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第91話 破天荒な悪天候

朝、激しい雨と風の後で目が覚めた。外を見ると、凄まじい量の雨が降っていた。

テレビで今の状況を見ると、どうやら台風が直撃してしまっているらしい。

旅館のロビーに向かおうと扉を開けた時、目の前に昨日色々と案内してくれた店員が立っていた。


「おはようございます、優様」

「おはようございます」

「本日、お帰りのご予定でしたよね?」

「ま、まぁそうだけど。今日は帰れそうにないですよね」

「はい、電車も止まっておりますので。外に出るのも危険ですし今日も泊まって行ってください。追加料金はいただきませんので」

「そ、そんな悪いですよ・・・」

「では、今度何かしらでお返してもらえればそれで」

「俺にできることなんて限られてるんですが・・・まぁ、そういうことでいいですよ」

「ありがとうございます。ところで朝食はどうしますか?お部屋で食べるのなら持って来ますが」

「あ、それなら持って来てもらってもいいですか?」

「かしこまりました」


さて、朝食を待っている間に母さんに事情説明しておかないとな。

・・・ん?玲子とクレアから?って二人とも内容同じかよ。

返信は、両方同じでいいか。ていうかなんであいつらは俺が一人で出かけてたこと知ってるんだ?

俺、あいつらにこの事話した覚えは無いんだが・・・

まぁいいか、それよりも今日どうするかだな。本来であれば今日帰るはずだったし。

外にも出られないとなるとやることが限られるな。何をするか考えている時、扉が開いた。


「失礼します、朝食をお持ちしました」

「あ、ありがとうございます」

「それでは、食べ終えた頃にまた戻って来ますので」


そう言い残すと静かに部屋から立ち去って行った。

とりあえず考えるのは後にして、冷めないうちに食べてしまおう。

焼き鮭に卵焼きに味噌汁と沢庵、そして白いご飯。実にいい朝食だ。

そうだ、これを食べ終わったら風呂に入ろう。そこでゆっくり考えればいいしな。

お、この沢庵美味いな。久しぶりに食べたが漬物もいいな。家にまだ漬物残ってたかな。

まぁ、なかったらまた漬ければいいか。

ふぅ、ご馳走さま。さてと、風呂に行きますか。

今日は外を見てても荒れてるところしか見れないな。

でも、こう荒れてるとなんか外に出て見たくなるというか・・・

っは!いかんいかん、流石に危険すぎる。

それよりもこの後のことだよな・・・と言うか一人だとあまりすることないな。

あー、でももしかしたら誰かいたりするかもな。それこそ燐とかならあり得そうだけど。


「失礼します、食器を片付けに参りました」

「あ、ご苦労様です」

「おや、お風呂にいらっしゃいましたか」

「えぇ、まぁ一人ってあまりすることがないのでゆっくりしようかなと」

「それも良いと思いますよ。では、私はこれで」


だいぶ温まったし、上がるか。

さて、上がったは良いものの何をしよう・・・

一人だと暇だな、でもあいつなら呼んだら来たりしてな


「おーい、燐いるか?」

「なんですか?」

「うぉ!?」

「何で驚くんですか・・・」

「い、いやこ、ここ俺が取った部屋じゃないんだぞ!?特別に案内されて」

「知ってますけど」

「じ、じゃあなんでお前がここにいるんだよ!!」

「なんでと言われましても、昨日から家族と泊まりに来てたので」

「あ、そ、そうか。そうだよな・・・いやいやいや!!それでもここにいる理由がわかんないんだけど!」

「それは、優さんに呼ばれた気がしたので」

「お前、もう凄いよ・・・まぁなんでも良いや、ちょうど暇だったんだよ」

「なら私達の部屋に来ますか?姉さんが酔っ払ってるのでむしろ来て欲しいんですけど」

「あの人、俺のこと抱き枕にしようとするから嫌だ」

「・・・この前抱かれてた時は嬉しそうでしたけど?」

「み、見間違えだ!!」

「そうですか。なら、仕方ありませんね」

「ほっ・・・」

「ですがそれは理由にはなりません。私も休みたいので姉さんの相手をお願いします」

「は!?お前それはないって!!俺だって休みにきたんだし・・・」

「姉さんに暴走されても困るのでさっさと行きますよ優さん」

「お、俺の休日があああああ!!!!」


その後、優は燐が帰ってくるまで燐の姉である奏蘭の相手をしていた。

そして燐が部屋に戻って来た時に目に映ったのは、とても上機嫌で眠っている奏蘭と既に気を失いかけながら姉に抱かれている優の姿だった。

燐も流石にこの状況は優に申し訳ないと思っていた。

その後、燐の姉にはしばらくの間お酒禁止が言い渡されたそうだ。

お読みいただきありがとうございました。

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