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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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282/283

282.裏、真



 七福塵しちふくじんを撃破した。

 世界に蔓延していた呪いは、すべて、やつが消えると同時に姿を消した。


 今回の件で死傷者はゼロ。

 それは各国の素早い対応、勇者達の奮闘、そして……俺の創った進化聖剣のおかげだったと、あとでゲータ・ニィガ王国の王女から褒められた。


 今回の件で、俺は世界を救った英雄にしてくれると、王女さまが言ってくださった。

 けれど、俺はそれを固辞した。


 魔族国ケラヴノスティアのお姫様からも、獣人国ネログーマの王女ペルシャからも、帝国の皇女からも、英雄の称号をあげるといわれたが全部断った。


 なぜって?

 世界を救ったのは、俺ではないからだ。

 勇者達、そして、この国に住まう人たち全員が、頑張ったから。


 だから、危機を脱したのだ。


「あなた様は、本当に無慾な御方ですね」


 ゲータ・ニィガ王女が、微笑みながら、そう言ってくれた。

 そして、今回の一件を、俺ではなく、勇者達の頑張りということにして、公表してくれた。


 ああ、そうそう。

 元々勇者は、六大勇者だったんだけど、今回の件でポロが勇者に加わった。


 結果、世界には七大勇者として、その名前が広まることになった。


 勇者達は、呪いによって被害を受けた建物の復興に、力を注いだ。

 その裏にはハンマーを持った見知らぬ男がいたらしい。ダレノコトダロウネー。


 七大勇者+謎のハンマー男のおかげで、傷ついた大地は元通りになった。

 エネルギーを失ったはずのこの星だけど、今のところは支障はでていない。


 七福塵しちふくじんが妖刀となり、大地にエネルギーを帰してるからだろうと思われる。

 やがて刃にこめられたエネルギーを、全て星に帰すことができるだろう。


 そしたらやつは自由になれる。

 ……けど、その日がいつ来るのかは今んところ不明だ。


 俺が死んだあとのことになるだろう。

 もう七福塵しちふくじん……ご先祖さまには会えないのは、ちょっと寂しい。


 けど、死んだらまた天であえるだろう。


    ☆


 夢を、見た。

 何もない白い空間。


 そこに……懐かしい人がいた。


「親父! じーさん!」


 俺の親父、そして、先代・八宝斎はっぽうさいのガンコジーさん!

 俺は彼らのもとへかけより、抱きつく。


『よくやったな、ヴィル』

『わしら八宝斎はっぽうさいの使命を、よくぞ果たしてくれた』


 じーさんたちは俺の背中を優しく撫でてくれた。


八宝斎はっぽうさいの使命は、神器を創り、天に奏上すること。おまえさんは、やり遂げた。自分のオリジナル神器を創った。そのうえ……八宝斎はっぽうさい七福塵しちふくじんの因縁を終わらせてくれた』


 じーさん曰く……。

 俺たち八宝斎はっぽうさいの使命というのは、天に神器を奏上するっていうのは、表向きの使命だったそうだ。


 裏の使命は、七福塵しちふくじんを凌駕する神器を創ることだった、らしい。


『そうだったんだ……』

『ああ。七福塵しちふくじん、先代を凌駕し、そして、先代を成仏させる。これこそが……真の使命だったのだよ』


 裏に、真……ね。


「全然気づかなかったや」


 俺はただ、創りたいものを創っていただけ。

 じーさんたちから受け継いだ、神器を創れという使命の名の下に、好き勝手創っていただけだった。


 裏や、真の使命なんて……ぜーんぜん知らなかったし、気にもとめなかったし、考えもしなかった。


『それでいい。おまえさんは、これからもそうやって、好き勝手に創りたいものを創るのだぞ……』


 そう言って、じーさんたちは消えていった。

 俺は……まだ生きてる。

 まだまだ、創りたいものが、ある!


 だから……そっちに行くのは、もう少し、待っててくれよな!

次回、最終回です。

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