毛玉は通常運転です。
あのですね。最近初めてプロテイン買ったんですよ。
安い時をタイミング良く教えてもらったんですけどめっちゃ美味いのねプロテインって←高くて豆腐とか食物でタンパク質取ってた人
朝と仕事終わりと寝る前に飲んでます。チョコミント味おいふぃ。
…
『──なるほど、ルギくんがここに流れ着いていたのはそういう事か』
話しは大体聞かせてもらった……まぁ、言いたくない所は濁してたみたいだがそれを無理に聞く程イヤな奴じゃない。
──にしても……『腐ってるな』この世界の一部も。
ルギくんの話しを聞いて最初に思った感想はそれだった。
ヴァサーゴさんの村みたいに平和で、仲間の笑顔が溢れる場所ばかりではない事をまざまざと思い知らされた。
そして俺が初めてヴォルグ達に会った時、その眼にあった『訝しげ』な視線も今となれば分かる。
──この世界でも腐った奴はいる──という事か。
それにしてもその奴隷商の奴もクソすぎんだろ……まぁ、良い。
今はこのルギくんが無事で良かった。
俺は聖者じゃない。だが俺が出来るならば、やる事をやろう。
『良し、なら行くぞ。今すぐに』
『え?』
懐から地図を取り出し、広げる。
ふむ?地図上には村はヴァサーゴさんの所以外は小さめの町が幾つか……これか。
この湖を越えた少し離れた場所に一つ、ぽつんと村があるようだ。
王都への道から少し外れてるがそこはまぁ良いだろう。
この湖近くの町に寄ってルギくんの服でも手に入れるとしよう。
ルギくんの今の服装は薄汚れたボロボロの物になっている。
汚れの目立つ白いTシャツには所々に擦り切れた穴があり、紺色のハーフパンツも同様だった。
一応乾いたものの、それで過ごすのは疲れも取れんし動きにくかろう。
今は素寒貧だが、金の代わりにこの魚の魔物を捌いた時に出たもんでなんとかなるべ。なんとかするさ。
『い、行くって何処に?』
え?マジで?と目をぱちくりさせながらルギくんが聞いてくる。
何を言うとるのだこの子は。
『んなのルギくんの村に決まっとろう?ほんで?ルギくんの村はここかい?』
『多分そこ…だと思う。近くに他の村とかは無かったし』
おおあたりー。んだらば早速向かうする…荷物どうすっか。
ふと、足元に置いたスクエアリュックを見る。
頭にはシラタマ、背中にはリュック…はて、どうしたものか……右肩に担ぐか、そして背中にルギくんを背負えば良いな、おし解決。
『ほれ、はよ背中に乗りんしゃい。裸足だし、乗り物もないままじゃ俺に追いつけんだろ』
ここまで来た際に使った【滑歩】は全力じゃないしな。
その速度に小さい…大体十歳ぐらいのルギくんが追いつけるとは思えないし。
『良いのかよ?オレが嘘を言ってるかも知れないんだぜ?』
おや、何を言うとるか。
『はっはっは、嘘ついてる奴がわざわざ打撲跡に手錠付けて頼むかよ。あの必死な顔で嘘だったら今頃お前はここに居ねーだろ』
『ッ……』
ハッとした顔でルギくんの声が詰まる。
つれぇよなぁ……頼る人が居なくなっちまった辛さはよ。
よし、ならば。
『黙ってこのお人好しのおっさんの提案に乗っておけ?飯、美味かったろ?』
『……この手錠じゃなんか問題になるぜ。鍵なんてないだろ』
す、と両手に別々で付けられた手錠を見せつける。
ふぬ?ぶっ壊すか。
『どれ見してみ…おいせっ』
『えっ──!?』
響き渡る短めの、鈍い金属の破砕音。
次いで驚愕に変わるルギくんの表情。
なんだ──今の俺にとっちゃ脆いな。
『もう一つも──ふんっ──ほいおーけぃ』
再び聞こえる金属の破砕音と共にぽぽーいとガラクタへと変わり果てた手錠だった物を足元へと投げ捨てて問題解決。
いっけね、ゴミは持ち帰りませう。ポケットにないないしませう。
『えぇ…』
『何をぽかんとしている。この程度じゃあ今から移動する時やべぇぞ。ほれ背中に掴まれ』
さっきまであれほど必死な表情をしていたが、今では口をぽかーんとまぬけに開けているルギくんの表情のギャップをあえてスルーしてしゃがみ込む。
マシュマロでも突っ込んでやろうかな。マシュマロ自体持ってないけど。
などと、下らない事を考えながら右肩に荷物を担ぎシラタマを呼ぶ。
『シラタマ行くぞー。すてんばいしーや』
「ふにゅー」
てってけ、てってけ、ほよんほよんと、頭の上という定位置によじ登るシラタマ。
すてんばーい!と言うかのようにふにゅーと鳴くシラタマさんが楽しそうで何よりです。
『……』
どうしたことでしょう。ルギくんが固まっています。
よし、勝手におぶってしまおう。
『さー行きますよー。結構本気で飛ばすから意識しっかり持つんだよー』
『へ?え?』
しゃがみながら自分の背中にルギくんをすくい、乗せて、左腕でしっかりと保持。
うーん、軽い。やはり筋肉は偉大なり、鍛えた甲斐が実感出来るのはやっぱり分かってるけど普段触らない物が軽く感じた時よな。
『火も消したしさー行くぞー』
『え、徒歩でどうやっ──』
ルギくんの言葉をぶっちぎり、力を込める為に沈み込んだ身体が解放される。
──ッ!!!
岩が叩きつけられたかのような重たい音と共に地面が陥没し、土が舞い上がる。
そして──空中にて鋭い風が叩きつけられる前にルギくんが叫んでいた。
『──にぇええええええええええええッッ!!!!?』
風が撫で、日差しが差す平和な湖へと響いていくその叫びはとても良く伸びた。
うん、煩かった。耳元だし。
なんかごめんルギくん。でも忠告はした。俺は悪くない。
…
カナタ
「耳がッ!耳がッ!!!」
シラタマ
「…に゛ゅっ」
ルギ
「───ッ─ッ────!!」←謎の絶叫中




