44.暴走する弟と戦う
【★おしらせ】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
俺、ヴィル・クラフトは、もともと俺が住んでいた王都へと、転移結晶を使って戻ってきた。
『ヴィル兄ぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!』
壊れた町のなかで、俺の名前を呼ぶ異形なる存在。
それが、セッチンであると、俺は理解できた。
見た目は、体中から腕が生えているという、化け物然とした見た目であっても、わかるのだ。
血がつながっている兄弟だからだろうか。とにかく、わかるのだ。
……この、王都の惨状を引き起こしたのが、実の弟だってことが。
「うぇえええん!」「いたよぉおお!」「誰か助けて!息子達ががれきの下敷きになってるの!」
王都の美しい街並みが崩壊している。
建物は崩れ、けが人が何人んもいて、下手したら死者が出ているかもしれない。
「おまえがやったんだな……セッチン!」
知らず、声に怒りがにじんでしまう。
人が作ったものを、他人が理不尽に破壊する。
それが……一番、俺には我慢できない行為だ。
『ヴィル兄ぃ。どうしてここに戻ってきたぁ……? あんたは国を出たはず』
「付喪神の、気配がしたんだ」
『ああ!? 付喪神だぁ!』
帝国で出会った、呪いのアイテムに憑りついていた化け物、付喪神。
俺は帝国の化け物を倒した後、俺は作ったのだ。
「付喪神の気配を探知する、魔道具を」
呪いのアイテムを配っている、謎の存在。
帝国で出会った付喪神は、そいつを七福塵といった。
俺は、道具を使って人を不幸にする七福塵を、許せなかった。
そいつをとっつかまえて、ぶん殴ってやりたかった。
そのためには、まずやつを探す必要がある。
とはいえ現状、七福塵の手掛かりは皆無だ。
そこで、俺は考えた。
七福塵の作る呪いの神、付喪神の気配をたどっていけば、それを作っているやつのもとへ行けるだろうと。
帝国で出会った付喪神のアイテムを、改造して作った宝玉、【呪物探知機】。
付喪神の気配を探知するアイテムだ。
試運転をしていたところ、さっそく探知機が反応を見せた。
そして、ここへと辿り着いたという次第。
「セッチン……」
俺の弟、セッチン・クラフト。
やつには、婚約者と店を奪われた過去がある。
シリカルを寝取り、俺に新しい店を造らせた後、全部を奪いやがった。
そんな相手が、なぜか付喪神となって暴走している。
俺は……。
「おまえを、止める。そのあと、しかるべき裁きを受けてもらう」
あいつはゴミ野郎だ、正直あいつに対して怒りを覚える。
このハンマーで、頭をかちわって、殺す……ことはしない。
このハンマーはモノづくりの道具だ。
人を殺す、道具じゃない。
……それに。
なんだかんだ言って、こいつは弟なのだ。
俺の尊敬する親父の、息子なのだ。
殺せないし、殺したくない。
「おまえを倒して、治して、そして……ちゃんと謝罪させる。それが、兄としての、最後の役割だ」
これは兄としてのけじめみたいなもんだ。
『ははぁ! やってみろ無能の雑魚がぁあああああああああああああああああ!』
セッチンが俺に向かって、大量の腕を伸ばしてくる。
俺はじーさんのハンマー、神槌ミョルニルを【左手】で持った状態で、よける。
『どうしたぁ!? 御自慢の、黄金の手で攻撃しないかぁ!? ああん!?』
俺はここに到着した瞬間、理解した。
奴の体に付与された呪いが、周囲にいる人間のスキルを、強奪していると。
今までたくさんの呪いのアイテムを治してきたからか、呪いへの理解を深めていた。
呪いのアイテムを見たら、ある程度、どういう呪いをもたらすのかがわかる。
「■……やっぱりダメだな」
そりゃそうか、黄金の手が使えないんだ、付随されるアイテムである■も使えない。
黄金の手と、そして■にしまってある武器や神器も使えない状態。
今手元にある武器は、神槌だけ。
『ひゃはははぁ! 逃げろ逃げろぉ!』
大きな腕が頭上で握りこぶしを作り、俺めがけて振り下ろされる。
激しい音と衝撃波が走り、俺は吹き飛ばされる。
『ヴィル兄ぃいい……あんたはただじゃ殺さないぜぇ。あんたの力で、死ぬがいい』
「……俺の力?」
『ああ、■、全開ぃ!』
セッチンの周りに、複数の■が出現する。
俺の持つ、黄金の手をやつは奪った。
つまり、俺のスキルが使えるってことだ。
『死ねえ! 無限贋作複製ぃ!』
魔力を消費し、神器を無限に複製する、俺の持つスキルの一つだ。
……しかし。
『あれぇ!? なんでだ! なんで神器がでてこないんだよぉ!』
思った通り、セッチンは神器を生成できない。
その隙をついて、俺はミョルニルを手に近づく。
「はぁ!」
ミョルニルのサイズをかえて、セッチンの横っ面めがけて振る。
ばごぉおん!
『ぷぎゃぁあああああああああああああ!』
ぐるんぐるんと回転しながらセッチンが吹き飛んでくる。
……手に伝わるしびれに、不快感を覚えた。
相手がどんだけくそ野郎だったとしても、家族を殴るのは、いい気分はしない。
だが、今は暴走を止めないといけない。割り切って、戦うんだ。
『なぜだぁ! ■からなぜ神器がはきだされないんだよぉ! 黄金の手のスキルなんだろ!』
「スキルを持ってることと、それを使いこなせるかは、別問題だからだよ」
倒れ伏すセッチンを見下ろしながら俺は言った。
『どういう意味だ!?』
「たしかに、無限贋作複製のスキルを持ってりゃ、贋作を無限に作れる。けど複製するためには、作る物の構造・効果を完璧に理解していなきゃいけない」
スキルを発動させれば、誰でもお手軽に、神器を複製できるわけじゃないのだ。
スキルはあくまで、発動のキー、道具の一つでしかないのだ。
同じ道具を持っていても、使い方を知っていなければ、道具の効果を正しく発揮できない。
家を作る道具を持っていても、作る知識がなければ、家を造れないように。
『ちくしょう! そんなの聞いてない! あんたはただ才能を持ってただけにすぎないやつじゃないのかよ!』
「才能もまた、道具だ。正しく使わないと、意味がないし、使い方を学ばないと、正しく使えない」
俺はセッチンに言い放つ。
「他人の才能を奪ったところで、使うのがおまえじゃ、宝の持ち腐れだ」
セッチンの表情が怒りに染まる。
図星をつかれてキレてるのだろう。
『だまれ……! 万物破壊、発動ぉ!』
無数の手に、黒い稲妻が宿る。
今度も俺の持っていたスキルを使用するようだ。
万物破壊。
あらゆるものを破壊してしまう、危険なスキルだ。
『ひゃはは! これなら構造なんて理解してなくても問題ないだろぉ!』
「……果たしてそうかな」
『ほざけ! 死ねぇい!』
無数の腕が俺に向かって飛んでくる……が。
腕は明後日の方向へと飛んでいく。
『なんだ!? 制御が利かない! 制御……できないぃい!』
腕があっちこっちへとすっ飛んでいく。
俺はハンマーを、空中へ向かって投げる。
回転するハンマーが、腕の側面をたたく。
ピンボールのように、ハンマーがカンカンカン! とぶつかってははじかれる。
その結果、無数の腕が軌道を変えて、一つにまとめられて、その腕が王都の地面に突き刺さる。
被害を拡大せずにすんでよかった。
『どうなってんだよ!? なんで制御できない!?』
「万物破壊のスキルは、扱いが難しいんだよ。破壊のエネルギーは膨大だ。なんも考えず
出力全開にすりゃ、制御できずにああなる。出力をしぼって使わないといけないんだ」
無限贋作複製、万物破壊だけじゃない。
俺の黄金の手に宿っているスキルはみな、扱い方の難易度がとても高いのだ。
俺からスキルを奪っただけじゃ、意味がない。
「道具はよ、手に持つだけじゃ意味ない。正しい使い方を理解し、正しく使って……はじめて、効果を発揮するんだ。才能も同じだ……セッチン」
腕を地面につっこんで、抜けなくなっているセッチンに、俺は言う。
「今のおまえはただ、道具を持ってるだけの、凡人にすぎない」
セッチンの顔が真っ赤になって、ぎりりぃ、と悔しそうに歯噛みする。
『ちくしょう! いい気になるなよ! 道具がなくて、ぼくを倒せないくせに!』
まあ、確かにその問題は解決していない。
今持っている道具では、セッチンの暴走を止めるだけで精一杯だ。
壊れた王都、そしてセッチンを戻すためには……。
「「「お待たせしました!」」」
そのとき、上空から3人の少女たちが下りてくる。
その手には、闇、氷、雷の聖剣が……それぞれ握られている。
「ポロ、キャロライン、ライカ」
『自分もいるっすよぉ!』
上空には白竜の姿をした、ロウリィちゃん。
この3人を運んできてくれたのか。
「おまえら、どうして?」
「決まっています、ヴィル様。あなた様がピンチだからです」
ポロが胸を張って言う。
「我らはあなたの手で命を救ってもらいました。だから今度は! 我らが恩を返す番なのです!」
キャロラインとライカも同様の意見のようだ。
ありがたい……。
「頼む、力を貸してくれ、勇者たち」
「「「もちろんです!」」」
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