180.勇者集結
「……ヴィル様っ」
氷の聖剣、アイス・バーグの使い手、キャロライン。
クールな印象を受ける彼女が、頬を赤らめ、俺の腕にくっついてくる。
「悪いな、呼び出して」
「……気にしないでくださいっ! ヴィル様のためなら、たとえ火の中水の中です!」
彼女ら勇者にも自分の生活がある。
俺の都合で呼び出すってことは、迷惑かけるってことと同義だからな、気にしてたんだ。
でもキャロラインは笑顔だった。
どうやらちょうど暇だったみたいだな。良かった。
「ヴィル。久しぶりですね」
「悪いな、ペルシャ」
「いいえ、あなたのためですもの、喜んで」
獣人の女王ペルシャ。
こないだ訪れた、獣人国ネログーマの長だ。
彼女だって忙しいだろうに、来てもらえてうれしかった。
「勇者様がた! おひさしぶりです!」
ポロが二人に頭を下げる。
ペルシャは微笑みながら、キャロラインはクールな表情でうなずく。
「ポロさん、少し見ない間にとても成長しましたね。娘もびっくりすると思いますよ」
そういや、ポロはペルシャに訓練着けてもらっていたことがあったな。
その彼女から見ても、ポロは成長してるように見えるのだろう。
俺も同意見だぜ。
「……それで、ヴィル様。敵は?」
「あれだ」
炎の魔神を指さして言う。
今はヨウが、魔法矢でひとりで対処してるところだ。
「まあ、フォティヤトゥヤァの勇者さまじゃあありませんか」
「……またヴィル様に違う女が。くそが」
俺は二人に言う。
「あの熱のせいで近づけない。ふたりの力で、あの炎をなんとかしてくれ」
ふたりがうなずくと、それぞれ聖剣を手にする。
レイピアの形をした、氷の聖剣アイス・バーグ。
長槍の形をした、水の聖剣アクア・テール。
彼女らの力が合わされば、あんな炎なんてへでもないだろう。




