211.全自動また作ってしまうよマシーン
ロクサーヌちゃんとともに魔族国へと向かう俺たち。
「いやぁ、それにしても……この辺なーんか荒れてるなぁ」
道はがったがた、雑草生え放題。地面には石が転がっている。まー、走りにくいことこの上ないな!
「ちょいと失礼!」
「う゛ぃ、ヴィル殿……? いったいなにを……?」
俺は竜車をいったんとめて、ひらりと窓から外に出る。
うっそうと生い茂る木々の群れ、あれている地面を見ると……。
「わくわくするな!」
おいおいなおし放題かよ!
えーっとどうやってなおそっかなぁ。
■をまず開いてぇっと。
「ヴィル殿はなんであんなウキウキなさっておられるのだ?」
「ものづくりの機会が得られてうれしいのでしょう。そういうお方なのです」
「は、はあ……」
俺は■から、俺の作った便利アイテムを取り出す。
「出でよ、丸鋸マン!」
かつて水の国で使った、魔導人形を取り出す。
両手には丸鋸が着いている。
「ゆけ、丸鋸マン! 余計な木々を伐採しまくるのだ!」
魔導人形は俺の命令を聞いて動き出す。
両手に持った丸鋸で、バッサバッサと道を切り開いていく。
「道が開けたな……続いて、道をならす作業に入るぞ!」
「何をなさるおつもりなのだ……?」
いつの間にかロクサーヌちゃんとポロが隣までやってきていた。
「このがったがたの道を綺麗にする!」
「綺麗に……って……どうやるのだ?」
俺は■からまず、ガスマスクを二人に渡す。
「これ着けておいてね」
俺はガスマスクを着けて、装着方法を見せる。
二人は困惑しながら、マスクをつけた。
んで、■から樽を取り出した。
「なんですかこれ……? 中に、黒くてドロドロしたものが……?」
「おっとポロ、あんま近づいちゃあいけないぜ」
ポロのガスマスクは獣人用だ。俺たちより鋭敏な嗅覚を持ってるため、この黒ドロドロから発する毒ガスにやられてしまうからよぉ。
「これは道路を舗装に使う材料だ。特殊な油と砂利を煮詰めたもの」
「油と砂利……?」
魔道具を作る課程でできた、特殊な油(廃油とよんでる)と、砂利を五〇度程度で煮詰めたものだ。
「これを道に流し込む!」
俺は肉体改造して樽を持ち上げて、液体を道に流し込む。
「んでもって……ハンマーで叩く!」
神鎚ミョルニルを振りかざし、かつーん! と強く叩く。
空気の塊が上空から、凄まじいスピードで、地面にたたきつけられた。
すると……。
「! 道が……綺麗に平らになってるのだ!」
液体を流し込んだ部分が、それはもう綺麗に平らになってるのである。
「すごいです、ヴィル様! これはいったい……?」
「廃油と砂利を混ぜて作った、アスファルトってやつさ。これを道に流し込んでいけば、綺麗な道が出来るってわけ」
さてこれをあとは全自動化するわけだが……。
「いでよ、ゴリラ魔導人形!」
■のなかから、複数体の魔導人形が出現。
みんなゴリゴリのマッチョなボディをしてる。
「■の使用権限を君たちに与える。アスファルトを使って、道をならしていくのだ!」
ぐっ、とゴリラ魔導人形たちがポージングを決めると、さっそく作業に取りかかる。
アスファルト、じゃー!
道、ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!
「ゴリラたちがアスファルトを、ドカドカ叩いてならしていくのだ!」
「魔導人形って何でもできるんですね……」
こういう単純作業をやらせたら、魔導人形の右に出るものはいないのである。




