計画(実行)
淳視点になります。それと多少シリアス要素もあります。
「それで?これは一体どういうことかしら時坂君に成宮さん。」
天宮先輩は困惑した様子で声を発っする。
「悪いね急に呼び出して。」
僕はいつも通りの笑顔で落ち着くように声をかける。そこにある一人の少女が屋上に続く扉を勢いよく開き姿を見せた。
その少女の正体は同じく僕が呼び出した藤本であった。
「天宮先輩はまだわかりますがなんで成宮先輩までいるんですか?」
「澪は僕が呼んだんだ。」
その問いに僕が答える。
「「「「・・・。」」」」
屋上に沈黙が流れる。
「さて、2人とも来たことだし本題を始めようか。」
僕がそういうと天宮先輩と藤本はあからさまに体を震わせた。
「聞きたいことはあるだろうけどまずこれだけは先に言わせてもらうね。」
澪は何も言わず黙っている。
「告白の返事はごめんなさいです。」
僕がそう言い放つと、二人は今までの緊張した表情を一変させ呆然としているようだ。
「・・・理由を聞いてもいいかしら?」
天宮先輩は瞳に涙を貯めながらもなんとか耐えながら質問してきた。
「聞いたら後悔すると思うけどいいの?」
僕の忠告に天宮先輩だけでなく藤本も頷いた。
「告白を断った理由は、ただ単純にあなたたちが嫌いだから。」
その言葉を聞き、二人はずっとこらえていた涙を流した。
「だから、言ったでしょ?『聞いたら後悔する』って。」
僕は2人を憐れみを込めた視線で見つめる。澪は相変わらず何も喋らない。
「つまり、成宮さんと時坂君が付き合っていることかしら?」
天宮先輩は見当はずれなことを言ってきた。
「違うよ、私が好きなのは翔斗君ただ一人。それ以外の人になんて興味はないよ。」
そこで澪がようやく声を発したかと思ったらとんだ爆発発言をした。
「じゃ、じゃあ、なんでなんですか時坂先輩。」
涙をこらえながら藤本が聞いてきた。その悲痛な表情を見たらだれでも同情してしまうだろう。
「だって君たち翔斗のこと傷つけたから。」
ただし、僕にそんなことは関係なかった。今はただ翔斗の事を傷つけたこいつらは絶対に許すつもりはない。と無慈悲にその希望を切り捨てた。
「「っ!?」」
僕が二人を振った理由をつげると、2人は何かに気付いたような表情をしていたがもう遅い。
「僕も澪も昔、翔斗に助けてもらったんだ。だから、僕たちは翔斗を傷つけたお前たちを許すつもりはない。本当はもっといじめたいところだけど翔斗に止められてるからやめておくよ。」
「じゃあ、最初から私たちを振るつもりだったの?」
天宮先輩がかすれた声で聴いてくる。
「あたり前でしょ?」
その言葉を聞き、ついに我慢の限界が来たのか天宮先輩は膝から崩れ落ちた。
「僕たちはね、翔斗と翔斗の信じるものしか信じない。君たち2人に心を許したことは1度たりともないからそこは勘違いしないでね。」
そこで僕は話を終わらせた。
「あなたたちも見る目がないね。翔斗君はあなたたち二人を気遣っていてくれたはずなのにそれに気づかないなんて。舞ちゃんは途中で気づいたみたいだけどね。」
2人は澪の言葉に何も答えないがそれでも澪は言葉を続ける。
「そもそもさ、考えればわかるよね?誰が大切な親友であり、幼馴染でもある翔斗君を利用するだけ利用して恩を仇で返す人となんで付き合うと思うの?」
もはや、この2人の心は完全に折れただろう。しかし、2人は満足げな表情をしていた。
俺はその様子を扉の隙間から見ていた。
淳と澪は最初からこの2人の心を折るつもりだったのだ。この二人は昔のこともあり俺に異常に執着している。俺に悪口を言っている人たち全員に対して仕返しをしてやりたいと思うほどに。こうなることがわかっていたので俺はこいつらの依頼に乗り気ではなかったのだ。
彼女たちにとって今この瞬間から『淳を好き』という思いは幸福なものから
―絶望するに要因になりさがった。




