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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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「そろそろ教えてくれ。この中に木村部長と火野先輩を恨んでいる人物はいるのか」

 有安からの質問を聞き、堂本が挙手する。

「それなら成瀬先生が怪しいよ。占い同好会を占い部に昇格させるために、木村部長と火野先輩と対立していたから。それに形岡さんは占い部に昇格させることに賛成派だったようですし」

 堂本は成瀬の顔を見る。成瀬は一度歯を噛みしめ弁明する。

「私は違う。確かに形岡君とは占い部昇格のために協力していた。だが形岡君の自殺が関係しているのなら土田君が怪しいのではないか」

 成瀬に指摘された土田は首を横に振る。

「僕は形岡さんと付き合っていたけど、殺意はありません。そういえば形岡さんには二歳年下の妹がいます。名前は氷川希さん。離婚して苗字が違うそうですが。形岡さんの父親は薬剤師だったとか。だから火野先輩殺害に使った毒物の入手経路を考えると氷川さんが怪しいですね。姉を殺されたという動機も考えられますし」

「形岡美鈴は私の姉。父親が薬剤師というのも事実。姉を自殺に追い込んだ人を恨んでいるのも事実。だからと言って殺すわけがないでしょう。私はタロットカードが示す運命を受け入れる」

 氷川は裏返しになったタロットカードの束から一番上に置かれたカードを引く。有安たちに見えるように出されたカードは正位置の女帝だった。

「ほら。正位置の女帝は包容力を意味しています。包容力があるということは許せているということでしょう」

「どうでしょうか。マジックでありますよね。相手に必ずマジシャンが予め選んだカードを引かせて、予言が的中したという奴。あれと同じことをやってのではないですか」

 金森の指摘を聞き氷川は激怒する。

「タロット占いがインチキだと言いたいのですか。ふざけないでください。あなたも怪しいですよ。金森さん。姉とは親友だったそうですね。火野先輩と木村部長が姉の自殺に関わっているとしたら、恨むのではありませんか」

「私にあの二人が殺せるわけがないでしょう。一番あの二人を恨んでいるのは堂本さんですよね。形岡さんとはそれなりに親しかったですし、彼女の自殺を受けて退部した部員とも仲が良かった。その部員が木村部長の企みで殺されたと聞いて心底恨んでいたでしょうから」

 南野朱里は五人の話を聞いて呟く。

「あなたたち五人には木村部長と火野君を殺害する動機があるということですね。そして私と有安君。倉崎さんには動機がない」

 南野朱里の推理を聞きながら有安虎太郎は違和感を覚えた。あの五人の中に奇妙な発言をした人物がいる。


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