の指導を施す様になっていった
そんな折、彼女は加藤から剥き出しの逞しい臀部と共に独自魔法オリジナルである尻洗魔法『アスクリン』を披露される※148話
魔術師として駆け出しであるハズの加藤の『アスクリン』を目の当たりにした彼女は、その独自性と有用性に尋常ならざる衝撃を受け、その日の出来事は彼を己の真の弟子として認める契機となった
その後、彼女は魔術師ギルドに申請して、加藤を正式な弟子として迎え入れた(但し当の加藤に同意を得る事無く無断で)
その後、独創性に富み革新的な機能性を有する新魔法の情報開示と、その研鑽という実益を兼ねた素晴らしい退屈凌ぎを得た見返りとして、彼女は加藤に幾つかの秘蔵の魔法を授けた
但し、教えただけで身に付くか否かは今後の加藤次第である
加藤が迷宮都市ベニスを去った後、卓越した魔導の育成者として目覚めたような気がした彼女は、魔術師ギルドを通じて積極的に教え子を募り、その結果何名かの男子を弟子の候補として招き入れた(彼女の熱烈な要望と望外の幸運が重なり、今度は全員容姿端麗な美少年を勝ち取った)
しかし誰も彼もが指導と称した苛烈な仕打ちに直面して恐怖の余り逃亡するか、或いは短気過ぎるリリィの怒りの琴線に触れて叩き出される等した結果、新たな弟子候補達は3日も経たぬ内に全員彼女の前から姿を消した
・婆センパイの母
大国エリスタルに属する田舎貴族の正妻であり、リリィの実母
若い頃は近隣でも名高い器量を誇り、またリリィ程では無いものの大層お転婆で様々な伝説を残したらしい
幼い頃より異様な力を示すリリィを疎み遠ざける家族の中にあって、彼女だけはリリィ対しても他の子供達と分け隔て無く愛情を注いだ
何時しか頼りない夫に成り代わって実質的に領地の政務を取り仕切るようになった彼女は、持ち前の胆力と商才により領内の治安と財政を立て直し、領地運営を磐石なものとした
リリィの貴族時代の家族や知己の中で、辺境へと逃れた彼女の行く末を知る唯一の人物であり、生涯に渡り娘からの便りを密かに受け取っていた
・婆センパイの父
大国エリスタルに属する田舎貴族の領主であり、リリィの実父
幼い頃より異様な力を示すリリィを疎み、遠ざけた
また、淑女の身でありながら喧嘩に明け暮れるリリィを酷く叱る事もあったが、内心では彼女を非常に恐れていた
・婆センパイの実兄姉
大国エリスタルに属する田舎貴族の子女であり、リリィとは血を分けた兄姉
幼い頃より異様な力を示すリリィに対して薄気味悪いと遠ざけたり、見世物小屋の珍獣を眺める様な好奇の目を向けた
・婆センパイの家の医師や料理番
リリィの生家に仕える家中の者達
毎日喧嘩三昧の悪童ではあるが、豪放磊落で平民にも分け隔て無く接するリリィの事を好もしく思っている
成長したリリィが肉体改造への助力を請うた際には、持てる力で惜しみ無く彼女に力添えをした
・婆センパイの師匠
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部に所属していた魔術師
嘗ての魔導の大家マグィストスに連なる魔術師であり、三種の属性を操る希少かつ優秀な魔術師であったが、魔術師ギルドに加入したリリィと出会い、その人生を大きく踏み外す事になった
ギルドの要請により彼はリリィの師として任命されその身柄を預かったものの、弟子であるハズのリリィには既に魔術師としての実力でまるで歯が立たず、初顔合わせの際には散々に叩きのめされた挙句、逆に号泣して弟子に教えを乞う醜態を晒した
更には鄙びた老婆でありながら魔術師として凄まじい勢いで成長を続ける怪物に完全に置いて行かれた結果、数年も経った頃には身も心も荒れ果て、毎日酒浸りの生活に堕ちていた
そしてある時、彼はギルド禁制の魔法薬を偶然手に入れた事が切っ掛けで、リリィに対して魔術師としての矜持を賭けた乾坤一擲の魔法戦を挑んだ
彼はその際、状況に乗じて忌まわしい弟子を抹殺しようと試みたのだが、寝転がって鼻糞を穿りながら魔法書を読み耽る彼女に軽くあしらわれてしまい、遂に心が完全に折れてしまう
その後、彼は不倫した女と逃避行などと適当な方便をでっちあげ、憎くて恐ろしい弟子の悪夢に苛まれない安住の地を求めて、逃げる様に住み慣れたベニスを後にした※134話
・案内係の老婆
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部で雇われている広い建物の案内係
・魔術師の弟子達
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部で魔法を学ぶ魔術師見習い
推定年齢10歳未満の3名の子供で、貫頭衣のような粗末な衣服を身に纏っている
同じく魔術師見習いとなった加藤の目の先で、魔力を感じ取る鍛錬に励んでいた※137話
・魔術師ギルドの小間使い
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部で雇われている小間使い
水桶とモップのような道具を持った小男
吐瀉物や排泄物で汚れたギルドの地下室(加藤が魔力を探知する鍛錬をおこなった部屋)を清掃した
・婆センパイの知人
迷宮都市ベニスの歓楽街に棲む博打打ち
胡散臭さが青天井な外見をしている
その悪辣な腕前と性根で以って、多くの無辜の民を借金地獄へ叩き落として来た
ある日、ベニスの歓楽街の賭場で独り勝ちを続ける女の身包みを剥がすよう請われて勝負を仕掛けたものの、大熱狂の勝負の末に惜敗した事が切っ掛けで相手となったリリィと顔見知りとなる
それからはヒリ付く勝負を堪能する為、度々リリィと博打の卓を囲むようになった※142話
・婆センパイの舎弟達
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部に所属する魔術師
婆センパイことリリィに絶対服従の舎弟である 総勢7名
暴虐無人の化身の如き彼女が魔術師ギルドに出入りするようになって以来、崩壊したギルドの秩序を立て直す為に立ち上がった勇士達
しかし彼女を〆るべく隙を見て闇討ちを敢行したが敢え無く返り討ちに遭い、ボッコボコにぶちのめされて半殺しにされた挙句、全員身包みを全て剥がされた
更には彼等の家族や友人にも同様の恐怖と絶望をくれてやると脅された為、以後彼女への絶対服従を誓う事で辛うじて許しを得た
因みに彼等の尻にはリリィ謹製の従属の魔印(印紋)が刻まれている
・魔術師のおっさん
迷宮都市ベニスに在る魔術師ギルド支部に所属する魔術師
加藤が婆センパイに関する情報を収集した際、彼女を凶悪な魔物と評した※144話
・魔術師のおっさんⅡ
迷宮都市ベニスの高名な鍛冶師であるトト親方が雇った魔術師
異様にダンディーな外観をした壮年の男性で、熟練の日属性魔法の使い手
加藤の新たな得物を鍛え上げる際、炉の温度を魔法で引き上げる為に雇われた
トト親方とは旧知の仲である
・トト親方の弟子
迷宮都市ベニスの高名な鍛冶師であるトト親方の弟子の一人
中世ヨーロッパのペストマスクのような覆面を被り、耐火服のような衣服で身を固めている
加藤の新たな得物を鍛え上げる際、炉の番を務めた
・トト親方の弟子Ⅱ
迷宮都市ベニスの高名な鍛冶師であるトト親方の弟子の一人
色白で巨大な鼻の小男であり、親方と同じトワーフ族
トト親方の血縁であり、小坊主とは兄弟弟子でもある
普段は非常に寡黙な為、それまで加藤とはあまり接点が無かったが、彼の新たな得物を鍛え上げる際に偶然顔馴染みとなった
人族でありながら、鍛冶師として自分の先を行く小坊主に激しく嫉妬している
・打ち子の男達
迷宮都市ベニスの高名な鍛冶師であるトト親方が雇った2名の打ち子
身長は2m程も有り、筋骨隆々な体躯で肌は暗い土器色である
また、起立した状態でも指が床に付く程巨大な腕を持ち、灼熱の炉の前にも拘わらず上半身は素肌に獣皮を巻いただけの軽装でも平然としている
彼等は人族とは異なる大山脈の奥地で暮らす少数種族の一員であり、加藤の新たな得物を鍛える際に雇われた職人である
彼等の種族の多くの者は近年では収穫を終えると山を降り、人族の町で土木作業や建築現場の日雇い労働者として働く様になった
但し二人は技能を身に付けた職人であり、大山脈では無く迷宮群棲国で暮らしている
・高ランク狩人PTの遠征隊
迷宮都市ベニスに在る狩人ギルド支部に所属する高ランク狩人の混成PT
2から3級狩人PT 総勢6組30名から成る大規模な遠征隊である
彼等は超危険地帯である魔物領域に存在する迷宮の中では比較的世間に名が知られており、また過去の探索の情報が有る迷宮『常闇の枝』に挑んだ
事前の入念な下準備の甲斐もあってか迷宮の探索は思いの外順調に進み、予定していた階層まで足を踏み入れた彼等は、朽ち掛けた広い玄室の内部で数多くの魔法の武具を発掘する事に成功した
その後無事迷宮から脱出し、意気揚々と帰還の途に就いた彼等だったのだが、その途上で魔物領域の凶悪な魔物に急襲される事になった
その結果、辛うじてベニスに辿り着いた僅か3名を除き、遠征隊の面々は全員魔物に喰い殺された
また辛うじて生還した3名のうち、1名はその際の酷い怪我が原因で合併症を引き起こし、その後間も無く死亡した
・好事家の貴族
大国エリスタルの有力な貴族の一員
嘗て名門プトリュードリア大学の前身である大図書館を設立した
・リリィ(婆センパイ)の同級生
猛勉強の末、名門プトリュードリア大学への入学を果たした下級貴族の令嬢
入学の式典の際、浮かれて上級生への挨拶を怠った為、彼女等に目を付けられて人気の無い場所に連行される
しかしその後、一緒に連行されたリリィが泣き喚く上級生を情け容赦無く殴打する光景を目の当たりにして恐怖に駆られ、彼女と距離を置く様になった
・リリィ(婆センパイ)の上級生
リリィが通う名門プトリュードリア大学の上級生
入学初日から恐ろしく太々しい態度のリリィに目を付け、人気の無い場所に連れ出して苛烈な暴行(但し彼女達基準で)を加えた
しかし田舎の山オブタッド扱いした事がトリガーとなり、怒ったリリィにボコボコにぶちのめされ、垂れ流された糞尿と吐瀉物の海に沈む悲惨な結末を迎えた
幸い、大学お抱えの治癒師と高級ポーションによる治療のお陰で身体に後遺症や外傷は残らなかったものの、その後は全員重いPTSDを患った
・リリィ(婆センパイ)の後輩
リリィが通う名門プトリュードリア大学の後輩
王都の下級貴族の令嬢であり、リリィとは何度か面識がある程度の仲である
ある日、彼女は目の前に突如現れたマリシュ・メル魔法学院の魔術師を名乗る男に人気の無い場所へ連れ込まれ、リリィへの取次ぎを命じられる
その後、命令を拒絶した彼女に激しい暴力を振るった自称魔術師をリリィが叩き伏せた事を切っ掛けに、リリィに恋焦がれる様になった
・マリシュ・メル魔法学院の魔術師
世に名高いマリシュ・メル魔法学院で将来有望な魔術師の雛を勧誘する任に就く魔術師
整ってはいるが線の細い神経質そうな顔立ちの男で、魔法学院のシンボルである紋章の刺繍が入った暗灰色の外套を身に纏っている
その性格は非常に驕慢であり、魔術師以外の人間を劣等種と見下す極度の差別主義者でもある
魔術師のスカウトマンとしては明らかに不適格なのだが、魔法学院で長く指導者を務める親のコネで今の業務に捻じ込まれた
ある日、魔法の講義の要請を受けてプトリュードリア大学に出向していた学院の講師からの火急の報せと依頼を受け、学院は急遽最も近場に滞在していた彼をある一人の女学生の勧誘に向かわせた
ところが、強引な勧誘の過程で女学生を激怒させた彼は一撃で叩きのめされ、以後学院の魔術師は二度と彼女と接触する事が叶わなかった
マリシュ・メル魔法学院の当時の学院長は、後にこの時の軽挙を生涯後悔する事になった
・モニカ
リリィが通う名門プトリュードリア大学の学生で、リリィの悪友の一人
顔立ちは恐ろしく整っており、髪と瞳の色は翠色であるが、それらは魔法による偽装であり、本来の髪色は青みがかった金色で、瞳は深い冷青色の特異な光彩を湛える
リリィは彼女の事をエリスタルの王族に連なる一等貴族の令嬢・・程度に考えていたが、実はエリスタルで最も貴い青き血を受け継ぐエリスタルの第六王女である
王宮において、上級貴族御用達の王立学院には見向きもせずプトリュードリア大学に通い続ける彼女は超変人と見做されているが、その主な理由はリリィの存在である
彼女は常日頃からその美しい顔に艶然とした微笑みを浮かべており、一見すると冷静沈着な人となりに見える
しかしその胸の内には煮え滾る恐るべき情念を秘めていた・・主にリリィに向けて
プトリュードリアに在学中、彼女はリリィともう一人の悪友と共に馬鹿げた数の事件に巻き込まれ、時には周囲を盛大に巻き込みつつ全てを捻じ伏せた
それは王宮での窮屈な生き方に耐えかねた彼女にとって、正に夢の様な時間であった
しかしそんな蜜月な日々は、唐突に終わりを迎える
想い人であるリリィが逐電したとの一報を受けた瞬間、彼女の髪は身体から迸る魔力で全て逆立ち、報告を齎した世話役は恐怖の余り失禁して気を失ったと噂される
その後、彼女はリリィの行方を血眼になって捜索したものの、さしもの彼女も遥か辺境まで捜索の手を伸ばす事は困難であり、其の消息を掴むことは遂に叶わなかった
そして想い人を失った彼女の怒りは凄まじく、彼女はリリィの出奔の元凶となった大貴族の当主とその正妻を含め、彼等の主だった血縁者を10年もの歳月を費やして皆殺しにした
・リリィ(婆センパイ)の悪友
リリィが通う名門プトリュードリア大学の学生で、リリィの悪友の一人
彼女は特異な獣人の血を受け継いでおり、人間離れした身体能力と膂力を誇る
リリィが出奔した後、大学を卒業した彼女はエリスタルの騎士団へと入団し、その後見事騎士の試練を耐え抜いて真の騎士となった
其れからの彼女は戦場で数々の武功を挙げ、騎士団の英雄として名を馳せた
彼女はモニカの復讐への協力には余り乗り気では無かったが、下手を打てば激昂した彼女に自分も殺害されかねないと悟り、渋々手を貸す事を了承した
其れから長い時が経ち、さしもの彼女も老いには勝てず、多くの人々に惜しまれつつ病により此の世を去った
臨終の間際、彼女は見舞いに訪れた長年の親友であるモニカに向けて、何故か晴れやかな笑顔で謝罪の言葉を口にしている
その数日前に、今迄彼女と接点が無かった筈の魔術師ギルドから一通の封書が持ち込まれた件も併せて、その謎めいた言動は様々な憶測を呼んだ
・リリィ(婆センパイ)の担当教員
プトリュードリア大学に在籍するリリィの担当教員
余りに破天荒過ぎるリリィの成績と実績を前に、妥当な評価を下せず頭を抱える
・リリィ(婆センパイ)の恋人
王国でも有数の大貴族に仕える剣術指南役
出自は下級貴族にも拘らず、その端整な顔立ちと涼やかな貴公子然とした佇まいは、王族もかくやという程に見目麗しい
リリィとは恋仲の間柄であったが、己が仕える当主の正妻に強引に迫られ不義を結んだ事で、リリィがエリスタルを出奔する原因となってしまった
・大貴族の当主
大国エリスタルの有力な貴族の当主
正妻を溺愛しており、大貴族の当主としては非常に珍しく、正妻の他に夫人や妾の類を一人も迎える事が無かった
夫人のリリィに対する告発を受けて激怒し、リリィに凄腕の暗殺者を差し向けた
後に彼は復讐に燃えるモニカの手により暗殺された
・大貴族の正妻
大国エリスタルの有力な貴族の正妻
かねてより目を掛けていた剣術指南役をリリィに奪われたが、己の権力を最大限利用して強引に奪い返した 勿論相手は夫では無いので、絶賛不倫である
ところが後にリリィから届いた手紙に目を通した彼女は、お下がりは貴方に差し上げると宣告されたと曲解して怒り狂い、公衆の面前で彼女を激しく糾弾した
その一連の出来事は夫である当主のリリィに対する激しい怒りを買い、彼女がエリスタルから出奔する元凶となった
後に彼女は復讐に燃えるモニカの手により惨殺された
・商人ギルドの代理人
リリィの危機に際して傘下の凄腕狩人PT『顎鬚』を手配した
・狩人PT『顎鬚』
商人ギルド傘下の組織である狩人の一団に所属する凄腕PT
構成員は八名から成り、その中には顎鬚が無い二名の女性も含まれる
彼等はかの探索者ギルドの大反乱に連合軍側で参戦し、未だに悪夢として語り継がれる『終末の会戦』から生き延びた数少ない古強者である
命の危機を察してエリスタルの王都を出奔したリリィを護衛し、PTが半壊する程の被害を出しつつも無事彼女を大山脈の麓に在る町まで送り届けた
①顎鬚のバルバ
PT『顎鬚』の頭目であり創立者
屈強な体躯を誇る壮年の戦士で、顎には黒々とした堂々たる髭を蓄えている
得物は鉄塊の如き豪剣
見える範囲だけでもその身体には大小様々な古傷が刻み込まれており、歴戦の戦士の風格を全身から漂わせている※閑話7 後
②斥候の女性団員
PT『顎鬚』の斥候
黒髪に茶色の瞳を持つ美しい女性
遥か東方に住むと噂される、ソリズ・オルトスの民の血を色濃く受け継ぐ
王都からの逃避行の間、何くれとリリィの身の回りの世話をする
追手の暗殺者集団との戦闘で死亡
③ロブ
PT『顎鬚』の戦士
『顎鬚』に加入してから未だ1年程しか経っていない新米戦士
追手の暗殺者集団との戦闘で死亡した
・暗殺者集団Ⅰ
エリスタルの王都ではそれなりに名の知れた暗殺者集団
懸想した相手をリリィに奪われたと勘違いしたとある貴族の女性が雇い入れた
リリィを拉致してアースティルの大聖堂の一室に閉じ込めた
しかしリリィの起死回生の精霊魔法により崩壊する大聖堂の瓦礫に潰されて、雇い主と共に全員死亡した
・暗殺者集団Ⅱ
リリィを殺害する為にエリスタルの大貴族に雇われた凄腕の暗殺者集団
危機を察して王都を離れたリリィ達を追跡し、彼女の護衛である『顎鬚』と死闘を繰り広げた
彼等の半数は『顎鬚』の手によって惨殺され、生き残りはリリィの精霊魔法によって無残にも焼死した
・リリィ(婆センパイ)の旦那
エリスタルを出奔し、辺境へと落ち延びたリリィと結ばれた農夫
農夫として非常に優秀で、常日頃から近隣の農家から頼られ、慕われる男である
迷宮都市ベニスに辿り着いたリリィと出会い、彼女に見初められた結果、程無く彼女に完全に魅了され、怒涛の勢いで結婚する運びとなった
その後は長い時を家族と共に穏やかに過ごすも、流行り病であっさりと他界した




