258.手分け
結界内には無数の人骨があった。
でも、まだ魂は結界の中にあるし、蘇生は可能だろう。
「みんな俺が救うぜ。だから……死体を集めるのと、それと、作業の邪魔をしないようにしてほしいな」
と、俺は勇者達に言う。
「作業の邪魔……?」
ロクサーヌちゃんが首をかしげる一方で、勇者達はおのおのの聖剣を抜いてうなずく。
「あれを片付ければいいってことだよね、ししょー!」
ミリスが視線を向ける先には、半透明の体をしたバケモノが近づいてきた。
「怨霊! この結界内にとどまっていた魂が、魔物となったもの!」
怨霊達が一斉に飛びかかってくる。
イリスがその場で回転蹴りを食らわせる。
「旋風脚!」
一陣の風が吹いて、怨霊達が吹き飛ばされる。
「殺しちゃだめだぜ。あとで皆元通りにするからな! ミリス、ロクサーヌちゃん、骨集めよろしく!」
ポロ、イリスは怨霊の相手、残りは骨集め。
「ヴィル様は何を……?」
「俺は結界にちょいと仕掛けを……ね」
王都を包みこむ結界を見上げながら、俺は言うのだった。




