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第64話【爆熱のS級ドラゴン】★

 後退に後退をかさね、ついには城の手前まで攻め込まれてしまった。

 アークルムの【ドラゴンキラー隊】である隊長は、不甲斐ない己の実力に歯を食い縛る。


 くそ!

 ゲートの突破を阻止できず、この一匹さえ止められないとは!


 奴等はこの紅く巨大なドラゴンマンを先頭にして攻めてきた。

 軽く20メートルはあるこのドラゴンマンは、まるで最初からこちらの【魔法大砲】を知っているかのような動きで、優先的に胸壁に配置された【魔法大砲】全てを狙って破壊してきたのだ。


 おかげでこちらの切り札は無くなり、交戦も虚しく城の手前まで後退を余儀なくされてきた。


 後退の度に思う。

 どれだけの仲間が死んだのだろう。

 どれだけの民が死んだのだろう。

 

 何をやっているのだ、俺は……。


 どうする?

 どうすればコイツを止められる?


 何時間にも及ぶ攻防ですでに疲労がたまり、全身の感覚がおかしくなっている。

 息も上がっている。

 気を抜いたら倒れそうだ。


 この目前の巨大ドラゴンマンの攻撃は苛烈で、避けるだけで精一杯だった。

 なんとか攻撃しても、あまりにも硬い竜鱗に阻まれて弾かれてしまう。

 切れ味は最高レベルのミスリル製の大剣だというのに。


 巨大ドラゴンマンは紅く煌めく豪腕(ごうわん)を振りかざし、地面に向けて叩きつけてきた。


 刹那に轟く大爆音と、間もなく響く部下の悲鳴。


「うがあっ!」

「ぎぃあっ!」


「アード! ガロム!」


 吹き飛んだ部下の名を叫ぶ。

 その一撃により地面に突っ伏した彼らは、力尽きて動かなくなった。


 駆け寄る間もなく巨大ドラゴンマンがこちらに向かって飛び、その大きな手で掴み掛かってきた!


 捕まる!


 避けられないからそう思った。

 そのとき──

 

「ガイス隊長おおおお──!」


 生き残りの部下に体当たりされ、ガイスと呼ばれた隊長は横へ吹き飛んだ。

 吹き飛ばされたガイスは慌てて起きて、体当たりしてきた部下を見る。


 彼は巨大ドラゴンマンの大きな手に捕まり、顔以外は握り締められていた。


「レスター!」


 ガイスは叫んだが、次の瞬間──


「ガイス隊長! 逃げ──」


 部下レスターの言葉は最後まで聞けなかった。

 彼を掴んでいた巨大ドラゴンマンの手が紅く光って爆発を起こしたからだ。


 爆砕され、跡形もなくレスターは弾け飛んだ。

 遺体さえ残らない。

 木っ端微塵だ。


「レスター……」


 アード・ガロム・レスター。

 長年いっしょに戦ってきたS級騎士の部下たちが、みんな死んだ。

 こんな一匹のために、みんな……。

 

 巨大ドラゴンマンは自分の手のひらを見て、黒こげの肉片を払い落としてキシャシャと嗤った。


 こいつ!


 ガイスは(はらわた)()えくり返った。

 大剣を握り、すでに体力の限界を迎えている全身にムチを打って駆け出した。


 周りではまだ味方のA級騎士たちがA級ドラゴンどもと必死に戦っている。

 S級騎士の自分が、S級ドラゴン相手に死力を尽くさないでどうするのだ!


 勝てないのは分かってる。

 わかってるんだ。

 自分の惨めな実力の程度もわかっている。


 あの【エルガンディ王国】で見たS級騎士の【フランベール・フラム】という女にも敵わない実力だ。

 

 あの女に見せつけられてから、考え方は変わった。

 本気で強くなるために、特訓も根底から見直して、実力の向上を計った。


 しかし、(とき)がそれを待ってくれなかった。

 次から次へとS級ドラゴンが襲ってくる。

 最初はたまたま【魔法大砲】のおかげで事なきを得た。


 でも、幸運はずっと続かない。

 今回はもうダメだ。

 本当に敵わない。


 でもせめて、一撃だけでも思い知らせてやる!


 でないと、自分の不甲斐なさのせいで死んでいった者たちに申し訳が立たない。


「うおおおおああああ!」


 腹から吐き出した気合いの声と共に、大剣を敵の足に叩き込む。

 しかし呆気なく弾かれた。


 くそ!

 こうも簡単に!


 巨大ドラゴンマンはこちらをギョロっと睨み、爪をギラつかせると、それをガイスに振りかざしてきた。


 咄嗟に大剣でガードをしたが、その大剣ごと斬られて、同時に吹き飛んだ。


「ぐぅっ! ……け、剣が!」


 城門に背から叩きつけられたガイスが破壊された大剣を見る。

 斬られたというより、溶けたような斬り口だった。


 まさか、溶断されたのか!?

 バカな……ミスリルだぞ!

 奴の爪はどれだけの高熱を!?


「!」


 よく見ると大剣を貫通していたらしく、自分の鎧にまで爪で溶断された箇所があった。

 あと少し深かったら、肉体にまで届いていただろう。


 いや、届いていなかったからどうだというのだ。

 事態は変わらない。

 ついに武器さえも失った。


 もう戦う術がない。


 その事を察してか、巨大ドラゴンマンは嗤いながらこちらにジリジリと迫ってくる。


 ここまでか!


 腹を括ったが、突如として巨大ドラゴンマンが何かを感じたようにピクリと止まり、後ろへ振り向いた。


 何やら背後のA級ドラゴンたちが咆哮している。


 なんだ?


 見れば、A級ドラゴンどもを薙ぎ払いながら一直線に疾走してくる人影があった。

 それは漆黒の鎧を身に(まと)った銀髪の男。


「あれは!」


【エルガンディ王国】で見た少年だ。

 たしか【ドラゴンキラー隊】の隊長だったはず。

 名前はたしか、ゼクードだったか?


 しかし、なぜここに?

 まさか……救援に来てくれたのか!?


「うおおおおっ!」


 少年はロングブレードを抜刀し、巨大ドラゴンマンの足に斬りかかった。

 竜鱗と刃がぶつかり、バチンッと火花を散らす。

 間もなく竜鱗から僅かだが血が吹き出た。


 刃が通った!


 ガイスはその光景に希望と感動を覚えたが、当のゼクードは驚愕したような顔になっていた。

 理由は分からない。


 巨大ドラゴンマンは切り傷をつけられたことに驚いたようで、いったん大きく後退してゼクードから間合いを取った。


 凄い。

 あのドラゴンマンを後退させた!


 しかしゼクードは止まらない。

 後退した巨大ドラゴンマンを追撃して更なる斬撃を繰り出していく!


 足を執拗に斬られ、それでも反撃に転じてきた巨大ドラゴンマン。

 豪腕を真紅に輝かせ、ゼクードに向かって爆砕の鉄拳を放つ!


 それを避けたゼクードだが、爆発することを知らない彼の回避は浅かった。


「もっと大きく避けろ!」


 ガイスは咄嗟に叫んでいた。

 こちらの声に反応して、一瞬だけゼクードがこちらを見たが、その顔は次の瞬間に起きた大爆発に飲み込まれて消えた。


 ──が、刹那に爆煙(ばくえん)(いと)を引きながら中から飛び出してきた!


「ちぃっ!」とゼクードは地面に前転しながら着地し、すぐさま巨大ドラゴンマンに向き直りロングブレードを構え直した。


 僅かに爆破をくらったらしく、彼の全身から煙が上がっている。


 巨大ドラゴンマンが仕留め損なったゼクードを見て爪をギラつかせた。

 するとその爪がバキンと音を立てて破壊された!

 巨大ドラゴンマンが驚きで目を見開く。


 爪が破壊された!?

 まさかあの少年、さっきの爆破の時に回避と同時に攻撃していたのか!?


「へへ、ざまぁみろ!」


 そう笑ってみせたゼクードを見て、ガイスはやはりと確信した。


 なんて奴だ。

 これほどの芸当ができる少年だったとは。


 さすがはあのフランベール・フラムの上に立つ隊長ということか。


「来いよドラゴンもどき。火遊びの時間は終わりだぜ」


 ゼクードがロングブレードを構え、対する巨大ドラゴンマンが怒りの咆哮を発した。





※遅くなって申し訳ありませんでした。

 フランベール・ローエ・カティアの三人が御詫びにサービスをしてくれました。


『カスタムキャストの画像あり』

見たくない方はこのままお戻りください。














フランベール「ゼクードくん。遅くなってごめんね。御詫びにハイこれ!国王さまにお願いして作ってもらったよ」


挿絵(By みてみん)


ゼクード「マジっすか!めっっっちゃ可愛いです先生!」

フランベール「ありがとう♪喜んでもらえてよかったよ」



ローエ「隊長。御覧になって」


挿絵(By みてみん)


ゼクード「うおおおお!ローエさんまで!」

ローエ「んふふ、今回はサービスですわ」



ゼクード「カ、カティアさん!」


挿絵(By みてみん)


カティア「……言っておくが今回だけだぞ?」

ゼクード「わかってますって!」(なら目に焼き付けておこーっと)


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