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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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280.激突



 巨人がポロに攻撃を与えようとする。

 迫り来る巨大な腕を、ポロは華麗にかわしてみせた。


「くそっ! 当たらん! なぜだ!?」


 そんなのもわからないようでは、まだまだだな。

 ポロはそのまま巨人の腕めがけて、2本の聖剣を振る。


「はっ! 無駄だ! たかが聖剣で、呪具が破壊できるわけが……」


 ざんっ! と。

 ポロが回転しながら、巨人の腕を消し飛ばしたのである。


「なっ!? ば、バカな……ありえん! こいつは呪具の集合体! ただ切っただけでは、破壊できないはず!」

「そらそうだな。呪具を壊したのは、俺だしよ」


「なんだと!?」


 ポロがすたっ、と着地する。

 その刃に、俺はハンマーを打ちつける。


「ポロは攻撃に専念し、俺は呪具の解除に専念してる」

「! そうか……。そういうことか!」


 七福塵しちふくじんも今自分のミスに気づいたのだろう。


「俺も、おまえも、結局のところ戦いの素人だ。作り手でしかないからな」


 いかに七福塵しちふくじんの作る呪具が優れていようとも、使い手としての七福塵しちふくじんは、ポロに劣る。


「俺は解除に専念し、ポロは戦いに専念する。作り手と使い手、それら二つがそろって、初めて道具は真の力を発揮する」


 道具とは、握るものがいるだけではいけないのだ。

 それを作るもの……メンテするものがいて、初めて強さを発揮できる。


七福塵しちふくじん、おまえの敗因はただ一つだ。道具を、作り、それで満足しつづけてきた……。つまり、自己満足で、物を作ってきた! それが敗因だ!」


 使ったときの具合とか、使い手がどういう感想を抱くとか、そういうの全く考えてこなかった。

 

 だから、やつの呪具は強いが、それまでなのだ。

 成長が全く見られていない。


 一方で、俺はポロからのフィードバックを取り入れて、彼女の聖剣をメンテしてる。


「さぁ、ポロ! 戦おう!」

「はいっ!」


 ポロがジャンプして空を舞う。

 やつは呪具の集合体の巨人をあやつり、ポロを潰そうとする。


 だが、どれだけの呪いを込めて叩こうとしても、ポロはその全てを見切って避ける。


 践んできた場数が、違うのだ。俺や七福塵しちふくじんよりも。

 彼女は多くのものと戦ってきた。


 そんな彼女に……戦いの素人が勝てるはずないのである。


 やがて、巨人は四肢を失い、その場に崩れ落ちる。


「ち、くしょぉおおおお! こうなったらぁ……!!!!!」


 どろり、と巨人が解けて、やがてそれは空中に1つの【大砲】をつくった。


「我の付くりし呪具、その全てを溶かし、その呪いを一点集中でぶつける……!」


 こいつも、なりふり構っていられないと気づいたのだろう。


「さぁ……最後の勝負だ!」

「そうだな。この一撃で……決める」


 俺はポロの手に、自分の……黄金の手を重ねる。


「大丈夫、ポロ。呪いは俺が祓う。だから……おまえは攻撃に集中してくれ」

「はいっ!」


 俺とポロは剣を振りかざし、七福塵しちふくじんは、呪具の呪いを一点集中して、レーザーとして……放った。


「死ねぇえええええええええ!」


 放たれた、圧縮された呪いのビーム。

 だがポロの手には、黒白に輝く剣が握られていた。


 俺が黄金の手で、光と闇の聖剣を、二つに重ねたのだ。

 ルクスリア、そして、夜空。


 二つの相反する聖なる力を、この一撃に……!


「「ぜあぁああああああああああああああああああああああああ!」」


 呪いのエネルギーを、ポロが……切る。

 そしてそのまま、七福塵しちふくじんを、一刀両断してみせたのだった。

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