224.やったねポロちゃん
ポロは二つの聖剣の力を十二分に発揮し、魔族モールを撃破して見せた。
『成った……な』
闇の聖剣夜空が、手の中で、嬉しそうにつぶやく。
成った、つまり、本物の勇者になれた、ということだ。
聖剣からのお墨付きをもらった。認めてもらったことで……ポロは、うれしくて涙を流す。
彼女は一時期、迷走していた。己の復讐心に支配され、自分に課せられている役割を放棄し……一度は聖剣から見放されたことがあった。
でも……今、聖剣は勇者であると認めてくれた。
色々あってやっと……自分は、勇者になれた。
六勇者のような、そして……ヴィルのような、強い力と心を持った英雄に。
『まーま! ないてるの……? だいじょうぶ?』
光の聖剣ルクスが心配そうに尋ねてくる。
ポロは涙を拭いた。
心配させてはいけない。なぜならこれは悲しみの涙ではないのだから。
「大丈夫。ただ、勇者って認められて、うれしかっただけ」
『まーまはゆーしゃ! るくすとよぞらの、ゆーしゃ!』
そこへ、ヴィルがやってくる。
彼はにっ、と笑って親指を立てる。
「ナイスファイト。凄い様になってたぜ……ってポロ!?」
聖剣に認めてもらえたこと以上に、ヴィルにそう言ってもらえたのが、うれしかった。
運命を変えてくれた大恩人からの、そんな優しい言葉を聞いたのだ。
……泣き崩れてしまうほど、嬉しいに決まってる。
『ぱーぱ! まーまなかしたー! いーけないんだー!』
『かかか! 我が創造主は、無類の強さをもちながらも、女の扱いはまだまだだなぁ』
こうして、ポロは一つまた成長できたのだった。




