第17話【連携攻撃】
俺たちはドラゴンを探して森まで来た。
しかしまだ見つからない。
狩猟区に侵入してきているドラゴンは、今日はどうにも少ないようだ。
そしてついでに言うと俺は今、最高にベストなポジションにいたりする。
俺の前を歩くのはカティア・ローエ・フランベールの三人。
ほんの少し距離が空いた、実に良いレンジにいる。
これは【ドラゴンめくり】もとい【スカートめくり】が出来てしまう距離だ。
剣で風を起こせば三人の美女たちのスカートを見事にめくらせることができるだろう。
フランベール先生に至っては純白の太ももが窺えるほど裾の短いスカートなので実にやりやすい。
さて、この絶好チャンス。
どうする俺!
いや、でも女の子が嫌がる事をするのは俺の騎士道に反する。
ここは我慢──
『我慢するな。このチャンスをものにするんだ!』
な!?
こいつはなんだ!?
俺の心の中にいる悪魔か!?
『そうだ。俺様はお前の心の悪魔だよ。それは置いといて、お前はこの時のためにこの【ドラゴンめくり】を死に物狂いで会得したんじゃないのか?』
いやさすがにそれはないよ!
どんだけスカートめくりたいんだよ俺!
うん、まぁ、全否定はせんけど。
『いけませんよゼクードさん!』
何奴!?
お前は誰だ?
さては俺の心の天使か? 流れ的に。
『いえ悪魔です』
悪魔かよ!
俺の心に天使いないの!?
『残念ながら天使はいません。とにかくそれは置いといて』
いや置くなよ。
『ゼクードさん。その悪魔の言いなりになってはいけません!』
お前も悪魔じゃん。
『彼女たちのスカートをめくるなら戦闘中が好ましいです。今やってはどう見ても不自然で故意だとバレます。しかし戦闘中ならば誤射・事故と見せることも可能です』
『お、いいなそれ。それで行こうぜゼクード』
えと、あの、うん……お前ら帰れ。
『『え!?』』と悪魔の共鳴。
「ゼクード隊長」
「は、はい!? なんでしょ!」
いきなりローエさんに呼ばれてビックリした。
我に返った俺は前にいるローエさんを見た。
「まさか、わたくしたちのスカートをめくろうなんていま考えていませんわよね?」
なんかバレてるんですけど!?
「ととととんでもない! なんでそんな事を急に?」
「凄くいやらしい気を感じましたわ」
「私もだ」
カティアさんまでええええ!?
こ、こええええ!
女の勘ってやつだろうか?
鋭いにもほどがある!
「カティアさん。ローエさん。ゼクードくんはそんなこと絶対にしないわよ。わたしが保証するわ」
フ、フランベール先生!?
「ゼクードくんはね。女の子が嫌がるような事は絶対にしない子なの。先生は知ってるよ?」
『ぎぃぃいやああああああああああああああああああ!』
『あんぎゃらばあああああああああああああああああ!』
うわぁ物凄く下品な悲鳴をあげて俺の悪魔たちが滅されていった! なんかざまみろ!
そして俺も心が熱い!
心が焼けていく!
フランベール先生の俺を信じ切った眼差しが辛い!
もの凄く辛い! 太陽だよあれ!
「もちろんですよフランベール先生! 俺は女性思いなのでそんなことはしません!」
白々しい。よく言うな俺。
──っと、良いタイミングだ。
探していたドラゴンのお出ましだぜ。
森の奥をのしのしと歩いてくるのは赤いA級ドラゴン。
俺達はとっさに茂みに身を隠す。
「ドラゴンですわ!」
「よし。じゃあ打ち合わせ通り行きますよ!」
俺の指示に三人が「了解!」と応え、茂みからみな飛び出した。
ドラゴンがこちらを発見するやお決まりの咆哮を発する。
先にローエさんとカティアさんが前に出た。
するとドラゴンはローエめがけて火球を発射する。
その火球にローエは避けようともせずそのまま突っ込む。
無謀にも見えるローエの突撃は、カティアがすでに前に割り込んでいたからこその突撃だった。
カティアは装備した大盾でその火球を受け止めローエを防御する。
ローエはそのカティアを避けて走り抜け、ドラゴンの剥き出しの頭部に迫る。
ドラゴンはローエを捉え、噛みつき攻撃を仕掛けてきた。
──が、その開けた大口にフランベール先生のアイスアローが突き刺さる。
喉に刺さった氷の矢に、さすがのドラゴンも痛みで怯みを見せた。
その隙を逃さずローエがドラゴンの頭部をフルパワーで叩きつける。
バコォンと地面にドラゴンの頭部がめり込む。
ここだ!
俺はロングブレードを抜刀し、一気に駆けた。
闘気を高め、すれ違い様にドラゴンへ長剣を薙ぎ払う。
その薙ぎ払いで生じた風は斬撃性を含み、ドラゴンの竜鱗を逆撫でする。
バリバリと音を立て、ドラゴンの竜鱗が見事に剥がれていく。
剥がした箇所は全身だ。
A級サイズなら【ドラゴンめくり】一発で竜鱗を全剥がしできる。
「今だ!」
俺が指示を飛ばすと、カティアさんとフランベール先生が竜鱗を無くした防御力0のドラゴンめがけて攻撃を開始した。
カティアさんはドラゴンの左足をバスターランサーで突き刺し起爆!
突き刺しからの爆発でドラゴンの肉が弾けとぶ。
フランベール先生は左の後ろ足を狙って狙撃。
立て続けにアイスアローを撃ち込み、ついにドラゴンが左側へ転倒した。
「隙ありですわ!」
転倒したドラゴンにローエがトドメの一撃をお見舞いする。
カチンと【トリガーウェポン】の起爆で追加ダメージも忘れない。
マグナムハンマーの起爆をくらったドラゴンは絶命し、動かなくなった。
「うん。なかなか良い連携でしたね」
ロングブレードを背の鞘に納めた俺が言うと、カティアが肩を竦めた。
「良い連携だったが、少し時間が掛かっているな」
「時間は掛かってもいいんですよ。これはS級ドラゴン戦に向けての連携練習ですからね」
S級ドラゴン相手にこの連携が通用するかは分からない。
だが、戦いの選択肢は多くしておいた方が絶対に良いはずだ。
今回のこの連携も、S級ドラゴンへのひとつの抵抗手段になればいいが。




