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第十話.接触!巨大ゴーレム

つゆに濡れた稲科の植物の姿をカメラにおさめる。まるで水田の中、汗をかく稲穂のようだ。木漏れ日を反射して幻想的な美しさでもある。身近にあるように思っていたが、目線を揃えて改めてみてみると、まるで違う姿を見せてくれる。


「草の写真を撮ってんの?」

「はい」


ルシアの後ろからキツネの声がする。シャッターチャンスは一瞬だ。心が動いた瞬間に、その動いた心を写真の中に閉じ込めないと。良い写真というのは赤色が綺麗だとか青色が良く出ているとかそういう事じゃない。心が、感情が情報として伝わるかが大切なのだ。ルシアは一つ二つシャッターを切って、カメラを仕舞った。


「なんで草なんか」

「んー……」


なんと言おうか考えていると、横からマヤが現れた。


「肉食にはわかんないよ」

「関係あるか!それに犬科が肉食って何が悪いんだよ」

「犬科は雑食じゃないの?」


うーん、とキツネは一つ唸る。実際彼はフルーツなども食べる。


「だって肉好きなんだもん……」

「好き嫌いしないで野菜も食べなさい」


お母さんか?突然の食育に困惑する。そういえば朝ごはんの時に、マヤがプチトマトを一つキツネの皿に入れていた。食べずに捨てようとしていたところで怒られていたな。私からすると肉を食べないマヤも、好き嫌いという面では同じなんだけど。


「ルシアは好き嫌いないのか?」

「ないです」

「ほんとに?」

「はい」


嘘だろ、信じられないと言った表情で二人がルシアの顔を見る。そこまで驚くことか?キツネが震えながら、ゴーヤとか椎茸も?と聞いてきた。子供か。


「二人は何が嫌いなんですか?」

「野菜!」

「肉」


聞くまでもなかった。


「魚は?」

「「好き」」


声が重なった。何だかこれはこれで連携が取れている良いチームなのかもしれない。記事にはこう書こう「冒険者は魚が好物」である。なんだかんだで野営地を後にして、しばらく進むと大きな岩の塊のようなものが行手を遮っていた。


「何かありますね」

「ゴーレムだな、もし戦闘になるなら厄介だぞ」


ゴーレム。まだこちらには気がついていないようだけど、あの大きさは威圧感がある。見るからに強そうだ。


「ちょっとまって調べてみる」


いつもの資料に、ゴーレムのことも載っているだろう。ルシアはそう言いながら、鞄から資料を取りだした。

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