157.ムササビ
空中要塞を外側から破壊できないと思った俺は……。
要塞の中へと、侵入することにした。
この護神像の操作をポロに任せて、俺は出口へと向かう。
後ろからは火の勇者ヨウが走って着いてくる。
「ここにいてもいいんだぞ」
「あ、あぶないでありますよ! ひとりで敵陣に攻め込むなど!」
「そっか。サンキュー。心配してくれてよ」
でもまあ大丈夫なような気がするけどな。
まあ直感でしかないんだが。
俺たちは護神像の口から、すぽんっ! と飛び出す。
「あ、いけね。空飛ぶ対策してなかった」
「ええええええええええええええええええええええええ!?」
護神像がいるのは、フォティヤトゥヤァの上空。
俺たちは空中に投げ出されて、一気に下へと落下していく。
「ファイア・ロー……ない! やばい、終わりでありますぅううううううう!」
「大丈夫だって。■、オープン」
■とは、この右手、黄金の手に備わった機能のひとつ。
作った物を収納しておける、まあアイテムボックスだ。
俺は■から、前に作った魔道具を取り出す。
「二枚の……マント!?」
「そう。これをこうして……」
俺はマントを羽織り、もう一枚をヨウに着せる。
「なんでそんな冷静でありますかぁああああああ! おちてるんですよぉおおおおおおおおおお!?」
「うーん、ま、なんとかなるかなって」
マントをつける。
すると……
バサッ……! と風を受けて、俺たちは浮上していた。
「そ、空! 空飛んでるでありますよ!」
「おう、俺が作った魔道具だ。ムササビ外套! 高いところから飛び降りると、こうして風を受けて空を飛べる魔道具さ」
ふよふよ、と俺たちは空に浮いている。
「く、空中浮揚は……とてつもない高度な古代魔法でありますよ……?」
「そうなん?」
「それを道具に付与するなんて……前代未聞であります……さすがヴィル様……」
ま、なんかよくわからねえが、とにかく、作った魔道具が正常に働いて、よかった!
「っしゃいくぞ、ヨウ! 空中要塞に突撃だ!」
俺はムササビがそうするように、びろーんと手足を飛ばす。
すると凄まじい早さで、俺は前方へと飛んでいく。
目指すは空中要塞……!
「いや、どうやって中に入るのでありますか……?」
「入口、ひらきっぱなしだろ?」
「ま、まさか……」
そのまさかだ。
「砲台が、そこにあるじゃあないか。なあ?」
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