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ヘタレの努力家  作者: りばーしゃ
第3章 武術大会〝アーツカッチア〟
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組み合わせ、発表




「なるほどな。通りで体術がやたらうめぇしあのシュエンさんが褒める訳だ」




 ゼーベックの話しを聞いて今まで不思議に思っていた身体捌きに納得。


 我流にしてはしっかりと型っぽいのがあるし何より身体の使い方が上手かった。正真正銘の我流と成りつつある俺とは雲泥の差な訳だ。




「女好きさえ無ければカッコいいのに…」




「ふにゅ」




「何言ってやがる、だからカッコいいんだろうが」




 ジト目をするルギくんとシラタマにズレた訂正を入れるゼーベックに、俺とシャクの言葉が脳内で重なった。


 ダメだこいつ、手遅れだ──と。




「よし、タマさんにちくっておこう」




「おっけー、旦那。ヘイ、ケスルタ、タマちゃんの連絡先出し──」




「うおおおぃ!?それは待て!やめろぉ!!!」




 そうだタマさんに頼もうとケスルタに頼む寸前でゼーベックが慌てて制した。




──弱み握ったからなんかあったら連絡して良いよん。




 と、快く連絡先をくれたタマさんは悪戯めいたとても良い笑顔をしていた。ノンさん経由だったからとても助かる。




「…っぐ…そうかあん時タマを仕向けたのはてめぇかカナタ…!」




「〜♪いやぁ俺のじゃなくノンさんの案だしー?ほらその俺の襟元を掴む手を放したまへ」




 ぎう、と程よく痛くなるように右手の甲をつねると、ぎゃあ、と良い反応をしてゼーベックが離れた。ぶぁかめ、わざわざ射程範囲に来るとは。




「……ッこの馬鹿力め…クソ…おーいてぇ」




「ルーインさんが言ってた〝スライ〟ってのはバルロさんと同じ英雄の〝氷炎のスライ〟って人だったんだな」




「なにもんだよあの色気の塊みてぇな美女は。タマの目さえ無ければお近づきになりたかったぜ」




「とあるバーハウスのオーナー。あの人バルちゃんの友人だぞ」




「げっ…辞めとこう。オレはまだ〝あっち〟に行きたくねぇからな。もう一人は〝大物〟だしよ…お前が好かれてるのも訳わかんねぇ…」




「もう一人…アンヴィさん?」




「お前知らねぇのかよ?あの女性は各国の王と同格でもある〝七つの大罪〟と呼ばれた機関の一人、〝嫉妬のアンヴィ〟だぞ。予選前以来にもう一度会えるなんて幸運だったからお茶にでも誘おうと思ったけどなんかお前にべったりだしよ…」




「は?……あの人そんなにすげぇ人だったのか……」




「もう一人の美女も美女で英雄の一人、〝熱波のアルーラ〟の姉のレーゲンティエ・フレアトスさんだしよ…」




「ハァっ!?姉!?英雄の!?」




「っだぁー!うるせぇな!知らねぇのにあの距離感っててめぇどーなってんだよ!!」




 俺の驚愕の声にゼーベックが耳を塞ぎながら吠えた。


 いかん、思わず至近距離でデカい声を出してしまった…まだあまり話していないアンヴィさんはともかく…れーちゃんが英雄の姉とは…前に言っていた〝コネ〟とはそれ関係だろうか。




「はー、まだ耳がキーンとしやがる…まさかこの無知が美女に寄られるコツか?」




「カナタの場合は性格故だと思いますよゼーベック。ひとまず今日は──〝トーナメント表〟を確認して宿に帰りましょう。そろそろ組み合わせが決まった頃です」







「お、デンイじゃねぇか。おーい」




「おお、おめぇ等も来たか。見てみろよカナタ、面白ぇ組み合わせだぜ」




 トーナメント表が張り出されいる場所に着くと、他の選手達に紛れながら、いつもの袈裟けさに身を包んだデンイが錫杖しゃくじょうを杖代わりにそこに居た。


 口元を悪戯に吊り上げながら、指差すトーナメント表を見てみると…




 準々決勝、トーナメント表。




 第一試合、スタナー・テラポス対ホコラ。


 第二試合、アガポジ対炎雷流武術一派えんらいりゅうぶじゅついっぱ


 第三試合、狂狼鬼きょうろうき対とんがり団。


 第四試合、妖風霜ようふうそう陰陽化怪流(いんようけがいりゅう)




 と、明日の組み合わせが記載されていた。




「…うちらの相手はアイツか……アガポジってなんだ?」




「兄ちゃん兄ちゃん、一回戦の勝利祝いにも来てくれたオレの知り合いのギルド員のパーティの名前だよ」




「ああ、あの鳥人と虎の獣人の。あの人達のパーティ名なのか…しかしどんな意味が……」




 その不思議なパーティ名に思考を凝らすが全く分からない。アガポジ…?なんの意味があるのだろうか…んん〜…




「みんなの頭文字取って付けたテキトーな奴だって言ってた。はやぶさの鳥人のアーニスゾイルさん、虎の獣人のガルマルさん、小熊貓レッサーパンダの獣人のポコポコさん」




「名前カッコいいし可愛いなおい」




 あの人達そんないい名前だったのか。ポコポコて……可愛いなおい。最後の一人はなんだろう。




「あとパンダの獣人の……ジャムスティン二世さん」




「いや最後よ!?パンダで可愛いのに名前クソカッケェなぁおい!?」




 パンダという可愛いのにそのカッコいい名前に目ん玉飛び出るわ!二世!?二世なの!?なにあの人達色々すげぇなおい!!


 と、驚いてる俺にデンイが付け足すように新たに見たパーティ名を口にする。




「ちなみに妖風霜ようふうそうってのは〝霜月のオーダム〟が居るパーティな。妖精三人と巨人一人の変わったパーティだ。トウカとシュエンが喜んでたぜ」




「ああ、可愛いのと強いのに喜んでるのね。…となると準決勝の相手は──」




「ああ、狂狼鬼きょうろうき──ヴィレットのパーティが相手だろうな。とんがり団が勝ってくれたら楽なんだが……負ける気は更々ねぇからな。ま、そっちも精々負けんじゃねぇぞ」




剣閣けんかく…ホコラか…確かにな、人の心配してる場合じゃねぇか」




 右拳を握り締め、以前森で見たホコラの太刀筋を思い出す。あの速さ、人の心配より我が身だな。




「ま、やるようにやるさ。じゃあ明日の大会でな、デンイ、ソウコさん達によろしく」




「おう、じゃあな」




「さぁシラタマ、ルギくん、宿で美味しいご飯食べてゆっくり休もうか」




「ふにゅー♪」




「休むー!」




 にこっぱと笑うルギくんの頭で弾む毛玉。うむ、かわいい…っは!信者が居るぞ!早く奉られる前に帰らねば!!





 夕暮れに差し掛かる古びた廃墟とも言える屋敷に一人の男が、ギィと壊れそうなドアを開いて足を踏み入れる。


 すると、目元を長い艶のある藍色の髪によって完全に隠された白いダボついたパーカーを着た女性がふわふわとした眠そうな口調で男に声を掛けた。




「おかえりぃ〝レナード〟の旦那ぁ。どーだった〜?自らの足での視察は?」




「ひははッ、ああ、ニコールか、出迎えご苦労。中々面白かったぜぇ?オレが行って正解の強力な結界もあったしなぁ…〝新入り達〟はどうなってる?」




「ジャンちゃんと一緒に地下で悪魔の力の磨いてるよ〜。ちょっと調子こいてウザいくらい」




「ひははッ!そりゃあ結構……久しぶりにわざわざ〝喫煙所なんて使った甲斐があった〟ってか…」




 大会の決勝まで──あと二日。

ルギ


「兄ちゃんの身体マッサージしてあげるよ」



ゼーベック




「オレにも頼むぜルギ坊主、いやぁ疲れた」




カナタ


「テメェには俺がごりっごりにほぐしてやろう。シラタマ、逃すなよ」




シラタマ


「ふにゅ」




ロス




「痛みは僕がぎりぎり失神しないようにしましょう。ダグ、抑えるのは頼みました」




ダグ


「あいよぉ」

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