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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
一章

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45/283

45.伝説の鍛治師は伝説を作る



 俺は、昔じーさんから言われたことを思い出していた。


『ヴィルよ、おぬしにはいつか、固有のスキルが宿ると思う』


 じーさんの工房にて、幼い俺は首をかしげながら言う。


『スキルならあるじゃん。5つも』

『確かにな。じゃが、それはどれも、ほかの八宝斎はっぽうさいたちのスキルなのだよ』


 付与。

 超錬成。

 全修復。

 万物破壊。

 無限贋作複製。


 どれも、俺以外の八宝斎が持っていた、生産スキルだ(超錬成がじーさんのスキル)。


『黄金の手には本来、固有の生産スキルが各々1つ、宿っている。おぬしの場合は、最初から5つ宿っていたが、それらはほかの八宝斎たちのスキルだった。おぬしだけしか使えない、固有スキルではない』


 言われてみると、確かにそうだった。

 俺だけのスキルは、ない。


『才能がないってこと?』

『そうじゃない。おぬしのスキルは、おそらく前代未聞の超スキルなのだ』


 しかし、とじーさんは続ける。


『あまりに、すごすぎるスキルゆえ、使い手の技量が追い付いていないから、使えないだけ……というのがわしの見解じゃ』

『じゃあ、宿っていないんじゃなくて、俺がまだ職人として未熟だから、使えないだけってこと?』


 つまり、俺には5つの生産スキルのほかに、俺固有の、すごいスキルを、持っているってことか。


『どんなスキルなのかな?』

『さぁのう。ただな』


 にっ、と笑った後、じーさんは俺の右手を優しく包む。


『それがどんな才能どうぐだろうと、正しく、使うんじゃよ? おぬしの父が、掲げた理念を、大切にな』


    ★


 俺は王都で、異形となったセッチンと戦っている。

 やつの能力は、周囲にいる人間の才能スキルを奪うというもの。


 黄金の手が使えない絶体絶命のピンチに、ポロたち勇者が駆け付けてくれたのだ。


「すまん、おまえら。時間を稼いでくれ!」


 勇者たちがうなずく。


「……今こそ、ヴィル様に恩を返す好機! 行きますよ、アイス!」


 氷の勇者キャロラインが、聖剣を手に走る。

 足元に氷の道が出現して、彼女はそこを華麗に滑りながら接近。


「はぁ!」


 キャロラインが剣をふるうと、セッチンの体が一瞬で凍り付く。


「ナイスだキャロちゃん! いくぞ、獣人嬢ちゃん!」

「はい、ライカ様!」


 雷の聖剣、サンダーソーンを持つ、勇者ライカ。

 闇の聖剣、夜空を持つ、勇者見習の獣人ポロ。

 

 ふたりが強力な武器を片手に、凍り付いた触手をばっさばっさと切っていく。

 あの腕は再生持ちだった。


 しかしキャロラインが凍らせてるおかげで、腕の再生ができていない。

 ばきばき、と触手を砕いていく勇者たち。


「よし、ロウリィちゃん!」


 三人を王都まで運んできた、竜の魔神ロウリィちゃんが、俺のもとへ降りてくる。


「君のうろこを少し分けてくれ」

『もちろんいいっすよ! けど……なにすんすか?』


 俺は、じーさんのハンマーを手に言う。


「神器を、作る。ゼロから」

『! 神器……で、でも、どーすんすか? 今、ヴィルさんの生産スキルは、全部取られちゃってますよ?』


 俺の右手、黄金の手に宿るスキルは、確かにセッチンに奪われて使えない。

 だが。


「大丈夫だ。じーさんの、このハンマーには、じーさんの八宝斎としての力が付与されてる」

『た、たしかおじーさんもまた、八宝斎だったすね』

「ああ。じーさんは超錬成が使えた。このハンマーにもその力が宿ってる」


 そう、ハンマーにはいくつか機能がついてる。

 じーさんの超錬成スキルは、搭載されてる機能のひとつ。


 ただ、普段は使わない。

 だって俺の右手にそもそも宿っているからな。


「錬成スキルがあれば、武器が作れる。このピンチを一発で打破できる、神器が」


 セッチンに奪われたスキルを取り戻す。壊れた町を戻す。傷ついた人たちを治す。

 そして、セッチンも元に戻す。

 そのすべてを、黄金の手なしで実現するためには、もう神の奇跡が起きないと無理だ。


 すなわち、奇跡を再現する武器……神器を作る以外に、活路はない。


『……セッチンを殺せば、ヴィルさんの黄金の手は治るのでは? そうすれば、全部元通りじゃないんすか?』

「……かもしれん。だが、俺は家族を殺したくない」


 それが困難な道だとしても。

 俺は、人を活かす武器を作りたい。


「それに、今の俺なら、できる気がするんだ。確信が、あるんだ」


 王都を追放されてから、いろんなことがあった。

 たくさんの壊れたものを治してきた。


 呪いのアイテムなんていう、絶対許せない存在にも出会った。

 呪いを祝福に変えれば、神器を作れることがわかった。


『黄金の手がないのに、大丈夫なんすか?』

「ああ。たとえ黄金の手がなくても、この右手には、たくさんのものを作ってきた、経験が宿ってる」


 ぎゅ、と俺は右手を握り締める。

 王都にいたころと、今の俺は違う。


 たくさんの人たちを、笑顔にしてきた。

 この手には、その力があるんだ。


 その瞬間、ゴォオオオオオ! と俺の右手が、黄金に輝きだしたのだ。


『ヴィルさんの手が光ってるっす!』

『なにぃい!? ば、ばかな! スキルは、全部うばってやったんだぞおぉお!』


 セッチンと勇者が、互角の戦いを繰り広げている。

 だがやや勇者のほうが劣勢だった。

 武器が折れて、それでも戦っている。


「すまん、おまえら。すぐに作る。この状況を打破する神器……聖剣を!」


 その瞬間、俺の頭の中に、ひとつのインスピレーションが浮かんだ。

 いける、これなら!


『や、やめろおぉおおお!』


 セッチンが腕を大量増殖させて、俺に向かって攻撃してきた。

 だが勇者三人が折れた聖剣で、それを防ぐ。


 右手から発せられる光が、赤く輝く1つの【】を作り出す。


「これが、俺の力……俺の、新しいスキル!」


 じーさんが言っていた、6つめの力。

 力が、覚醒したとたんに、使い方が頭に流れ込んでくる。


 炉のなかに、ロウリィちゃんのうろこを入れる。

 材料は、それだけだ。


 それだけで、事足りる。

 通常なら無理だろうけど、この、俺のスキルがあれば!


 やがて炉の中から、インゴットが生成される。

 インゴットの上には無数の魔法陣が展開されている。


 あとは、ハンマーを思い切り、打ち付ける。


「天に奏上する、神器を創生せよ! 【天目一箇神アマノメヒトツノカミ】!」


 祝詞とともに、ハンマーを打ち付ける。

 天目一箇神。それが、俺が覚醒した、6つ目のスキルの名前。


 その効果は、神器の創生。

 俺が作ったものが、神器となる!


 インゴットはまばゆい光を発しながら、1つの形をとる。

 それは、光を凝縮したような、美しい1振りの剣だ。


『な、なんてことや! 信じられへん!!!!!』

「どうしたの、アイス?」


 氷の聖剣、アイスバーグが驚愕の声を上げる。


『聖剣や! ヴィルやんは、まだ誰も成し遂げてない、大聖剣をゼロから作り上げた! あれは、八本目の、聖剣やーーーー!』


 もともとこの世界には、勇者の使う大聖剣が6つしかなかった。

 呪われた妖刀をベースに、作られたのが、7本目の闇の聖剣。


 そしてこれは、俺がゼロから作った、俺オリジナルの、大聖剣。


「誕生おめでとう。おまえは、光の聖剣だ」


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