169.キャッチボールできてない二人
初対面の人を、なんか知らないが怒らせてしまった。反省。反省? しようにも、俺なにかしたのかなぁ……。
「まあいい、どっちにしろ空中要塞の攻撃は辞めてもらいたくて、ここにきたんだ。止めてはくれないかな?」
「殺す!」
会話のキャッチボールができてないんだが……。
と、思ってると、彼女はその手を地面に付ける。
「ボクの名前はウィニー! おまえを殺す……女の名前だ!」
「そうか、ウィニーちゃんっていうのか! 若いのにこの物作りセンス、たいしたもんだと思うぜ? どこで習ったんだ」
「殺す!!!!!!!!!!!!!」
だからキャッチボール……。
ううん、物作りは良いセンスしてるのに、どうやら職人として重要な、忍耐力ってもんが備わっていないようだ。
「できれば話し合いで……」
「もう殺す! すぐ殺す!」
ごごごお……! と地面が揺れ出す。
すると床、および天上から、無数の腕が生えてきた。
「おお! すげええ!」
壁が変形? 錬成の魔法?
いや、わからねえ!
わからねえから面白い!
「う゛ぃ、ヴィル様! 感心してる場合でございますか! 攻撃してきますよ!」
「ねえちょっと分解してみせてもいい?」
「話聞いてない!?」
いやそれよりさぁ、ねえ!
壁や床がそんな、腕みたいに生えて、ぐねぐね動いてるんだぜ?
どんな原理でうごいてるんだろぉ!
気になる!
「死にさらせえええええええええええええええええええ!」
腕が殺到してくる。
無数の壁から生えたそれらを……。
「よいしょぉおおい!」
俺は神槌ミョルニルで、ぶったたいてこわした。
「ガンコジーさんが、言っていた。職人は口でなく、目で見て、手を動かし、己がものにしろとな! つまり、そういうことだろ?」
俺と物作りバトルがしたいんだな!
「殺す!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




