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第十一話.対決ゴーレム、魔法炸裂!

【ゴーレム】

土で作られた動く人形。魔法的な力で動いているが、自らの意思や誰かの意思によって動くものではない。ゴーレムが造られた時に指示された命令を自動的に繰り返すのみである。多くは身体のどこかに命令が刻まれており、それが消えれば動きも停止する。ゴーレムは本来魔物のカテゴリーには属さないが、便宜上本項に記載する。


「どこかに命令が刻み込まれているって」

「どこかって?」

「どこでしょう」


三人は輪のように座って考える。しかし答えは出ない。見えないところにあるのだろうか。この距離から眺めたところで、ちょっと大きな岩にしか見えない。


「見えないところ……背中側かな?」

「手のひらかもしれないし、わきの下かもしれないよ」


そんなところに弱点があるのはおかしくないか。いくらなんでも不便すぎる。


「まずあれは敵なのか?命令を実行するだけなら攻撃してこないかもしれないよな」

「確かに。一生座ってるように命令されているかもしれないし」

「よし。ちょっと近づいてみるから、離れて待っててくれ」


そう言いながら、キツネは単騎でゴーレムに真っ直ぐ近づいて行った。なんでもないような顔で目の前まで行った瞬間、それは動き始めた。ぬぅっと立ち上がりキツネの方を見下ろす。見たところ高さだけでもキツネの三倍はある。


「やあ、俺は……」


と言いかけたところで、ゴーレムは太い腕を振り下ろした。間一髪それをかわして、お返しとばかりに腕に剣を振るう。確かに命中するも筋のような傷が一つついただけ。まるでダメージはなさそうだ。


「つあっ!」


掛け声一つ。長剣を両手持ちにして、そのまま袈裟懸けに斬り下ろす。足先から腰を通って腕に伝わる力に、刀身の重力も合わさった威力のある一太刀である。キツネに掴み掛かろうとして屈んだゴーレムの肩口に、一条の線をなぞるもまるで怯まない。


「ダメだな、まいったぞ」


右へ左へ、攻撃を回避しながら刻み込まれた命令を探すがどこにも見当たらない。背中に周りこむもなし、腹も、手のひらさえも目を凝らすがそれらしいものはない。


「危ない!」


ルシアが叫ぶ。キツネの真横、ヒゲに触るか触らないかのところを、ゴーレムの剛腕が通り過ぎていく。ひらりひらりと回避はしているが、果たしていつまで保つのか。懲りずに二、三度反撃するがどうにもやはり手ごたえはない。


「キツネ、こっちに戻ってこい」


マヤがそう声をかけた。軽く頷き、キツネがこっちに向かって走ってくる。当然のようにゴーレムがそれを追跡して一緒にこっちに向かってくる。


「うしろ!うしろー!」


キツネがマヤの目の前までたどり着いた時に、ゴーレムも大きく両手を振り上げる。


「複製する魔法」


同時にマヤが唯一無二の魔法を唱えた。

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