280.激突
巨人がポロに攻撃を与えようとする。
迫り来る巨大な腕を、ポロは華麗にかわしてみせた。
「くそっ! 当たらん! なぜだ!?」
そんなのもわからないようでは、まだまだだな。
ポロはそのまま巨人の腕めがけて、2本の聖剣を振る。
「はっ! 無駄だ! たかが聖剣で、呪具が破壊できるわけが……」
ざんっ! と。
ポロが回転しながら、巨人の腕を消し飛ばしたのである。
「なっ!? ば、バカな……ありえん! こいつは呪具の集合体! ただ切っただけでは、破壊できないはず!」
「そらそうだな。呪具を壊したのは、俺だしよ」
「なんだと!?」
ポロがすたっ、と着地する。
その刃に、俺はハンマーを打ちつける。
「ポロは攻撃に専念し、俺は呪具の解除に専念してる」
「! そうか……。そういうことか!」
七福塵も今自分のミスに気づいたのだろう。
「俺も、おまえも、結局のところ戦いの素人だ。作り手でしかないからな」
いかに七福塵の作る呪具が優れていようとも、使い手としての七福塵は、ポロに劣る。
「俺は解除に専念し、ポロは戦いに専念する。作り手と使い手、それら二つがそろって、初めて道具は真の力を発揮する」
道具とは、握るものがいるだけではいけないのだ。
それを作るもの……メンテするものがいて、初めて強さを発揮できる。
「七福塵、おまえの敗因はただ一つだ。道具を、作り、それで満足しつづけてきた……。つまり、自己満足で、物を作ってきた! それが敗因だ!」
使ったときの具合とか、使い手がどういう感想を抱くとか、そういうの全く考えてこなかった。
だから、やつの呪具は強いが、それまでなのだ。
成長が全く見られていない。
一方で、俺はポロからのフィードバックを取り入れて、彼女の聖剣をメンテしてる。
「さぁ、ポロ! 戦おう!」
「はいっ!」
ポロがジャンプして空を舞う。
やつは呪具の集合体の巨人をあやつり、ポロを潰そうとする。
だが、どれだけの呪いを込めて叩こうとしても、ポロはその全てを見切って避ける。
践んできた場数が、違うのだ。俺や七福塵よりも。
彼女は多くのものと戦ってきた。
そんな彼女に……戦いの素人が勝てるはずないのである。
やがて、巨人は四肢を失い、その場に崩れ落ちる。
「ち、くしょぉおおおお! こうなったらぁ……!!!!!」
どろり、と巨人が解けて、やがてそれは空中に1つの【大砲】をつくった。
「我の付くりし呪具、その全てを溶かし、その呪いを一点集中でぶつける……!」
こいつも、なりふり構っていられないと気づいたのだろう。
「さぁ……最後の勝負だ!」
「そうだな。この一撃で……決める」
俺はポロの手に、自分の……黄金の手を重ねる。
「大丈夫、ポロ。呪いは俺が祓う。だから……おまえは攻撃に集中してくれ」
「はいっ!」
俺とポロは剣を振りかざし、七福塵は、呪具の呪いを一点集中して、レーザーとして……放った。
「死ねぇえええええええええ!」
放たれた、圧縮された呪いのビーム。
だがポロの手には、黒白に輝く剣が握られていた。
俺が黄金の手で、光と闇の聖剣を、二つに重ねたのだ。
ルクスリア、そして、夜空。
二つの相反する聖なる力を、この一撃に……!
「「ぜあぁああああああああああああああああああああああああ!」」
呪いのエネルギーを、ポロが……切る。
そしてそのまま、七福塵を、一刀両断してみせたのだった。
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