272.願いの聖剣
ロクサーヌの手には、1本の聖なる剣が握られていた。
ヴィルから与えられていた、進化する剣。
「この剣なら……!」
ロクサーヌが剣を手にもち、その場でくるん、と回転する。
瞬間、光の本流が周囲に広がった。
呪い達は光に飲み込まれて、一瞬で消えた。
「す、すごい……呪いを退けた!」
「ポロさん、今のうちに治療を!」
ポロは光の聖剣で、自分の腕をつきさす。
光の聖剣の持つ再生能力が発動し、腕が元通りになった。
「おいおいこいつぁ……どういうことだい!? アタシらの使ってる勇者の聖剣と、同程度のスペックの剣じゃあねえか!」
ライカが驚愕するのも当然だ。
彼女らの持つ剣に、比肩するほどの剣を、ロクサーヌ……一般人が持ってるのだから。
「ヴィル様……ついに、悲願を達成したのですね!」
ポロが頭上を見上げる。
工房から立ち上った光が、無数の流星となり、地上へと降り注いでいた。
目のいいポロ、そして火の勇者ヨウにはわかっていた。
「……聖剣です。あれ、1本1本が聖なる剣! この世界の全ての人たちに、送り届けられていく!」
「えー!? なにそれ……じゃあ、皆が勇者になるってことぉ!?」
ミリスが驚愕する一方で、ペルシヤが首を振って否定する。
「ロクサーヌさんの剣を見るに……どうやらこの剣は、あくまで本人の望みを反映し、進化するものだけのようです。勇者になるわけではないです」
……ヴィルの望み。
それは、誰もが使える聖剣を作ること。
その悲願を、ついに、彼は達成したのだ。
今世界中には、聖なる剣を持つものがたくさんいる。
全人類に、聖なる剣が配られた。
うぉおおおおお! とディ・ロウリィの領民たちが雄叫びを上げる。
そして、聖なる剣を手に、呪いに立ち向かっていく。
「ここからは……反撃開始です! いきますよ、皆さん!!」
ペルシヤがそういうと、勇者達はうなずく。
もう守る必要は無い。あとは、呪いを祓う、それだけだ。
【☆★おしらせ★☆】
好評につき連載版はじめました!!
ページ下部にリンクがございます!!
【連載版】無能令嬢、【極東の悪魔】のもとに身代わりで嫁ぐ~「妹の代わりに死んでくれ」と親から言われたので、家から出て行くことにしました。でも嫁ぎ先の人たちは皆いい人たちで幸せです
または、以下のULRをコピーしてお使いください。
https://book1.adouzi.eu.org/n2756ju/




