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四大美女と完璧イケメンとその親友  作者: 星宮 誠二
一学期
21/82

ダブルデート(中編)

遅くなってしまい申し訳ありません!

「そういえば、ここもお嬢様の会社が経営している遊園地だったな。」

園内を歩いている中、俺はふと感想を漏らした。


「私は知らなかったな。」


「私も~。」

その呟きに澪と高崎が返事を返してきた。肝心の淳とお嬢様といえば俺たちの少し前方で肩を並べて歩いていた。楽しそうに談笑しているようだ。


「さて、俺たちはどうするかな。」


「このまま付いて行くんじゃ駄目なの?」

俺の言葉に高崎が質問してくる。


「別にこれは『ダブルデート』なだけであって、4人で遊びに来てるわけじゃないからな。俺たちがどこに行こうと俺たちの勝手だ。わざわざ様子を見守ってやる理由はない。」

俺は偽りなく本心を告げた。澪はその言葉に対して何の反応も示していなかったが多分、俺と一緒の考えだろう。


「じゃあ、俺は行くから。」


「えっ、ちょっと待ってよ!私はどうすればいいの!?」

そう言って、俺が澪と共に立ち去ろうとすると高崎が待ったをかけてきた。


「さぁ?俺たちについて来たら良いんじゃないか?」

俺は投げやりに返事をした。


「・・・いいの?」

高崎は予想外の返答だったのか唖然としていた。


「好きにすればいい。澪も構わないだろ?」


「うん、私も賛成だよ。舞ちゃん一人だと何かと危ないと思うからね。」

澪は俺に向かって短くウィンクをしながらそう言った。やはり澪に本音を隠すことは出来なかった。


「じゃあ、一緒に行動させてもらうね。」

高崎は可愛らしくはにかみながらうれしそうに言った。




「「きゃぁぁぁっっっ!!!」」


「・・・(ブルブル)。」

その後、俺は2人に連れられてジェットコースターに乗っていた。高崎と澪は楽しそうな声を上げていた一方で俺は恐怖のあまり声すら発せずただ震えていた。情けない限りである。


「はぁ~~、楽しかったね!」


「うん。」

乗り終わると、澪の言葉に高崎が元気よく同意していた。


「・・・俺はもう2度と乗りたくないけどな。」

俺はベンチに座り気持ちを落ち着けながら言い返した。調子に乗っていけると思っていたさっきの俺をぶん殴りたい気分になった。


「少しトイレに行ってくる。」


「「いってらっしゃーい。」」

そういって、俺はその場から離れていった。



〔俺たちと一緒に遊ばね?〕


〔結構です。〕


〔そう硬い事言うなって。〕


〔ごめんね~、つれ待ってるから。〕


〔俺らと一緒にいたほうが楽しいぜ?〕

トイレを済ませた後、澪達と別れたベンチに向かっていると進行方向からそんな声が聞こえてきた。来るかもしれないと予想していたが本当に来るとは思っていなかった。他の来客者たちは不自然にそのベンチを避けながら歩いていた。関わらないが吉と判断したのだろう。


半ば確信を抱きながらベンチを覗くと、予想通り澪と高崎がナンパを受けていた。


「そんな奴ほっといて俺たちと遊ぼうぜ?」


「しつこいですよ。」


「いいからいいから。」


「・・・。」

ナンパをしている男性は見た目から推測するに大学生だろうか。全体的にチャラチャラしていた。対する2人は若干、震えている高崎を庇いながら澪が軽くあしらっていた。


「いいから来いよ!」


「っ!!」

痺れを切らした男が澪の腕を掴もうと動いた。しかし、その手は俺によって遮られた。


「・・・それは見逃せないな。」

俺は手馴れた感じで双方の間に割って入った。後ろを見ると澪は深く溜息をついた。高崎はまだ怖いのか体を小さく震えさせていた。


「なんだてめぇ。」

先頭の大学生Aが喧嘩腰に言ってくる。


「二人の言っていた連れです。・・・というかさぁ、今時ナンパとか恥ずかしくないの?」

俺はあえて煽るような口調で言った。


「んだとてめぇ!」

俺の計画通り後ろに控えていた大学生Bが激昂した。その大きな声に高崎だけでなく周囲の人まで体を震わせたがもう少し我慢してもらおう。


「だってさ、こんな公衆の面前でナンパとかどうかと思うぜ俺は。」


「・・・おい、言葉が過ぎるんじゃねぇか?」

俺がそこまで言うと遂に大学生Cが俺の襟を掴んで来た。


「そうでもないぜ?ほら、周りを見てみろよ。」

俺の言うとおりに大学生らが周りを見渡すと周囲の客がパシャパシャとカメラのシャッター音をこちらに向けてきっていた。


「手を引くのはどっちだ?」

俺が追撃といわんばかりに声を発す。


「・・・。」

それでも大学生Cは手を離さなかった。すると・・・。


「何をやっているのかな?」

客にまぎれて近くに来ていた警備員さんがここぞといわんばかりのタイミングで出てきた。


「こ、これは別に・・・。」

慌てた大学生Cは俺の襟から手を離し、慌てて弁明を始めた。


「なんか連れがナンパされていたので助けたら手を出されました。」

俺は逃げるなんて許さんと大学生らが弁明する前に真実を述べる。


「ちょっとついてきてもらおうか。」

警備員さんは周囲の客がその言葉に同意しているのを確認してからそう言った。大学生らは観念したのかうな垂れていた。大学生と警備員がその場から去ると、拍手が巻き起こった。


「・・・行くぞ。」


「「うん。」」

俺は2人に移動を促し、足早にその場を去った。

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