表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
二学期
72/82

修学旅行(2日目『まったり』)

2人の喧嘩?は1時間を回るというところで見かねた淳によって終わった。両者、まだしたりないといった感じだったが案外すんなり引いた。この時ばかりは淳が神様のように思えた。


「それじゃあ、時間も時間だしそろそろご飯にしようと思うんだけどどうかな?」


「「「賛成~」」」

どこかで見たような気がするが淳の提案に他の5人は賛成する。


「ご飯については多数決で行こうと思うんだけど皆は何がいい?」


「「「魚!」」」

見事に満場一致だった。みんな考えることは一緒のようだ。


「なら、良さげな魚屋さんでも探してみようか。」

その言葉を頻りに俺たちは魚料理が食べられる店を探すために歩き出した。



「ご注文がお決まりになられましたら声をかけてください。」

そう説明し頭を下げてから店員さんは去っていった。


「雰囲気が良さそうな店があってよかったな。」


「うん、本当に。」

加藤の言葉に淳が同意する。悩んだ末に入ったのは海鮮丼屋だ。ちなみに女子は人数上の都合で俺たちとは違うテーブル席に案内されている。


「ほぉー、これもおいしそうだな。」


「どれどれ。」

俺たちは1つしかないメニューを3人で見る。海鮮丼はたくさんの種類があってどれも捨てがたいため中々、選べなかった。


「それなら、3人で分け合いっこするってのはどうかな。」


「おっ、いいなそれ。」「俺もそれでいいぜ。」

そして、3度淳の提案に同意する。


「すみませーん。」

加藤がうるさいくらいの声で呼びかけると先ほどと同じ店員さんがやってきた。


「じゃあ、僕はマグロ盛り合わせの大盛りを。」


「俺は特製海鮮丼の大盛りを。」


「じゃあ、俺はスペシャル海鮮丼の大盛りで!」

淳・俺・加藤の順番で注文していった。


「かしこまりました、少々お待ちください。」

注文をメモし終えた店員さんは一礼してまた去っていった。


「にしても、お前スペシャル海鮮丼って。」


「健は平常運転だね。」


「?なんのことだ?」

北海道は魚の名産地なだけにメニューに書かれている料理の値段もかなりのものだった。俺と淳はそこらへんも考慮しながら選んでいたのだが加藤は別だったようだ。その反応に俺と淳は苦笑いで返す。


「それよりも、だ。田宮!さっきのはどういうことだよ!」


「さっきの?」


「海原と成宮のことだよ!」

加藤は何故か興奮気味に俺に質問攻めをしてくる。


「「加藤君。」」

すると、テーブルの横から声が聞こえ誰かと思ったら違う席にいるはずの澪と海原さんだった。


「はっ、はひ!」


「「余計な事、言わないでくれるかな?」」

そう言う、2人は口元は笑みを浮かべているが瞳はやはり笑っていなかった。


「はい・・・。」

この一言だけであれだけうるさかった加藤がすんなり黙ることに俺と淳は驚く。


「何と言うか、すごいね。」


「あぁ、あの時の話はもう2度と振らないほうがいいな。」


その後、海鮮丼が間もなくして届いて3人で美味しくいただきました。



「んー、俺ちょっと抜けるわ。」

トランプのババ抜きでいち早く上がった俺はそう言って外履きを履く。


「どっか行くの?」


「あぁ、少し飲み物を買いにな。」


「じゃあ、僕は緑茶で。」


「俺はコーラな!」

あいつらは俺をパシリとでも思っているのだろうか。


「あいよ。」

不満だが別にそんな労力を使わないのでついでに買ってきてあげることにした。



”ガコンッ”

小気味いい音とともに缶コーヒーが落ちてくる。それを持って俺はテラスに出た。この時期でも北海道の夜は普通に10度をきっているので肌寒い風を感じつつ、俺はコーヒーをちびちび飲みつつ溜息をつく。寒さのためか吐いた息は白く染まっていた。


「こんなところでどうかしたの?」

すると、後ろから声をかけられ振り返るとそこには女神様もとい、神代さんがいた。


「ちょっと涼みにな。」

俺は無難な回答をする。


「美崎ちゃんに聞いたよ?色々、大変そうだったって。」


「なるほど、そう言えば海原さんと仲が良かったっけか。」

何故、自由行動中の事を知っているのかと思ったがその説明で納得した。


「神代さんはなんでここに?」


「部屋のみんなで恋バナで盛り上がっちゃって恥ずかしながら逃げて来たんだ。それで、ほとぼりが冷めるまでどうしようか考えていたら田宮君の姿が見えたからつい話しかけたんだ。」

神代さんはここまで来た経緯を簡単に説明してくれた。すると、神代さんは「クシュン!」と可愛らしいくしゃみをした。


「寒いなら何か飲み物を買ってきたらどうだ?」


「今は手持ちがなくて。」

神代さんは苦笑いを浮かべる。


「何なら、田宮君のそのコーヒーを一口貰ってもいいかな?」

その言葉にかなり驚きながら俺は缶を神代さんに渡す。


「っ!ゴホッゴホッ。」


「だ、大丈夫か?」

飲むなり蒸せた神代さんを見て俺は慌てて声をかける。


「あはは。ブラックコーヒーって初めて飲むけどこんなに苦いんだね。」

神代さんは苦いのを我慢しながらそうコメントする。


「ったく、別に返さなくてもいいから何がいい?」

そう聞くと、神代さんはおしるこを選んだ。


「無理しなくてもいいのに。」


「えーと、なんかゴメンね?」

俺が怒っていると勘違いしたのか神代さんは謝ってくる。


「いや、別に怒ってるわけじゃない。」


「そう?なら、良かった。・・・あっ。」

すると、神代さんはその言葉を最後に自分の人差し指で自分の唇に触れる。


「そういえば、間接キスだね。」


「・・・ガキじゃあるまいし。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ