051、作戦は失敗しました
誤字修正しました!
皆さん報告いつもありがとうございます!
……気をつけているんですけれど、何故かいつも誤字してしまいます。
これからもお願いします!
「ふにゅう~」
アル様の胸に顔を埋めると私の大好きな匂いがする。思わずふにゃふにゃになっちゃいそう。というかなっている。
「よしよし」
って頭を撫でてくれる手もいつもと変わらず優しい。
「アルさま、すきぃ」
そういうと、アル様はより一層力強く私を抱きしめてくれた。ふふ。幸せ。
今はアル様にお呼ばれしてお城です。最近めっきり会えていなかったし、この間は私が桜に夢中だったから、あんまりお話出来なかった。だから、私は今、アル様にべっちゃりとくっついています。
あ、廊下とかじゃないよ?ちゃんとアル様のお部屋。……って本来ならその方がまずいんだけれどね。アル様は15歳、私は10歳。未婚の男女が部屋に二人きり。でも、周りは何も言わない。言っても「仲がいいですね!」って微笑ましい目で見てくるくらい。あと、何故か時々アル様は男性陣に尊敬する目や、信じられないものを見る目、気の毒そうな目を向けられている。私はそれがよくわからなくて、アル様に聞いたけれど、「皆、私の忍耐力を褒めてくれているんだよ」って言う。よく分からない。
「あるさま、もっとぎゅーってして?」
私は今、甘々モードなのです。私は今、ソファに座っているアル様の膝の上にアル様の方を向いて座っています。
アル様は「耐えるんだ……」って小声で言っているけれど、何を耐えているのだろうか。でも私を抱きしめる手は全然緩まないので、私を抱きしめてくれるのは嫌じゃないって事だと思う。
「私もアル様をぎゅーってしてあげます」
私も一層強くアル様を抱きしめる。どうしてアル様といるとこんなに落ち着くんだろう。分からない。でも、私にとっては一番に安心できる相手ってアル様だと思う。アル様が私のお兄様になってくれたらそれこそ毎日一緒に居られるのに。
え、兄妹は結婚できない?別にいいんじゃないかな。だって、結婚なんてしなくても私がどこかへお嫁に行くまでは一緒に居られるし。それにこんな甘えられるのは子どものうちだもん。
「可愛いなぁ。好きだよ」
「むぅ。私の方がアル様の事すきだもん!」
「そうかなぁ」
「そうです!私はだいすきです!」
「じゃあ私は大大好き」
「なら私はもっともっともーっと大好きです!」
こんな何気ない会話もとっても幸せ。……後で冷静になって振り返ると、ただのバカップルだよね。
でもね、今日の私は一味違うのです。いつも、アル様は、私を抱きしめて「あぁ~、癒される……」って言っている。という事はアル様はおつかれのはず!という事はアル様にはもっと、もっと癒しが必要!……のはず!
だから、今日は私がアル様をもっともっと癒してあげるのです。名付けて、『アル様を癒そう大作戦!』
実はこれ、私一人で考えたものじゃないのです!協力者はなんと私のお兄様!お兄様に、「お疲れの人に何をしてあげたら喜んでくれますか?」って聞いたら色々アドバイスをくれました。でも「ありがとうございます!アル様にしてみます!」って言ったら慌ててた。何でだろう?
という訳で、作戦開始!
私はアル様の腕の中から抜け出し、アル様をまたぐ形で膝立ちになる。
「はい!」
そしてそこで両手を広げてアル様に差し出す。
「??」
「あのね、いつも私が甘えてばっかりだから、アル様も甘えていいですよ!」
今までは私がアル様に抱きしめてもらう形だった。身長の関係から仕方がないことだけどね。だから今日は私がアル様を抱きしめてあげるのです!
でも、やっぱり私が小さすぎて、アル様と私の頭が同じ高さにある。……つまり、いつもとあまり変化なし!
それでもアル様は優しいから、「ふふ、ありがとう。」って私を抱きしめる。……やっぱりいつもと変わらない!多分これ、私が癒されて終わるやつだ!
作戦失敗!
よし、次の作戦!
膝枕!でも、ソファだと、アル様の足が出ちゃうから、移動です!
「アル様、こっち来て!」
「どこに行くの?」
「お布団!」
「え?」
私とアル様は、アル様もお布団の上にのぼる。
「どうしたの眠たくなった??」
違います!私もうそんなに子どもじゃないです!お昼寝はもう必要ありません!
「はい、アル様ここに寝転んで?」
私はアル様のお布団の上に正座をして、膝をたたく。
「えーっと…?」
「膝枕です!」
「!!!」
でも、アル様は固まったまま、中々私の膝に頭をのせてくれない。
「シルフィーの事だから煽っている訳では無いと分かっているけど。純粋な気持ちでしてくれていると分かっているけれど!」
「?」
気が付くと私は天井を見上げていた。
「あれ?」
何故?アル様が私を上から覗き込んでいる。え、これって押し倒されている?!
「あ、あの…?」
「……私を、甘やかしてくれるんでしょ?」
な、なんか目が怖い!!捕食者の目をしているーー!!!
「ア、アル様。おこってる…?」
「怒ってないよ?寧ろどうやって甘えようか考えている所」
「嫌な予感しかしないのですが……」
「そう?当たらないといいね、その予感」
ほ、本能が逃げろって言ってる!逃げていいですか??膝枕がだめだったの?!
でも、私の両手はアル様にしっかりと捕まえられていて逃げられない。あろうことか、両手とも恋人繋ぎ。
「逃げたらだめだよ?」
「は、はい!」
うぅ。逃げたくても逃げられないよ!!
「ふふ。慌てているシルフィーも可愛いね」
この状況で言われても嬉しくない!!しかも、なんかいつものアル様と違う。こんな意地悪なアル様知らない。
「なに考えているの?」
「ふにゃあ!」
なのに、アル様はあろうことか、私の頬にキスを落としてきた。頬だけじゃない。おでこにも、首筋にも!
「~~っ!」
これはやばい!こんな事今までされたことないのに!アル様のロリコン!!
「シルフィー、今失礼な事考えた…?」
「ひぇっ!」
え、えすぱー!
ふぇーーっ、泣きそう!!だって、笑顔が笑ってないもん!
私が本気で泣きそうな事に気が付いたのか、アル様はクスクスと笑いながら私を抱きしめて、そのまま布団に横になった。
「私はね、いつも通り可愛いシルフィーが私の名前を呼んでくれるだけで十分幸せなんだよ?」
「……でも、」
アル様に何かしてあげたいのに。
「シルフィーは私とぼーっとするの嫌い?」
「ううん。すき。アル様とぎゅーってするのすき。」
「んん゛っ!そ、そういう所だよ……。いや、もう何を言ってもシルフィーの可愛さはどうにもならないな。私が我慢すればいいだけの事だ。……あと5年。頑張れ、私。」
「?」
『アル様を癒そう大作戦!』は失敗に終わりました……。まだまだ作戦は用意していたのに。癒すのって難しいね。結局私はいつも通りでいればいいみたい。
いつも通りでいいと分かったから、いつも通り、アル様にべちゃーっとくっついている。
「ふにゅ~……」
ついでに、いつも通りのアル様のなでなでつき。
「ところで、この作戦は誰と話し合ったの?」
「ふぇ?」
「どう考えてもシルフィーだけだと思いつかないでしょう?膝枕とか」
……それって、私を考えなしと馬鹿にしていますか?!私だって膝枕くらい思いつきますよ?!……今回は思いつかなかったけれど。
「……お兄様です」
「そっか」
「……?」
それだけですか?なんかアル様黒い笑顔を浮かべていますが、それは誰に対してですか??…私に向けてじゃないですよね?
でも、本当はもっともっと作戦用意していたのに、2個しか試せなかった。残念。いずれ試せるといいな。




