187.回収
ヴィルの創った、新しい神器。
複合神器。
ふたつの神器を組み合わせることで、さらなる効果を発揮するというもの。
キャロラインの氷の聖剣、そしてペルシャの水の聖剣。
二つを組み合わせできた、複合神器。
「名付けるなら……霧氷九尾、なんてね」
ヴィルがどや顔で名付けた。
その瞬間、霧氷九尾がさらに強く輝く。
ヴィルという天才職人が銘をつけることで、神器としての格が一段階上がったのだ。
もちろんヴィルは気づいていない。
「くぉおおおおおおおおおん!」
霧氷九尾が再び、鳴く。
すると体が粉々に砕け散った。
ウィニーのいる核だけが残されている。
「ポロ! 俺を負ぶってあそこへ運んでくれ」
「わかりました!」
獣人ポロがヴィルを背負うと、空気ブロックをたんたんたん! と軽やかに踏みつけて接近。
そのままヴィルはポロの背中を蹴って、ウィニーのもとへ。
「全修復……!」
ヴィルの神鎚ミョルニルが、ウィニーの核をぶったたく。
その瞬間、彼女の体から、1本の弓が分離された。
「ロー!」
火の聖剣ファイア・ロー。
ウィニーの体に組み込まれた、ヨウの相棒だ。
ヴィルはローを回収。
落ちていくヴィルをポロがキャッチすると、ヨウのもとへと戻ってきた。
「ほら、ヨウ。もうなくしちゃだめだぜ?」
ヨウはヴィルから聖剣を受け取ると、涙を流しなら、何度も頭を下げる。
「ありがとうございました、ヴィル様!」




