108.待ち構える被造物
《ウィニーSide》
七福塵から生み出されし作品、ウィニー。
今まで二度ヴィルと戦い、そのどちらにもワンパンで負けていた。
「くそくそくそが……ああ、腹立つ……」
ウィニーがいるのはミダガハラ火山のなか。
マグマのなかに、まるで温泉のような気軽さで入っている。
「あの野郎……八宝斎……! 次こそはぼくが勝つからな!」
そのとき、カサカサ……と虫が近づいてくる。
それは目玉に手足が生えた、気色の悪い虫だ。
「ん? なに……?」
その虫がウィニーの手のひらのうえに乗っかる。
これはウィニーの体の一部を、切り取って変形し、作られた使い魔だ。
「なんだって! 八宝斎……ヴィルのやつがこの島に来てるだってぇえ……!」
にちゃあ……と邪悪な笑みを濃くする。
「チャンス到来だ! 三度目の正直っていうしね!」
またも負けるだろうに、勝つ気満々のウィニー。
「次はぼくが必ず勝つさ。なぁに……新しい武器も手に入れたしねー……」
風呂床のうえには、1本の美しい弓が置いてある。
火の聖剣、ファイア・ロー。
ヨウから略奪した武器だ。
「これを新しいパーツとして体にうめこめば、さらにぼくは強くなる。そうすれば八宝斎なんて、けっちょんけっちょんにできるさぁ……! げひひひ!」
ウィニーはファイア・ローを手に取ると、大きく口を開き……。
ごきっ、ぼき……と顎を変形させ、人ひとりくらい丸呑みにできるくらいに、大きく口を開く。
「あーーーーん……」
そのままファイア・ローを、ウィニーは丸呑みする。
顎を戻して、ごくんと弓を飲み込んだ。
「げひ……! げひひ! 待ってろう゛ぃーーーるぅううう……聖剣を取り込んで、さらに進化したぼくが、君をぶっこわしてやるからねえ……! げひひっ! パパの最高傑作は、このぼくだってこと、証明してやるよぉお!」
ウィニーは高笑いしながら、自分の体を、ごき……ぼき……と変形させるのだった。
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