065、3人でケーキです
やっと、来れました。ケーキ屋さん!さっきまでお姉様方とケーキ食べてたよね?という突っ込みは聞きません!美味しいものはいくらでも入るのです!おいしいは罪!
「リシュー、私、苺タルトとガトーショコラがいい!」
「さっき食べたのにまだ食べるんだ……」
「リシューだって食べるくせに!」
「勿論」
リシューも私と同じくケーキを2種類選ぶ。このケーキ好きめ。
今日来ているケーキ屋さんはいつものケーキ屋さん。種類は結構食べつくしたけれど、何回も来たいと思えるほどここのケーキ屋さんが好き。店員のお姉さんも優しいし。
「ソファアは何にする?」
「うーん。私は苺のショートケーキかな」
ふむふむ。苺のショートケーキは美味しいのでおすすめですよ。あれ、でも、
「1つでいいの?」
せっかくのリシューの奢りなんだからいっぱい食べたらいいのに。もしかして遠慮してる?
「うん、流石に2人みたいに沢山は入らないから。逆に2人はよく入るね。さっきまで食べてたんじゃなかったの?」
「ふふん!小さい頃から沢山ケーキ食べて鍛えているからね!」
「……修行かな?」
ソフィアの冷静な突っ込み頂きました。でも、確かにケーキってそう何個も入るものじゃないよね?私とリシューがおかしいのかな?でもいいんだ。ケーキは美味しいから。
「飲み物は何にする?シルフィーはココアだよね」
「うん。ソフィアは?」
「そうね…、コーヒーにしようかな」
こ、こーひー……。おとな?!
私が驚愕していた事に気付いたのか、リシューが呆れた目線を向けてくる。
「わ、私も!」
「却下。シルフィー、コーヒー飲めるの?」
私もコーヒーにしようとしたけれど、リシューに即座に否定された。
「飲めない…」
「じゃあ、ココアにしておこうね」
「はーい……」
アル様もいつもコーヒー飲んでるから、私もコーヒー飲めるようになりたいな。でも、あの苦みがどうしても…。カフェ・オレくらいなら何とかなるんだけど。
そんな私達のやりとりを見ていたソフィアは、笑いながら私達に目を向けた。
「シルフィー、ケーキの時にコーヒーを飲むのはね。ケーキが甘いからよ」
ソフィアが諭すように私に話しかけた。
「ケーキが甘いから?」
何を当然の事を言っているのだろうか。ケーキは甘くて当然だよね?だってケーキだもん。
「あのね。普通は、ケーキを食べながらココアを飲むのは、美味しいとは思うけれど、胸焼けがするものよ?」
「ふぇー」
そうなんだ。そういうものなんだ。ソフィアの言葉は結構実感がこもっているからもしかして経験者かな?
「なるほど」
「だから、私はケーキ2つにココアを飲めるシルフィーを心底尊敬するわ」
……あれ、これは褒められているのだろうか?喜んでいいのだろうか?
頭にはてなを浮かべた私を無視して、ソフィアはリシューと一緒に注文を済ませてしまった。
二人とも冷たい……。もっと優しくしてくれてもいいんだよ?リシューなんて「大丈夫、ケーキが来たら機嫌が戻るから」ってソフィアに言ってる。失礼だよね?もっと拗ねるよ?
「お待たせしました」
店員のお姉さんが飲み物3つとケーキ5つを持って来てくれる。
「ふわぁ!ケーキ!美味しそう!」
ここのケーキは何度食べても本当に美味しい。すっかり私の機嫌はご機嫌。リシューがソフィアに「ほらね。治った」とか言ってるけど、聞こえないもん。
「ふわぁ…」
おいしい。おいしい。どうしよう。おいしいしかでてこない。ここのケーキってなんでか分からないけど、一層幸せな気持ちになれるんだよね。不思議な事に。
「本当においしい…!」
ソフィアもびっくりしている。目を見開くくらい美味しいみたい。連れてきたかいがあるね!こっちも嬉しくなってくる。リシューなんか、特に何も言わないけど、周りに花を飛ばしている幻覚が見える。すっごくご機嫌な証。
3人で思わずほわほわした雰囲気になる。幸せ。
余談だが、この3人は皆美形。その3人が幸せそうな表情でケーキを食べているとどうだろう。どうしても周りの目を引く。誰だってそんなケーキを食べたいと思うだろう。シルフィー達が知らない間に、シルフィー達は客寄せパンダのようになっていた。気が付けば、お店は人がいっぱい。しかし、シルフィー達は「3時のおやつの時間だから人がいっぱいだなぁ」としか思っていなかった。
「おいしい…、あと3つは食べれそう…」
「本当に…」
「えーと、流石に3つは…」
私の言葉にリシューは同意してくれるけれど、ソフィアは冷静に返されてしまった。流石に食べませんよ?太るから。
それにしても、とリシューが言葉を続ける。
その言葉で私もソフィアもほわほわした雰囲気から現実の戻ってくる。
「ソフィアは頭いいんだね。シルフィーより頭がいいなんて驚いた」
「あー、うん。何となく勉強得意で…」
何だか歯切れが悪い?それにしても、何となく勉強得意って私も言ってみたい…。私は前世の記憶があったらなんとかついていけていたけれど、得意ってわけじゃないもんね。
「私としてはシルフィーが頭がいいのにも驚いたよ。何となく勉強できなさそうなイメージあったから」
え、ソフィア?!出会って数時間でもう私の事を理解しているの?!しかも遠慮もなくなってきている?!
「あー、分かる」
え、分かる?!リシューはそんなに私の事馬鹿だと思っていたの?!
やっぱりこの二人いい性格してるぅ…。
この場にアル様を召喚したいな。そうすればアル様は私の味方をしてくれると思うから。たぶん!
「「「ごちそうさまでした」」」
大変美味しかったです。3人でほわほわしながらごちそうさまをする。
またアル様とも来たいなぁ。
「あ、シルフィー。今アルにぃの事考えたでしょ?」
「え?!」
何で分かったの?!もしかしてリシューもエスパー?!
……何となくリシューとの距離をとってソフィアの方による。だって、心読まれそうだもん。
「ふふ、心は読めないよ」
え、ほんと?ほんとに心読めない?心「は」読めないっていうのがまた不安なんだよなぁ。心以外なら読めるみたい。……読めないよね?
「シルフィーが分かりやすいだけだよ」
「むぅ」
心外な。私はこれでも前世では何を考えているか分からないって言われてたんだよ?
「顔に出てる」
何ですと!悪いのはこの顔か!私の顔め!
「ソフィア、リシューが……」
私、そんなに分かりやすくないよね?しっかりしてるよね?
「うん、大丈夫だよ」
「ソフィア…!」
ソフィアは私の味方だと思ってた!だよね、私は大丈夫だよね。しっかりしてて、分かりにくいよね?リシューが私とずっと一緒に居たから何となくわかるってだけだよね。
「分かりやすい所もシルフィーの可愛さだから」
……!まさかの裏切り?!褒められているのに褒められている気がしない!…あれ、褒められてる?わかんない!
ソフィアは私の味方では無かった…。
本当にアル様に会いたい…。もっと私に優しくしてくれる人に会いたい…。
もし、少しでもこの小説をいいなぁって感じたら、☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらてると、すっごく嬉しいです!




