体育祭(報復編)
体育祭編、完結です!
体育祭は俺たち1組の優勝で幕を下ろした。
「打ち上げ行こうぜ!」
「おっ、いいな!」
「楽しみだね!」
クラスの男子が元気いっぱいの声で言い、他の連中もそれに賛同して行った。
「田宮も来るよな?」
打ち上げを言い出した男子が俺に声をかけてきた。
「悪い。俺はまだ用事がある。」
「そっか。なら先にやってるから用事が済んだら来いよな。」
そう言って、その男子は皆と一緒に教室から出て行った。
教室に残っているのは俺と淳だけになった。
「なんでお前は残ってるんだ?」
「一人でやろうなんてずるいじゃないか。」
その言い方から俺は淳の考えていることを理解した。こいつも俺の報復を手伝おうといっているのだろう。
「時間が惜しい、早く行くぞ。」
俺と淳は静かになった教室を抜け、ある場所に向かった。
〔にしても、この手紙何のようだよ。〕
〔早くしてくれないかな。〕
〔私たちを呼び出すとか何様のつもりだよ。〕
ある空き教室の中から3人の女子の話し声が聞こえる。
「やぁ、3人とも揃ってるみたいだね。」
事前の作戦通りそこに淳が混じりに行った。
「「「と、時坂君!?」」」
3人は驚いた様子で声を揃えてそう言った。
「ごめんね、わざわざ呼び出して。」
淳はお得意の爽やかイケメン笑顔を浮かべながら謝罪する。
「それで?用って何時坂君。」
ギャルの一人が頬を赤くしながら言う。
「うん、ちょっと話があってね。」
その言葉を聞いた3人のギャルは揃って顔を赤くした。
「・・・騎馬戦のあれはわざとかい?」
「「「・・・。」」」
淳が本題を言うと、3人は絶句した。
「正直に答えてくれないかな?」
「はっ、はい。そうです!」
淳の雰囲気に毒されたのか後ろのケバイ女子が声を震わせてながら言った。
「・・・随分と面白いことを言うんだな。」
そこで見計らったかのようなタイミングで俺が校舎の影から出て行く。その手にレコーダーを持って。
「あんた・・・誰?」
ギャルのリーダー格の女子が怪訝な表情をしながら質問してきた。
「別に誰だっていいだろ?それよりも問題はこれだ。」
そして俺は手に持っているレコーダーの再生機能をオンにした。そのレコーダーからは先ほどの会話が聞こえてくる。
「それが何?」
「・・・これを生徒たちに聞かせたらどうなると思う?」
「「「っっ!!」」」
俺が脅し口調でそう告げると3人はまた体を震わせた。
「特に4組の連中に聞かせたらお前達はどうなるんだろうな。一部の連中は本気で優勝を狙っていたのに数々の嫌がらせによってそれを阻まれ、その嫌がらせの原因がお前たちにあると言ったら4組の連中はお前たちにどんなことをするんだろうなぁ?」
「「「・・・。」」」
3人は俺がこの音源をばらすことによってどうなるかを想像したのか先ほどとは違い顔を真っ青にした。
「どうせリレーのときの妨害もお前たちが指示してやらせたんだろ?」
「「「・・・。」」」
俺の追撃に3人は無言だった。おそらく図星なのだろう。
「だがまぁ、俺もそこまで鬼じゃない。」
「っ!じゃ、じゃあ!?」
「・・・許すとでも思ったか?」
俺が言葉を続けると、3人は明らかに絶望した表情になった。特に後ろのギャルなんかはもう倒れそうだった。
「澪を泣かせたお前たちを許すはずがないだろうが。」
そして俺は言葉を続ける。
「これからお前達は常に怯えながら「翔斗。」・・・なんだ淳。」
最後まで言おうとしたところで淳に遮られた。
「さすがにそれ以上は見過ごせないよ。やり過ぎだ。」
淳は咎めるような口調で言い放った。
「・・・分かった。」
淳の表情を見て、俺は潔く身を引いた。俺と同じように淳も澪が傷付けられたことに怒っていたのがその視線から分かった。
呆然とする3人を尻目に俺たちはその場を後にしようとするがその途中で淳がふと後ろを向き言い放った。
「言い忘れてたけど、僕も絶対に君たちを許すつもりはないからそこのところ、勘違いしないでね?別に君たちを助けたわけじゃないから。」
呆然と立ち尽くしている3人に止めを刺した。今度こそ俺たちはその場を立ち去った。
「疲れたし帰るか。」
「お疲れ様、といいたいところだけど駄目だよ。皆待ってるんだし。」
その後、俺は淳によって強引に打ち上げに連れて行かれた。今回の件で壁がなくなったためかクラスの連中がしょっちゅう絡んできたのでかなり疲れた。
その日の夜は結衣と一緒に寝た。
次回は閑話を書こうと思っています。感想欄でも言われていたあの人が登場します!




