186.九尾の狐
キャロライン、ペルシャの神器解放に対して、俺は超錬成を行う。
神器解放。
それは神器に秘められし力を解放する……。
神器の力100%ひきだす奥義だ。
キャロラインの神器は、氷の聖剣。
その剣精(神器の意思)は、氷の猫の姿をしていた。
一方ペルシャの剣精は、子狐の姿をしてる。
神器解放によって、巨大な氷の猫と水の狐が召喚させる……。
それが、通常の神器解放。
しかし、俺はその二つの神器を、合体させる。
ウィニーちゃんが見せてくれた、複合極大魔法から着想を得た……。
いわば、複合神器とでもいうのか。
俺のイメージを受けて、新しい聖剣の姿が現れる。
『おお……なんやこれ……!』
『これは……九尾の、狐ですえ?』
上空に浮かんでいるのは、美しい一匹の巨大な狐だ。
ただし、そのお尻からは、9本の大きな尻尾が生えている。
「……極東の伝承にある、九尾の狐。……それを神器で再現してるということでしょうか」
複合神器……水の九尾の狐を見ながら、勇者が呆然とつぶやく。
「すごいです、ヴィル……アクアの力が、何十……何百……ううん、前と比べもののにならないくらい、強い力を感じます」
巨大な九尾の狐の出現に、ウィニーちゃんが驚き、困惑しながらも……。
『だ、だからなんだ……! 二つの神器が合わさったくらいでさ! こっちだって複数の神器が組み込まれてる! 数で言えば、こっちの方が多いんだぞ!』
ウィニーちゃんの体は無数の神器を溶かし、粘土のようにこねて作られている。
なるほど、彼女の言うとおり、神器の数では負けてるかも知れない。
だが……。
「……どちらが強いかどうかは」
「ぶつけ合えばわかることでしょう」
すっ、とキャロラインとペルシャが手を前に出す。
九尾の狐が尾を広げ、そしてなく。
くぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん………………………………
その瞬間だ。
びきっ、ばきっ、ぱっきぃいいいいいいいいいいいいいん!
『な、なにぃい!? か、体が……一瞬で……! 凍りついただとぉ!?』




