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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
王都への道〜鬼の少年〜
65/213

似合うぞぼーず

祝!ヘタレの努力家一周期!!


ありがとうございます!!!!


簡単な感想なぞ頂ければそれもまた励みになります!!!!!!




「──ほう〜…ラデンさんは王都の隊長さんでしたか。どうしてこの町に?」




 木製の古びた椅子に座りながらラデンさんにそう問う。


 予想はしていたがラデンさんは結構な立場の人間だった。


 ルギくんは二階でお着替えちう。


 シラタマはいつもの場所(頭の上)で大人しく干し肉をもしゃっておる。




「ちょっと見回りでね。もしかしたら目的は同じかもしれないが……この後は何処に向かうんだい?」




 柔らかな笑顔を浮かべながらラデンさんが答え、逆に今度は聞いてきた。


 うーむ、どう答えるべきか。変に誤魔化すのもなぁ…まぁ目的は教えても問題ないだろう。


 いざとなれば逃げんべ。別にやましいことはしてないけど。


 懐からぺらりと地図を取り出してテーブルの上へと広がる。


 ついーと指を滑らせ、目的地であるルギくんの村へと指し示した。




「この村へ行くつもりなんです。俺は王都に向かうつもりだったんですけど道端でボロボロになったあの子に会いましてね。どうやら祖父が病気で助けて欲しいと。薬とかこの町にあります?物々交換で出来れば譲って欲しいんですが」




「鬼人族の村か。うぅん、病気となれば例の定期病(ていきやまい)か…おかしいな。薬はいざと言う時に備えて余分に仕入れる筈なんだが……」




 ふうむとラデンさんが顎を右手で撫でながら首を傾げる。


 定期病?ああ、牙狼族の村でもあった『あの病』か。


 確かあの時も薬は余分にあったし、それは保管されてた筈だ。


 ルギくんのじいちゃんのだけ無い?…うーむ、きな臭くなってきたな。




「薬なら僕も持っているからそれを譲ろう。何と物々交換するつもりだったんだい?」




 あら、ラッキー。ラデンさんええ人やの。




 二つ目の悩みはこれで解消か。一つ目のルギくんの着替えも解消したから助かる。




「湖で取れた魚の魔物の素材を……ええと、あったあった」




 リュックをもぞもぞ漁ってそのタオルに纏めておいたそれを広げる。


 牙にヒレ、固い目玉に鱗だ。


 ゲボをしこたま吐いた修行の甲斐あってその素材は見事に取ってある。


 いやぁ、あれは辛かったな、はっはっは。




「…これは……良いのかい?ギルドを通せば結構な額になるが…しなくて平気かい?」




「別に良いっすよ。門でのいざこざとかもラデンさんが助けてくれなきゃどうにもならなかったですし。なはははは」




 いやぁ、あの時ラデンさん来てくれなかったらめんどくさい事になってたんだろうなぁ…


 それに比べりゃ安いもんでしょ。


 ルギくんの服代に薬も込み込みだし。




「そうか。なら有り難く受け取っておくよ…っと。良いタイミングだ」




「お、着替え終わったか」




 そうこうしてるうちにルギくんが着替え終わったようだ。




『良いのかよ?結構上物な気がするぞこの服』




 オリーブ色の短パンに落ち着いた色合いの緑色のTシャツ。


 その上に黒い薄手の長袖パーカーを着たルギくんが奥けら現れた。


 靴も走りやすそうなデザインの革のブーツを履いており、ルギくんの風貌もあいまってヤンチャ少年といった姿でとても良く似合っていた。




『おう、似合うじゃねぇか。言葉はわからねぇかも知れねぇけど礼はしとけよ』




「適当に着れそうなのを用意して置いたけど大丈夫そうだね。良かった良かった」




 上物ね。こりゃ尚更素材を譲っておいて良かったな。




『あの…ありがとうございます』




 にこにこと笑うラデンさんに向かっておずおずとしながらもぺこりと頭を下げるルギくん。


 うむ。ルギくんはええ子やの。




『気にしないで良いよ』




『え!?』




 そのラデンさん口から出た言葉にルギくんが戸惑う。




「ラデンさんあんたも喋れたのか…?」




「少しだけね。さぁ、行くなら急いだ方が良い。ここら辺に奴隷商が出ているらしい」




 待て待て待て。ラデンさんがハイスペックだったのは一旦置いといて…それってやべぇんじゃねぇか。




「…ラデンさんまさか…あんた既に?」




「お、当たったみたいだね。さぁ、早く向かうと良い。この家の東からそのまま真っ直ぐ村へ行ける。話しはもう着けてあるから顔パスで大丈夫だ」




 流石ラデンさん。手が早い。


 ルギくんが『ナージ語』しか分からなくて良かった。


 下手に分かってたらどうなるか分からないからな。




「分かりました。ありがとうございます。それじゃあ王都でまた会いましょう!!」




「ああ、王都で」




 そうと決まれば話しは早い。全力でぶっ飛ばしますか。


 シラタマ行くのだぞ、と頭の毛玉をぽふぽふ。




「ふにゅにゅ」




 ふにゅにゅじゃねぇ寝ぼけんな。




『さぁ準備出来たし行くぞルギくん!ぶっ飛ばして行くからな!!』




『もうかよ!!あの!ありがとうございました!!』




『気を付けて』








「さて、あの二人と一匹ぐらいしか来なかったようだしそろそろ休憩を──」




「おう、御勤めご苦労さん。どうだ調子は?」




「あ、貴方は!?な、何故ここに!?」




「あんだよ?俺が『里帰り』しちゃあ悪りぃか?」




「いえ!し、しかし今は本部に居る筈では!?」




「あ〜……話すと長くなるから気にすんな。簡単に言えば王命だ。あんま騒ぐなよ老けんぞお前」




「…それはやめて下さい。少し気にしてるので」




「はっはっは!硬過ぎんだよおめぇは!もっと楽しめよ人生をよ!!」




「…いえ、自分は責務があるので」




「……ほんとかてぇなお前。早く嫁でも見つけろよ」




「流石に怒りますよ」




「はっはっは!悪りぃ悪りぃ!!それじゃあコレやるから少しは楽しめよ!上物の酒だ!そんじゃあな〜!!」




「……行ってしまった」




 手元に残された装飾美しい瓶酒を見つめながら喉奥へと溜まるもやもやとしたモノを鼻先から静かに溢す。


 ああ、相変わらず眩しいお方だ。




「……あれが英雄。そして──現『総ギルド長』か」




 門兵である彼の皺は未だに取れる事はなかった。


 その残る感情は憧れか、嫉妬か、それとも呆れか。


 それは門兵であるシュネルにしか分からない。




「総ギルド長…!どうなさいました…」




「もう分かってんだろ?ラデン。ギルドから連絡が来た。居るぞ奴らが。ここから『東』の村、『鬼人族』の村に」




「──それは!なら今から行かなければ!!」




「馬鹿やろー。おめぇの【能力(ちから)】じゃ間に合わねぇよ。──安心しろ、もう既に送った」




「間に合うのですか?『常人』じゃ今から間に合わない距離ですよ?」




「間に合うさ。俺の兄弟弟子にもなる奴らだからな。ちぃと──『血の気が荒い馬鹿が大将』だがな」





カナタ


「ぬははは!!飛ばすぞ〜!!」




シラタマ


「にゅっふ〜い!」




ルギ


「ぎゃあああああああああ!!!!」

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