結衣は甘えたい(前編)
要望に応え、いよいよ結衣とのデート編開始です。
「はいっ!私は不満があります!」
夏休みも終わりが見えてきたある日、結衣はいきなりそんなことを言い出した。
「急にどうしたんだ?」
俺は若干、結衣の雰囲気に気おされながら聞き返した。
「澪さんだけじゃなくて舞さんともデートしたよね。それに、私の知らない女の子も家の中に入れたでしょ。」
結衣はジト目を向けてきながらそう話した。
「何で知ってるんだ?話してなかったはずなんだが。」
俺は内心、驚きながら質問した。
「私が帰って来た時、私の嗅いだことのない人の臭いがしたから。」
我が妹ながら恐ろしい子に育ったものだ。と感じた瞬間だった。
「それで、何をしてほしいんだ?」
俺は結衣の心意を汲み取り、こちらから聞いた。
「私もお兄ちゃんとお出かけしたい!」
「了解。」
俺は澪や舞の時のとは違い、一切何かを考えることなく了承した。その日は、細かな予定を話し合ってから眠りについた。
そして、デート当日。俺は結衣にリビングで待っていてと言われたのでソファに座りながら言われるがままに待っていた。
「じゃっじゃじゃ~~ん。」
そう時間は経たないうちに結衣の元気な声とともにリビングの扉が勢いよく開いた。
「・・・。」
俺は声のした方向に振り向き呆然とする。
結衣の格好は白のワンピースというシンプルなものだったがそれゆえに結衣の可愛らしい容姿が一層際立っていて魅力を何倍にも増加させていた。
「・・・似合ってる、かな?」
俺の反応がないのを不思議に思ったのか結衣が声をかけてきた。
「あ、あぁ、すごく似合ってるよ。」
俺は結衣の格好に見惚れたまま手でグットマークをやった。
「それじゃあ、行こっか!」
結衣の手に引かれながらあ俺たちは家を後にした。
結衣に連れられて来たのは映画館だった。
「今日はね、これを見ようと思ってるんだ。」
結衣がそう言い、指を指したのは今大人気の恋愛映画だった。
「これって、人気でチケットが取れないんじゃなっかったけか?」
「ふっふっふ~~。」
俺が純粋に疑問に思ったことを聞くと、結衣はニヤニヤしながら変な声を出した。
「この時のために席はしっかり予約しておいたのですよ!」
結衣は褒めてほしいといった感じで腰に手を当て胸を張っていた。
「えらいえらい。」
促されるがままに結衣の頭をナデナデする。
「えへへ~~。」
結衣は目を細めされるがままになる。
「それじゃあ、行こっか!」
「あぁ、そうだな。」
一通り撫でた後、俺たちは上映されるシアターに向かった。




