174.ふたりで戦おう
俺たちの前には巨大な、炎の魔神が現れている。
人間っぽい上半身を持つそいつは、精霊のイフリートってやつに似てるように見えた。
だがでかい。
桁外れにでかい。多分聖剣ファイア・ローを取り込んで、そのパワーを使って動力としてるのだろう。
「一旦護神像に戻るでありますか?」
「いや……ポロ! 下がっててくれ……!」
俺は空中を飛んでいる護神像、アールマティ。
それを操作してるポロに向かって声を張り上げる。
ポロはおとなしく俺の言うことを聞いてくれた。
回転するカメはどこかへと飛んでいく。
「な、なんででありますか?」
「相性の問題だな。カメの回転アタックしようとしたら、多分溶けちまうしよ」
「た、確かに……あの中にはたくさんの砂漠エルフさんたちがいるし……じゃあどうやって倒すのであります?」
「ま、俺とおまえでやるしかないでしょう」
戦闘員は俺とヨウだけだしな。
ポロは一旦離脱してるわけだし。
「い、いけますかね……うち、ヴィル様の足を引っ張っちゃうんじゃ……」
「大丈夫大丈夫。てゆーか、おまえが居れば勝てるよ。優秀な狩人だしな」
「でも……ローがいないし……」
俺は笑って、ヨウの頭を撫でる。
「んじゃ、俺がローの代わりにおまえをサポートする。ふたりで倒そうぜ!」
ヨウは目を閉じて、小さくうなずく。
その目にはさっきまでのような、迷いは感じられなかった。よし。いくか。




