123.友達
新しいスタイルを手に入れたポロ。
ヨウとの模擬戦中……。
「でやぁ……!」
ポロのナイフの一撃が、ヨウの髪の毛をかする。
はら……と髪の毛が宙を舞う。
だが、次の瞬間、ポロはぐるんと回転。
気づけば地面に、大の字になって倒れていた。
「ハッ……! ハッ……! ハッ……!」
「……お疲れさま」
ポロは疲労で一歩も動けない。
だがヨウは汗一つかいていなかった。
やっぱりだ……。
手を抜いていたというか……本気を引き出せていなかった。
「ご指導……ありがとう……ございました……」
そう、結局のところ、これは訓練だったのだ。
ヨウは全然本気では無い。
こっちは聖剣を装備しているのに対して、ヨウは通常の武器を使っている。
それに、ヨウはたしか、魔法矢という特殊な矢を使ってきたはずだ。
聖剣を使わず、魔法矢すら使わせられなかった。
完敗だった。
「……ううん、あなたは、すごいよ。剣を握って、まだひとつきも経ってないのでございましょう?」
「え、あ、はい……」
「ものすごい武芸の才能でございますよ。あなたは、すごい勇者になれまする」
「そう……ですか……」
凄い人に褒められて、うれしくなるポロ。
……ん?
「え、よ、ヨウ様……? 普通にしゃべれるんですか?」
「え、あ、うん……わたくしめは、その、陰キャでございまして……初対面の人だと、だいたい無愛想になってしまうんでございまする」
「そ、そうなんですか……」
でも、じゃあなんで普通にしゃべれてるんだろう。
「ポロさんは……その、初対面じゃないというか……その……わ、わたくしめと遊んでくれたし……でへへ、友達かなぁって」
友達って言ってくれたのが、うれしかった。
けど遊びといわれてしまった……。
まだまだ、自分は足りてないものがおおい。
「あ、あの……わたくしめは、なにかご不快にさせるようなこと、言ったでございまするか?」
……いや、悪気は無いんだ。
あくまでヨウにとって、さっきの模擬戦は遊びのようなものだったんだ。
「いえ、お相手してくださり、ありがとうございます、ヨウ様」
「う、ううん……いいのでございます。それとその……様はやめてほしいのであります」
「じゃあ……ヨウ、さん?」
ぱあ……とヨウがうれしそうな笑みを浮かべる。
「でへへっ♡ 友達できた~♡」
さんづけで友達認定されるなんて……。
よっぽど、友達が少なかったんだろうなぁとポロは思ったのだった。
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