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シルフィーは悪役令嬢ですが、何故か溺愛されてます  作者: ちぇしゃ
第3章

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047、学園を探検します


 私達がケーキを食べ終わった所で、お兄様とお姉様の臨時の休憩時間が終わってしまった。だから、私とリシューは喫茶店を出て再び学園祭を探検しています。





 やっぱり『学園祭』って言う雰囲気は楽しい。だって生徒さん達もきっといつも以上に輝いている。さっきのカフェでケーキを作っていた人みたいに、普段発揮できない自分の得意な事を皆に認めて貰えるチャンスがあるんだもん。

 それに、ここは平民もいるけれど、貴族の多い学園の学園祭だから、当然貴族のお偉いさんも来る。平民の場合は自分の能力が認められれば就職にとても有利になる。力を出さないはずがない。


 でも、いくら平民も通っているといっても、貴族が多い学園祭だからもっと堅苦しいものかと思っていた。

『お客様に接客?貴族のわたしがそんな事できる訳ないじゃない!』って言うタイプが絶対いると思っていた。


 何だか前世の学園祭の雰囲気と同じなのかな?楽しいに越したことはないからいいけれど。





 あ、あっちからすっごく美味しそうな匂いがする!!あれはサンドイッチ!!

 えーと、何々?『パン生地から手作り!ここでしか食べられないフルーツサンドイッチ』


「リシュー、あっちでフルーツサンドイッチ売ってるって!行こ!」


 きっとあれも生徒さんが作っているんだよね?という事は今日を逃したら食べられない!食べないと!

 そう思ってリシューの手を引張っているのに、リシューは全然動いてくれない。


「リシュー?行こう?」

「……あれ、おかしいな。シルフィーさっきケーキ2個食べてなかった?」


 確かに食べたよ?たいへん美味でした。でもね、


「あれはあれ!これはこれ!」


 チョコレートケーキはチョコレートケーキ。アップルパイはアップルパイ。そしてフルーツサンドイッチはフルーツサンドイッチ。全部別物。あれだよ、『デザートは別腹』みたいなものだよ。だからフルーツサンドイッチは入る。


「いや、食べ物だから別々ではないよ?」

「やぁ。食べるの!」


 今日を逃したら食べられない。リシューはなんだかんだ私に甘い。だから私が駄々をこねたらリシューは折れてくれるはず!


「……太るよ?」


 と思っていたのに、リシューはとんでもない事を言ってしまった。


「!!!!」


 お、女の子になんてことを!!でも、そういえば最近体重が増えてきていた気が…?いやいや。それは身長が大きくなっているからと思っていたけれど、冷静に考えると身長って最近伸びていない。お胸が大きくなっている訳ではない。


「ど、どうしよぅ……」


 た、食べる量減らした方がいいのかな…。でも、今日もうすでに沢山食べてしまったし…。


 このままブクブクと太ってアル様に嫌われたらどうしよう……。もうケーキを食べさせて貰えなくなったらどうしよう!!


「ねぇ、リシュー、食べる量減らした方がいいのかな…」

「ごめん、正直ここまで深刻に考え込むとは思わなかった。冗談だよ?シルフィーは全然太ってないからね。安心して」

「ほ、本当?」

 

 本当に冗談ですか?…冗談だよね。え、信じてるよ?私これからも美味しものを食べますよ?でも、取り敢えず、フルーツサンドイッチは我慢します……。





 そういえばアル様に全然会えない…。という事でアル様のクラスに行ってみることにした。


「あっちで絵画展やっているみたい!」

「あ、本当だ。後で行ってみようか」

「うん!」


 えーっと、パンフレットによればアル様のクラスはここをまっすぐ行って…、


「そこの可愛い双子さん達!!」


 女の人の大きな声が聞こえてきた。

 お姉様とお兄様以外にも双子っているのかな?でも、私は他の人に興味はない。それよりも、アル様のクラスはあの角を曲がって…?

 

「リシュー、ここまっすぐでいいんだよね?」

「うん。…えーと、今がここだからあの角を曲がるのであってるよ。」


 ふむふむ。パンフレットを見ただけで気になるものが沢山ある。より道をしたいけれど、最初はアル様のクラス。アル様のクラスは手作り雑貨を展示・販売している。


「あの……、聞こえてる??」


 あれ、無視されているの?可哀想。それよりも早くアル様の教室に行きたいなぁ。

 

「あ、あの…」


 とうとう女の人は私達の前に回ってきた。あ、私達の事だったんだ。私達双子じゃないよ??あ、同じ服着ているからか。それは間違えるよね。


「何か用ですか?」


 でも知らない人とはあまり話したくない。リシュー、頼んだよ。


「そんなに警戒しないで」


 警戒じゃないよ。人見知りなだけ。


「ここでは貸衣装店をやっているんだ。良かったら着替えてみない?」

「興味ないので結構です」


 断ってくれてありがとう。

 今日の私とリシューの服はお兄様とお姉様とアル様がデザインしてくれたんだもん。そのお洋服とっても気に入っている。だから着替えるなんてしたくない。


「えー、そんな事言わずに!ね?」


 あ、この人もしつこい人だ。


「このお洋服、お兄様とお姉様とアル様がデザインしてくれたんです。だから、今日はこのお洋服がいいです。」

「アル様?」


 あ、そっか。アル様って私が呼んでいるだけで他の人が分かる訳ないよね。


「シルフィーが言うアル様はアルにぃ…、じゃなかった。アルフォンス殿下の事ですよ。」

「……という事は、お兄様とお姉様ってもしかして」

「はい。この子はスティラ様とシリア様の妹のシルフィーです。」


 リシューが私を紹介したところで、この人は声無く叫んだ。


「~~!!」


 この人もお兄様とお姉様が怖いのかな?と思ったのに。


「素敵!!」

「「え??」」


 私とリシューが疑問の声をあげたのも仕方がないと思う。


「インスピレーション広がっちゃう!!」


 いんすぴれーしょん??


「私、街のメイディア衣装店の娘なの。貴族のドレスとかもよく作っているのよ。二人とも、ぜひ今度二人でうちの衣裳店に来て。二人をイメージしてドレスを作らせて?勿論お代は貰わないから!完全なる私の趣味だから!」


 お、押しが強い…。リシューも圧倒されているみたい。


 というか、メイディア衣装店って、あの有名な?!お義母様が愛用している衣装店だよ?そんなお店の娘さんがこの学園に通っているの??……さっきしつこそうとか言ってごめんなさい。

 でも、そこの娘が手掛けている出し物の貸衣装ってクオリティ高そう。正直気になる……。今日はこのお洋服がいいからきがえないけれどね。


「今日の服は二人とも思い入れがあるから着替えないっていう事は分かったわ。お洋服を大事にするっていう心、私大好き!だから今日は諦めるけど、うちに来てくれるの楽しみにしてるね」

「ま、また時間があったら、いつか…」

「うん。それでもいい!絶対来てね!」

「は、はい…」


 悪い人では無さそうなんだけれど、パワフルなお姉さんだなぁ。





 でも、喉は乾いたかも…。もう少しでアル様の教室につくのに…。あ、あそこに飲み物の出し物をしているクラスがある。…あれはシェイクかな?


「リシュー、シェイクならいい…??」

「まぁ、シルフィーを喉が渇いたまま放置していたら僕がアルにぃに怒られるからね。」


 やったぁ!!


「リシュー!早く早く!!」


 リシューの手を引張ってシェイクのお店に引っ張っていく。


「急がなくてもシェイクは逃げないよ?」


 シェイクは逃げないかもしれないけれど、売り切れっていう可能性があるじゃない!


「急がないの。何味のジェイクがいいの?」

「苺!いちごのやつ!」

「はいはい。買ってくるからここで待っててね」


 え、買いに行くくらい私もついていくのに?優しそうなお兄さんが手を振ってこっちを見ている。反対の手には美味しそうなシェイク!

 

「私も行く!」

「……いい?ここで待っているんだよ?」


 飛び出しそうな私の手をリシューがぎゅっと引っ張った。え、笑顔が怖い…?何で?買いに行くだけなのに?


 でも、結局リシューは折れてくれなくて、私はリシューが買って来てくれるのをいい子で待っていました。お留守番くらいちゃんとできるもんね。





 やっとお目当てのアル様のクラスについた。


「こんにちは…」


 アル様のクラスとそーっと覗き込んでみるけれど、アル様はいないみたい。えー、アル様に会いに来たのに…。するとちょうどアル様のクラスの女の人が通りかかったから、アル様の行方を聞いてみた。


「あの…、アル様いませんか?」

「あら。あなたは?」

「えっと、アル様の婚約者のシルフィーです…」

「あぁ、『あの』!」

「あ、あの…?」


 え、もしかして悪口を言っていたりするの??食い意地が張っているとか、我儘とか…?


「えーっと、ケーキ大好きで、いつも殿下の膝の上で食べさせて貰っているんでしょう?うさぎのぬいぐるみが大好きで…」

「も、もういいです!!」


 もうっ!アル様何を言っているの!!クラスの人達になんてことを!悪口じゃないだけいいけれど、良くない!!!


 顔が真っ赤になっているのが分かる。


「あら、可愛い。ふふ。正直、殿下はロリコンだと思っていたのですが、シルフィー様の可愛らしさでは無理がありませんわね。これはロリコンにもなりますわ。」


 お姉さんがそういってくれるけれど、揶揄われるようにしか感じない。

 というか、アル様がロリコン扱いされている…!え、これって私のせい??私の背が小さくてお胸もないから??だからアル様はロリコン扱いされているの??

 なんかごめんね…、もうちょっと待っていてね、もう少しでアル様がロリコンって言われないように大きくなるはずだから!





 私が散々恥ずかしい思いをした後にようやくアル様の行方を教えてくれた。


「殿下なら生徒会が忙しいのではないでしょうか?」

「生徒会?という事はレオンお兄様も?でも、お兄様とお姉様は教室でクラスの出し物をしていましたよ?」

「あぁ、殿下は出番が多いですものね」

「出番?」

「これよ」


 お姉さんはそう言ってチラシを見せてくれた。


「リシュー、これって……」

「ん?何々……『生徒会による演劇、眠れる森の美女、講堂にて』だって」


 演劇…?そんな事誰にも聞いてないのに。さっき会ったお兄様とお姉様も何も言っていなかったのに。


「生徒会って事はお兄様とお姉様も出るの?」

「多分ね。レオンにぃとアルにぃも出ると思うよ」

「どうして誰も言ってくれなかったんだろう…?」


 私に見られたくないのかなぁ?


「さぁ、何でだろうね?でも見に行くでしょう?」

「うん!」


 さて、アル様達の演劇を見に講堂へ出発です!……とりあえず、展示品にうさぎの巾着袋があったのでそれだけ買っておきます。





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