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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
二章

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51.超レアアイテム作って獣人の国へ



 俺、ヴィル・クラフトは旅に出てすぐ、盗賊に襲われている馬車を発見。

 助けたところ、中には獣人のお嬢さんがいた。


「って、あんたどっかでみたような……」


 俺に嘆願してきたのは、身なりの整った、猫の獣人だ。

 ドレスを着ている。


「あ、お城で」

「はい! わたくしは、獣人国ネログーマ女王が第3王女、ラグドールですわ」


 そうだった。

 女王のお子さんだ。


『む? 創造主はその猫と知り合いか?』

「ああ。獣人国の聖剣の使い手が、女王様なんだよ。たしか……ペルシャ様だったかな」


 ペルシャ=フォン=ネログーマ。

 獣人国ネログーマを治める女王だ。


「水の聖剣アクア・テールの持ち主でさ。メンテの時に何度があってるんだよ」


 ラグドールは確か国外に留学に行ってるとかで、あんまり会う機会はなかったんだけどな。


 晩さん会で一回会ったことがある。


「で、どうしたのラグドール様?」

「実は……母が、国が、大変なことになってるのです……!」

「ほぅ……大変」

「はい……聖剣に不具合が生じて、その影響で周りに不幸が訪れてしまっているのです!」


 なんと不具合。

 俺がメンテしたときに、アクア・テールには不具合がなかったんだが……。


 待てよ。

 まさかとおもうが、七福塵しちふくじんのやつの仕業じゃなかろうな?


 いや、聖剣なんていう、人間じゃ取り扱えない武器に異常を発生させるなんて。

 人間業じゃない。


「聖剣の鍛冶師であるあなた様に、助けていただけないかと思って……」


 ディ・ロウリィにやってきたってわけか。

 状況は理解した。


「OK。行こうぜ」

「え!? ご、ご主人様……?」


 ポロが驚いている。

 あらら?


「どうしたの?」

「え、なんでそんなあっさり決めちゃうんです……?」

「え、ああ。悪い。おまえと話し合わなかったな」

「いや、別に……わたしはヴィル様についていくだけなので……」


 ? じゃあなんで口挟んできたんだろうか。


「ご主人様が、助けに行く義理がどこにあるのかなと……」

「あー。動機ね。聖剣が壊れてる。だから治す。あと国の人たちを助けたい。そんだけ」


 説明終わり。

 だがポロは、どうにも納得がいってない様子で、不満げに唇を尖らせている。


 うーん、どうにも俺の動機じゃ不十分って思ってるのかな?


「ポロ。俺は別に正義の味方じゃない。聖剣……物が壊れてたら修理したい。そして物のせいで不幸になってる人はほっとけない。これは、職人としてのポリシーがそうさせてるんだ。理解できないとは思うが、まあ、理解できないもんだと思って納得してくれ」


 職人魂は普通の人じゃ理解できんもんだしな。

 自己犠牲的な振る舞いみたいに見えてもしょうがない。


 ポロは俺を見て、小さくうなずいた。


「わかりました……」

「俺のこと心配してくれたんだろ? あんがとな。俺は大丈夫だからよ」


 くしゃくしゃ、と俺はポロの頭をなでる。


「じゃ、ラグドール様。ネログーマにさっさと行こうぜ」

「ありがとうございますわ! なんとお優しい!」

「いやいや、気にしないで」


 俺は別に優しさから行くわけじゃないからな。

 あくまでも、職人おれが行きたいってだけだ。


「善は急げですわ。さっそくネログーマに」

「つってもこっから馬車で結構離れてるよな」

「はい。三日はかかると」

「それじゃあ遅すぎだろ」


 聖剣関連の不具合ってだったら、周りに結構被害が出てるだろうし。

 なんだったら、もう今も進行中ってこともありえる。


 俺は周囲を見渡して、石ころを拾い上げる。


「超錬成」


 こつん、と神鎚ミョルニルで石を叩く。

 すると、ただの石が、輝く結晶へと変貌を遂げた。


「! そ、それは転移結晶!? 超レアアイテムですわ! い、いったいどこから……?」

「石ころを錬成しただけだぞ?」

「え、ええええ!? ただの石がレアアイテムにぃいい!?」


 俺の持つ5つの生産スキル。

 そのうちの一つ、超錬成。


 物質を作り替えるスキルだ。

 俺はネログーマ行ったことあるから、転移結晶があれば一発で転移できるかなって思って作ったのだ。


 

「あ、そうだ。転移結晶じゃ一人しか転移できないじゃん。なら……」


 もう一回コツン、と。


「はい大転移結晶」

「えええええええええええええ!?」

「どうした?」

「どうしたではありませんわ! え、SSランクの超超レアアイテムですわよ!?」

「ああ、それが」

「それがって……!?」


 そんな驚くほどだろうか。

 一人しか転移できない転移結晶を、複数人を連れてテレポートできる、大転移結晶に変えただけなんだが。


「さ、いきましょうかね」

「え、え、あ、はい……」


 ラグドール様と護衛の人たち、そして馬車。

 まとめて大転移。


 一瞬の酩酊感が襲ったあと、俺たちはネログーマへと転移する……のだったが……


「なんだあこりゃ……」


 そこは、密林ジャングルといって差し支えない場所が広がっていた。 

 ネログーマは確かに、水と緑が豊かな国だった。


 しかしこんな、密林レベルで木々が生い茂ってることはなかった。


「なるほど……聖剣の暴走による影響ってことか」

「え、ええ……そうですわ……。お母様の剣、アクア・テールが暴走し……国中の植物が異常発達したのです」


 なるほどなぁ……。

 これはいち早く、なんとかしないとな。

「よし、じゃあペルシャ女王様のとこを目指すか」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 行動原理がシンプルでいい。 [気になる点] ポロがやる気無さ過ぎてただのおまけ状態
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