文化祭準備期間(後編)
「「「生きててよかった。」」」
奉仕側の服装を見たクラスメイト達は口を揃えてそう言った。女子はお互いに抱き合い、男子は天井を仰ぐ。
「あはは・・・。」
よくわからない反応を前に淳も思わず苦笑いを漏らす。まぁ、とりあえず似合ってるってことでいいのだろう。
「それじゃあ、本番前のリハーサルとして裏方の皆にはお客役をやってもらおうかな。」
委員の声に従い、固まっていた皆は動き出し続々と設置されている席に着いた。
俺の担当の席に向かうとそこには体育祭で一度だけ話した海原さんが座っていた。
「よろしくね、田宮君?」
「まぁ、精一杯やらせてもらうよ。」
その言葉を最後に意識を接客モードに切り替える。
「ご注文はお決まりになられましたかお嬢様。」
「・・・はぇ?」
俺が普段バイトで使っている口調に少しアレンジを加えた言葉使いでそう聞くと、海原さんはなんだかよくわからない声を上げた。
「どうかなさいましたか?」
「う、ううん。なんでもないよ。じゃあ、これをお願い。」
「かしこまりました少々お待ちください。」
俺は海原さんが指で指したメニューをしっかり目で確認してからその場から去った。
そして、すぐに戻る。
「どうだった?なにか変なところとかがあったら教えてくれ。」
海原さんの元に戻った俺がそう聞くと海原さんは首を横にぶんぶんと勢い良く振った。
「すっごく良かったよ!正直、どうしちゃったのかと思ったくらい。」
海原さんは興奮気味に感想を話した。
「大げさだよ。」
俺が宥めるように言うも、海原さんは引こうとしない。
「じゃあ、文化祭当日に友達と一緒に来るからその時は田宮君が相手してくれる?」
「あぁ、いいよ。」
これ以上話をややこしくするのも面倒なので俺は軽い気持ちで了承する。
どうするかなどと考えていると、俺と同じようにリハーサルが終わった澪と目が合った。
「ふふっ、大変そうだったね。」
「笑い事じゃねぇよ。」
澪は先ほどの俺と海原さんの会話を聞いていたのか苦笑しながら声をかけてきた。どうやら澪の方も問題ないようだ。
すると、女子の声が聞こえそちらに視線を寄越すとそこには女子に囲まれている淳がいた。
「俺よりもあっちの方が遥かに大変そうだな。」
「そうだね。」
俺の言葉に澪も苦笑しながら頷くしかない。クラス全体を見渡してみて思ったが、この『メイド&執事喫茶』は高校生が文化祭でやる催し物とは思えないほどのクオリティがあった。
「面倒なことにならなければいいが・・・。」
読者の皆さんに質問です。感想欄に「ハーレムがいい」というコメントをよく見るのですがどうなのでしょうか?
作者個人の見解としては「現実が舞台でハーレムはなぁ。」という感じで悩んでおります。
ぜひ、皆さんの意見を聞かせてください。返事は感想欄に書いて下されば読ませてもらいます。




