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カチカ執政官の歴史授業・ノフィン統一戦争の始まり

今回から外伝という、物語の補完やキャラクターの掘り下げを目的とした話の執筆も行います。

外伝自体は見なくとも本編は楽しめる。

そう思える様に執筆して参ります。

「それでは、ラナ様の為に歴史の授業、もとい、ノフィン統一戦争と魔物大戦の二つの説明を行います」


 カチカさんが椅子に座って、私に授業を始める。

 でも、何故か私の両隣りにはシェリーさんとミライさんも座っている、二人も授業うけたいのかな?


 ヨミエルは…ギブルちゃんを揶揄ったお陰かな、二人仲良く血炭(チタン)の武器を整備してる。

「ほう…血炭製法の武器か…誉高いな」

「エルフにとってこれは同族だろう…どこが誉高いと言うんだ」

「死後、武器として戦えるは誉よ」


 血炭の武器って…言っちゃえば、エルフの遺体を使った武器だから、喧嘩になると思ったけど…うん、やっぱエルフの文化ってちょっと分かんないかも。


「それではまず、ノフィン統一戦争は何故起こったのか、それから説明を致しましょう」

 やば、ボーッとしてたらカチカさんの授業が始まっちゃった。


「何故ノフィン統一戦争は起こったのか、これに関しては、百年、或いはそれ以上の時が流れ、しかもノフィン統一戦争の戦時中ということもあり、正確な情報はあまり残ってはいません」


「しかし結論から言うと、エルフ側の勘違い、と言う説があります」


「一説には、ホカイ・ドサンコフの地にある極夜の森「アシバリ」…そのエルフの故郷にホーラ・フキーというエルフではない、いわゆる人間が来たことが原因とされています」


「フキーはエルフの故郷に入ると、「自分は王族である、貴公達の為、我が血を差し出しにきた」と言ってエルフの村に入れて貰ったらしいのです」

「有力な説では、フキーは王族ではなく、詐欺師だったとか、同名の手配書がまだ残っていますし」


「それを聞いたエルフの民はフキーの、太陽の下に出ても樹木にならない、という血を欲し、エルフはフキーとの間に幾つもの子を作ったのです」


「これにより、ギブルの様に太陽の下で生きることができるエルフ「混血のエルフ」が生まれたのです」


「…ん?なんでエルフは太陽の下に行ったら樹木になんだ?」

 ミライさんが不思議そうにカチカさんへと質問する。


「それに関しては、諸説ある為、断定はできないのですが…」

「一説には、アシバリの森、その木の種子が人の体内に入り込み、陽の光で急速に成長し、発芽する為、という説があります」


「とはいえ、混血のエルフや我々の様なエルフではない種族が森に入っても、同じような体質にならない為、どの説も有力にはなりえませんが」


「…それでは、続けます」

「混血のエルフが生まれ、数年の月日が流れると、混血のエルフは成人した大人になり、フキーの話から聞いた、外の世界へと旅立ちます」


「外の世界…いわゆるホカイの地には、フキーの様な罪を犯した罪人の流刑人、(ある)いは逃亡者が多くいました」


「その人とエルフが交わり、子を成し、最後にはアヴァロンという集落を作る様になったのです」


「さて、問題はここから、アヴァロンになんと、ノフィンの兵士がやってきたのです」


「理由は、王の恩赦で罪人達の罪を(ゆる)す、ノフィンに戻る気がある者は船に乗れ」

「つまり、君達の罪は赦すからノフィンに帰りたい人は一緒に帰っていいよー。ということです」


「罪人達の殆どがその恩赦を受け入れ、皆がノフィンの船に乗ろうとした瞬間です」

「なんと、エルフの皆が兵士と船を魔法で攻撃し、皆殺しにしてしまったのです」


「エルフはずっと森の中で生活した故か、ノフィンの様な罪人や恩赦といった概念がなく、いきなり来たノフィンの民に、皆が連れ去られる、そう思い攻撃を開始したのだとか」


「これが、ノフィン統一戦争の始まりです」


「ちょっと質問いいかい」

 ……やば、シェリーさんが質問してるけど、もうまぶた重くなってきた……。

「どうぞ」


「私の聞いた説では、船でノフィンの民がホカイの地に侵略行為を開始した、と言う説があるんだけど」


「ふむ…確かにそれも有力な説ではありますね、船でノフィンの兵士が来た、という点が同じな事から、どちらか一つが本当だという事がよく言われています」

「成る程…理解したよ」


「さて、ノフィン統一戦争の始まりがわかったところで、百年の戦いは端折って、魔物大戦へと行きましょう」


 ──なーんで、授業ってこんなに眠くなんだろ。

─ヨミエルの異邦知識─


ヨミエルが異邦の知識に詳しいのは、父親が異邦の品物を集めるのが趣味な為。

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