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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
二章

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112.失いし相棒


 ヨウが風呂に入ってるとこへ、ヴィルが間違って入ってきてしまった。

 ヴィルは慌てて外に出る。


「す、すまん……風呂場一個しかなくてな。増やすわ」

「い、いえ……」


 なんてことだとヨウは落ち込む。


「お見苦しいものを」

「いや、だから見苦しくなんてねえよ」


 ヴィルは優しいからそう言ってくれるのだ。

 周りにそう言うってくれる人は、ヴィル以外にはいなかった。


 いや……ひとり、否、一本いたか。


【気合い気合い気合いだー!】

【可愛い可愛い可愛いぞー!】

【頑張れ頑張れ頑張れー!】


 そう、あの暑苦しい、火の聖剣ファイア・ロー。

 彼はいつだって、自分を励ましてくれていた。


「あ……」


 ふとしたきっかけで、ヨウはローを思い出した。

 いつもそばにいた時は、やかましくて仕方ないと思っていた相棒。


 けれどいなくなって、彼女は気づいた。

 だいぶ、彼に支えててもらっていたことを。


「ひっく、ぐす……」


 気づけば涙がながれていた。

 泣いてはいけないと思っても、次から次へと涙がこぼれ落ちる。


「ローのやつ、絶対俺が助けるよ」


 ドアを挟んだ向こうから、ヴィルの固い決意のこもった声がする。

 彼の言葉が胸に空いた傷に入ってくる。


 感謝の気持ちとともに、彼への愛する気持ちで溢れていた。

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