文化祭準備期間(中編)
後書きを読んでくれると嬉しいです。
「なぜ、俺がこんな肉体労働を・・・」
「ふふっ、諦めも肝心だよ?」
俺と澪は文化祭の飾りつけの材料を買いに街に出ていた。
「えーと、なになに。」
俺は買うものが書かれているメモを確認する。買うべきものはそれほど多くなさそうだ。
「それじゃあ、さっさと終わらせるか。」
「そうだね。」
俺の言葉に頷いた澪は返事をすると同時に手を出してきた。俺は周りの目を気にしながらその手を握り返す。すると、澪はあからさまに表情を綻ばせた。
告白されてからというものの澪は人目も憚らずこういう大胆な行動をすることが非常に多くなった。最初は俺が恥ずかしいこともあり断ろうとしたのだが、それを察したのか澪が悲しい顔をしながら手を下げるので俺もやるせない気持ちになり今に至る。
「・・・なぁ、今更なんだがなんで手を繋ぐんだ?」
「さぁ、なんでだろうね。」
聞いても毎回はぐらかされて手を繋ぐ理由はわかっていない。
買い出しを終え、学校に戻った俺たちが目にしたのは教室に横たわるクラスメイト達の姿だった。その真ん中にはメイド服と執事服が飾ってあった。
「どういうことだこれ。」
「さぁ?」
教室の前で戸惑っていると奥から淳が出てきた。
「あっ、お帰り二人とも。しっかり買ってきてくれた?」
淳の質問に対して俺は手に持っている袋を見せて返事をする。
「それよりもこれはどういうことだ?」
「なんか皆、休憩とか取らずにひたすら服を作成してて、それが終わってアドレナリンが切れたのか寝てる。」
「もう作ったのかよ。すげぇな。」
淳がこうなった経緯を話すと俺はクラスメイト達のやる気に驚愕した。今日の作業はそれでお開きになった。
そして、翌日。
奉仕をする人たちの服の試着が行われた。その中にはもちろん俺も入っている。
「・・・なぁ、おい。」
「少し喋らないで。気が散る。」
執事服を着た俺はなぜか澪の手によって髪をいじられていた。本来ならば、いつものままお披露目するつもりだったのだが澪によって強引に髪を整えられていた。
「・・・ぷっ。」
「・・・(イラッ)」
澪の有無を言わせない感じに押されされるがままにされていると淳に嘲笑された。あいつは後で絞めておこう。
「よしっ、オッケー!」
その言葉と同時に澪は俺の髪から手を離した。近くにあった鏡で自分の髪を写すとそこにはバイトの時と同じ髪形をした俺がいた。普段、結衣にやってもらっているやつだ。
「なんでわざわざこんなこと。」
「似合ってるじゃん。」
淳がニヤニヤしながらそう言う。とりあえず、脇腹を軽く殴っておいた。
「そろそろお披露目だよ。」
そんなことをやっていると後ろから執事服を着た、委員の声が聞こえた。俺は指示されたとおりに教室の配置についた。
委員の「いいよ~」という声の後にクラスメイト達が続々と教室に入ってくる。女子は執事服を着ている男子を見ながら顔を赤くし、男子はメイド服を着ている女子を見て天井に拳をあげている。
俺たち奉仕側は声を揃え、笑顔で一斉に指示されたとおりのセリフを言う。
「「「お帰りなさいませ、ご主人様。」」」
その言葉の直後に、耳が痛くなるほどの歓声が上がったのは言わずもがなだろう。
遂に、総合ポイントが10000を越えました!作者自身ここまでいくとは思っておらず嬉しい限りです。ここまでこれたのも読者の皆様のおかげです。どうかこれからも「四大美女と完璧イケメンとその親友」をよろしくお願いします。




