77.一撃ザコ
《ウィニーSide》
……信じられないことが起きた。
ウィニーは獣人国から遠く離れた場所、地面に……仰向けになって倒れている。
「そんな……ばかな……ぼくが……負けた……?」
ウィニー。
七福塵が作った作品のひとりだ。
彼女は自分が最強……いや、作者の最高傑作だと自負していた。
しかし……負けてしまった。
「うそだ……うそだうそだうそだ! ぼくが……負けるはずない!」
超高速の跳び蹴りを、ヴィルにお見舞いしたはずだった。
誰も視認できないほどのスピードで、真正面から、ぶち抜いてやるつもりだった……。
だが結果は一撃。
ハンマーの一振りで、ウィニーは吹っ飛ばされたのである。
「う、ぐ、そ……ぐそが……くそがぁあああああ!」
ふらふらになりながら、ウィニーは立ち上がる。
右顔面がハンマー状にくぼんでいた。
「覚えてろよ八宝斎ぃいいい! 貴様は殺す! ぼくが……絶対殺す!!!!!」
今回負けたのは、己に油断があったからだ。
所詮相手は人間。
父が作りしこの特別な存在である自分が、負けるはずないという、おごり。
それがあったから負けたのであって……。
「ぼくがよわいから! 負けたわけじゃないからな! 八宝斎ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」




