97.火の勇者ヨウ
俺たちは南の国フォティヤトゥヤァへと上陸した。
火山の活発化にともなって、国はヤバい状況にあるらしい。
船が近づけないほどの熱気を放っていたため、俺とポロだけが先行して上陸し、暑さの原因を突き止めてくることにした。
ややあって。
俺たちは小型の魔法船にのって、島へと向かっていた。
元々乗っていた船は、かなり沖の方で停泊している。
近づきすぎると船員たちが全員熱でまいっちまうし、何よりさっきみたく噴石が飛んでくるかもしれないからな。
「ヴィル様……見えて参りましたね、陸地……というか砂浜が」
だんだんと砂浜が近づいてくる。
そのときだった。
ぴくん、とポロの耳が揺れ動く。
「ヴィル様! 敵が近づいてきています!」
「なに? どこだ?」
島の方から近づく敵は見えないし……。
まさか。
ずぉおお! と水の中から何かが急速に浮かび上がってくる。
ザパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
「ヴィル様! 巨大魚で……」
す、と言い終わる前に……。
何かが高速で、巨大な魚をぶち抜いたのだ。
「な!? 魚の頭に穴が……!」
一瞬の出来事だった。
敵の頭に風穴があいたと思った次の瞬間、
ズドドドドドドドドッ……!!!!!!
「今度は身体が蜂の巣に!? あれは……!?」
「魔法矢だ」
「まほう……や?」
「ああ。魔力で作った特殊な矢だ。いろんな効果がある。今のは……星の矢」
「!? 知ってるんですか、ヴィル様!?」
ああ。
知ってるさ。
あれほどまでの魔法矢の使い手は……。
現代に一人しか居ないだろう。
「あそこに居るやつが、助けてくれたんだ」
ポロが首をかしげる。
だが目をこらして、やっと気づいたようだ。
砂浜にひとり、影の薄い人物が立っていた。
そいつは砂色の外套で身体をすっぽり覆っている。
弓を持つ手は日に焼けていて、かぶった外套の奥からは、緋色の瞳が見えていた。
「ヨウだ」
「! ヨウって……火の勇者の?」
「ああ。あいつが火の勇者ヨウ・スナイプ・ファイアローだ」
魔法矢を放った勇者を見て、俺はそういったのだった。
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