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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
二章

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58.獣人剣士、感謝されるもとまどう



 ヴィルから与えられた聖剣で、獣人少女ポロは、病気の村人たちを直した。

 しかし直後、魔力切れを起こし、気を失った……。


 それからしばらくして、ポロは目を覚ます。


「ここは……」

「よっす、ポロ」

「ヴィル様……!」


 ポロがガバッと身体を起こして、頭を下げる。


「申し訳ありません!」

「へ? 何謝ってんだよ」

「ヴィル様が作ってくれた剣を使ったのに、あのようなふがいない結果になってしまったことが、申し訳なくて……」


 ポロは光の聖剣ルクスを使った。

 しかし途中で、ポロは気絶してしまったのだ。


 以前、セッチンによって破壊された王都を、ヴィルは同じモノを使って、一瞬で治し、さらにその後戦闘まで行ったというのに……。

 一回使っただけで倒れてまうという、なんとも駄目な結果に終わってしまった。


 これでヴィルの武器を、ひいてはそれを作成したヴィルの格を落とす結果となる……。

 だがヴィルは、ニコッと笑ってポロの頭をなでた。


「どこがふがいないんだよ。大成功じゃあないか」

「え……?」


 ヴィルが立ち上がって、ちょいちょいと手招きする。

 どうやらここは、獣人たちの村にある、家のなかのようだ。


 ヴィルと一緒に外に出ると……。


「あ! 勇者のお姉ちゃんだ!」


 わっ! と獣人の子供たちが近づいてくる。

 みんな笑顔で、しかもフレンドリーだ。


 獣人はよそ者に対して、かなり警戒心を強く持つ。

 同族であっても同じだ。


 しかし村の子供たち、そして大人たちも、ポロに笑顔を向け、そして近寄ってくる。

 ポロはその信じられない光景に思わず戸惑う。


「勇者様、ありがとうございます!」「おかげでおなかが痛いのがなおりました!」

「え……?」


 周りに居る人たちが皆笑顔だ。

 しかも治ったという……。


「そんな……途中で倒れたのに……」

「でも、ちゃーんと全員の治療はできてたみたいだぜ」


 うんうん、と村人たちがうなずき、そして感謝の言葉を口にしていく。

 全員が感謝していた。


 ……うれしさよりも、困惑してしまう。

 同じ聖剣である夜空を使ったときは、ヴィルは褒めてくれなかった。


 でも今は、よくやったと頭をなでてくれた。

 この違いはなんなんだろう……。


「…………」


 魔力が途中でつきて、気絶した。

 明らかにルクスを使い切れていない。


 絶対に、怒られるか、失望されるかと思っていたのに……。


『ポロよ。素晴らしかったのじゃ。わらわも使われる立場として嬉しく思うぞ。無論、ルクスもそう思っておるじゃろうな』


 ……闇の聖剣、夜空が言う。

 それでもポロは、やはり納得ができなかった。


 ……どうしてみんな、褒めてくれるんだろうかと。

 こんな、全然、聖剣を使いこなせない自分を……どうして、勇者って呼ぶんだろう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者って何でも完璧に出来る人の事じゃなくて、人々の為に命懸けで頑張る人の事を言うのだと気が付くと良いですね。
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