121.新スタイル
ポロはヨウとの模擬戦を繰り広げていた。
闇に隠れて攻撃を放ってくるヨウ。
一方でポロは防戦一方だった。
『ポロよ、まずいな』
『ままぁ! どうしよう!』
一つ……試したいことがあった。
「夜空様……」
『む? なんじゃ』
「こういうことってできますか?」
ポロは闇の聖剣夜空に、思いついたことを告げる。
『なるほど……』
「あなたを否定するつもりはないんです。ただ……」
『わかっておる。それが最適じゃと、思ったんじゃな?』
ポロがうなずくと、うれしそうに夜空が言う。
『あいわかった。ぬしの言うとおりにしよう』
「ありがとう!」
ポロがそう言うと、二本の刀を構える。
長刀とナイフ、それが今までのポロのスタイル……。
彼女は目を閉じて、刀を構える。
「……勝負を投げたか?」
「いえ、これが私にとっての、現時点での答えなのです」
ヨウが黙ったあとまたも気配を消す。
ポロは目を閉じて、視界を閉ざす。
鋭敏な聴覚がさらに研ぎ澄まされていく……。
シュッ……! と音も無く矢が到達する。
あまり速く、ポロの間合いのなかに矢があった。
だが……。
がきん!
「……!」
間合いの内側に入ってきた矢を、見事、ポロはたたき折って見せたのだ。
その手には……二本の短刀が握られていた。
『ポロは短いナイフを使って、速度と手数を用いて戦う方が向いている。今のわしではその戦い方に会わない。ゆえに……姿を変えさせてもらったぞ。主がやりやすい姿に』
光と闇の短刀を手にした、ポロ。
彼女はヨウとの戦いを通して、新しいスタイルを身につけたのだ。
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