親友として
2話完結予定
なぜ、なんで…
俺には去年まで同じクラスだった親友がいる。
俺、佐山 翔琉は中学3年の明るいだけが取り柄の男子だ。クラスメートから人気もあり、部活もサッカー部でスタメンを任されて、県大会でベスト4まではいった。今は生徒会長として頑張っている。
はっきり、部活バカで成績はそこそこな俺が生徒会長なんてなれたのは親友のお陰だ。去年、クラス替え前のクラスメートたちに推薦されて候補者となった俺は、正直に言えば当選なんてしないと思っていたし、それでも、俺を推してくれた友達のために頑張ろうと思った。その甲斐あって当選したんだけど、本当に親友のお陰だ。
俺の親友は佐々木 啓充って言う。
一年生の時に初めて会った印象は暗くて静かな奴だった。実際、ひろは静かで内気で、周りと溶け込むのが苦手だった。いつも一人で教室で本を読んでいるような、黙々と何かをしているような、少し変わった奴だったんだ。でも、話しかけてみると、たどたどしいけれど、なんとか応えてくれるし、少しからかうとちょっとオーバーなリアクションでやめてよ、と抗議して来るのが、リスみたいで可愛い。
俺が絡むようになって、周りは自然とひろと馴染むようになった、元々は真面目で配慮できるいい奴なのに、なんか暗くて、なに考えてるか分からないと遠巻きにされていただけだから、ひろのいい所を知れば、当然だと思う。
ある時、俺は給食当番で並んで順番に配膳された給食を取りに来るクラスメートに箸を渡す役をやっていた。
わりかし後半に並んで来たひろを少しからかう。素直に箸を渡す振りをして、あえて外す。最初は自分が受け取り損なったと、ごめんと言いながら取り直そうとするひろに、俺は数回、わざとらしく避けて見せる。
「やめてよ、後ろつかえてるから、迷惑になるよ」
顔を赤くして、少しばかり頬が膨らんでる。後ろに並んでるクラスメートも可愛いリアクションに微笑ましそうにしてるし、ちゃんと周りに気を使える親友に、ごめんと謝りながら箸を渡した。
選挙の応援演説を頼んだのは、そんな親友だったからだ、人前で喋るのは苦手だろうから、断られたら原稿を書くだけでもお願いしようと思っていたが、「…わかったよ」と小さく了解してくれて、本当に嬉しかった。
ひろの応援演説は凄かった。
たどたどしい口調で吃りながら、それでも必死に汗を流しながら読んでくれた応援演説は、とても話題になり、結果として俺は当選できた。
3年に進んでクラスが変わったけれど、目指す進学先の高校は一緒のようだ、俺はあいつに、また同じクラスになれると良いなって言ったんだ。
なぜ、刺されてるんだ、俺。なんで、あいつに…
ひろに…
なんで……なぜ…真っ赤な顔して、僕は奴隷じゃないなんて言ってるんだよ…
奴隷って…なんだよ…
次話は佐々木くん視点です。




