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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
二章

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185.好奇心




《ヴィルSide》



「……ヴィル様っ、準備が整いました!」



 氷の勇者キャロラインが、レイピアを構えながら言う。 

 確かに彼女の持つ聖剣アイス・バーグからは、全てを凍りつかせるような凍てつく波動を感じる。



「こちらも準備万端です、ヴィル」



 水の勇者ペルシャは長槍を構えながら言う。

 彼女の所有する聖剣、アクア・テールの周りには無数の水球が浮かんでいた。



 氷と水、二つの力を同時に発動させ、炎の魔神となったウィニーちゃんの体温を下げる。

 そこへ、俺が接近して、彼女の体に組み込まれた炎の聖剣ファイア・ローを回収する。


 

 それが今回の作戦だ。

 しかし……。



「待った。ちょっと足りないかもしれない」

「「どうしてですか?」」

「なんとなくだけど、ウィニーの体から、他の神器の力を感じるんだ」



 ほんとになんとなくなんだけどな。

 まあ、あえて言語化するとしたら、あれほどまでの高熱を発していて、体が融解しないところだろうか。



「すごいです……ヴィル様はそんなことまでわかってしまうのですね!」



 魔神の攻撃を闇の聖剣で消し飛ばしながら、ポロが感心したように言う。

 火の勇者ヨウは魔法矢で敵の攻撃を打ち落としながら尋ねてくる。



「しかしではどうするのでありますか? 氷と水、お二人の力を使って敵の温度を作戦は……?」

「それはこのまま続行する。ただ、やり方を少し変える」



 俺はキャロラインとペルシアを見て、考えを言う。



「なあ二人とも、俺に神器をあずけて……」「「もちろん!」」「くれないか、ってまだ言い終わってないんだが……」



 キャロラインは笑顔でうなずく。



「……ヴィル様のお願いなら、なんだっていたします」

「ええ、キャロラインさんの言うとおりですわ。あなたになら全てを委ねることができる」



 職人としての俺を信頼しての発言だろう。

 力を認めてもらえたことがうれしかった……が。



 同時に、ちょっと申し訳なかった。



「ごめん、これから俺がやることって、だいぶ個人的な事情入ってる部分あるんだ」

「個人的な……?」「事情……?」

「ああ、さっきウィニーちゃんの複合極大魔法、あったろ? アレ見てさ……創ってみたいなって、思ったんだ」



 二つの究極の力を組み合わせた先に、どんな凄い道具があるのか。

 俺は、見てみたいと個人的に思ってしまったのである。



「……ヴィル様らしいです」

「もちろん、勝算もおありのことでしょう?」



 そうだ。

 まあ好奇心からってのも強いんだけど、二つを組み合わせれば、炎の魔神がやどす炎を、どうにかできるって予感がするのだ。



「ふたりとも、いいか?」

「「ええ、もちろん!」」

「おっし……じゃあ、俺に向かって、神器解放リリースを行ってくれ!」



 神器解放リリース

 それは、神器に秘められし力を解放して、相手にぶつける、神器使いの最大の奥義だ。



 二人はうなずいて、レイピアと長槍を構えて、力を解き放つ。



「「神器解放リリース……!」」

「超錬成……!」



 ふたりの勇者の力、そして、俺の黄金の手の力が、渾然一体となって……。

 新たなる伝説が、産まれようとしてる、そんな予感に、俺はただひたすらにワクワクしてた。

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