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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
34/82

高崎 舞の本心(後編)

頬を叩いた時、私は自分でも何をしたのか分かっていなかった。


ただ一つだけ分かることがあった。それは、その作戦を聞いたときにどうしようもなくうれしくなりそして、どうしようもなく悲しくなったのだ。


自分でも矛盾していると思う。しかし、うまく言葉にすることが出来なくて気が付けば手を出してしまった。私の行動に驚いたのか隣で見ていた澪ちゃんも、叩かれた本人である田宮君も呆然としていた。


田宮君は声を荒げようとしたが私の顔を見て口を閉じた。私もなぜか目元が熱くて手で顔を触ると私の頬には涙が流れていた。結局、その後は特にこれといったことはせずにただゆっくりして終わった。


家に帰った私は部屋に引きこもり気持ちを整理していた。


なぜ手を出してしまったのか。なぜうれしくもあり、悲しくもあったのか。考えれば考えるほど私の中で疑問は深まるばかりだった。そんなとき、私の元にメッセージが送られて来た。スマホの画面を見るとメッセージを送ってきたのは澪ちゃんだった。


澪「今、大丈夫?」


私「うん、大丈夫だよ。それで何の用?」


澪「お礼が言いたくて。」


私「お礼って何についての?」


澪「翔斗君を叱ってくれたことについての。」


私「どういうこと?」


澪「ちょっと長くなるから電話でもいいかな。」


私「うん、いいよ。」

そこで澪ちゃんから電話がかかってきた。その声は出かけたときに聞いていた声より心なしか弾んでいるように聞こえた。


澪『聞こえてるのかな?』


私「うん、聞こえてるよ。それよりも私は翔斗君のことを叩いたのになんで澪ちゃんがお礼を言うの?」


澪『ちょっと長くなるけど大丈夫?』


私「うん、教えて。」


澪『じゃあ、話すね。翔斗君は昔から私のこととか淳君のことをああいう人から守ってくれてたんだ。』


私「澪ちゃんだけじゃなくて時坂君もなの?」


澪『うん。詳しい詳細は省くけど翔斗君はいつも自分の身の危険を考えないんだよ。ある意味、一種の病気かもね。でも、私たちは翔斗君に守ってもらっているからあまり強くは言えない。』


私「そう、だったんだ。」


澪『守ってくれるのはうれしい。でも、そのせいで翔斗君に危険が迫るのはやだ。そんな時、舞ちゃんが翔斗君のことを叱ってくれた。「翔斗君のやっていることはただの自己犠牲だよ」ってことをしっかり教えてあげてくれた。そのことについてのお礼だよ。』


私「澪ちゃんが自分で言えばよかったんじゃないの?」


澪『無理だよ。私たちは翔斗君のやることに口出し、ないしは手出ししないって約束だから。それじゃあ、お休み。』

そうして、澪ちゃんからの電話は切れた。


「・・・約束ってなんだろう。」

私は電話が切れた後、ベットに寝転がりながら澪ちゃんが言った言葉の意味を考えていた。しかし、すぐに頭の片隅に追いやり、自分自身の本心に向き合うことにした。


「多分、私は時坂君のことが好きじゃない。」

そう、今ならはっきり言える。私『高崎 舞』は時坂君のことが好きではない。


(私が時坂君に対して持っていた感情は『恋』ではなく『憧れ』や『尊敬』などといったものだった。)

そして、時坂君に対する気持ちを理解した私の中にはあるもう一人の少年が居た。


(・・・田宮 翔斗。)

彼のことを考えていると不思議な気分になっていった。


”彼のことをもっと知りたい。彼ともっと一緒に居たい”


私の中ではそう言った今まで体験したことがないような感情で溢れていた。今はまだこの感情の意味は分からないがいずれ分かる日が来るのだろうか。などと考えているうちに私の意識は闇に落ちて行った。

番外編終了となります。次回からまた本編が始まりますのでお楽しみに。

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