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占い同好会殺人事件  作者: 山本正純
第二章 矛盾する不可能犯罪
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 第二の殺人事件が発生した頃、有安虎太郎たちは調理場に集まり今後のことを話し合う。

「合宿を中止するしかないだろう。船を手配して浦内島から脱出する。もちろん警察を呼ぶ」

 成瀬の判断に反対する者はいなかった。

「そうと決まったら、遊戯室に集まった方がいいでしょう。この館内部に殺人犯が紛れ込んでいるようですから。とりあえず三班に分かれて三人一組で行動しましょう。一班は通信機器で警察や帰りの船を手配する。二班は火野先輩を呼びに行く。三班は遊戯室で待機」

 土田の提案を聞き堂本が挙手する。

「どうやって三班に分かれるの」

「じゃんけんでいいでしょう」

 九人は三班に分かれて行動する。

 一班に所属する成瀬、土田、堂本の三人は館の敷地内にある小屋に移動する。その小屋には通信機器が揃えられている。


 成瀬が小屋のドアを開ける。だが成瀬は小屋の様子を確認して愕然する。そこにあったのは、無残に壊された通信機器だった。

 土田が小屋を覗き込みながら呟く。

「どうやら我々は亡霊風水によってこの浦内島に閉じ込められたようですね」

 その頃二班に所属する有安と南野は火野の個室に向かっていた。

「南野先生。少しだけ聞きたいことがあります。青いアウディ・R8。この自動車に心当たりがありますか」

「その自動車がどうしたのでしょうか。私はその自動車のことを知りませんが」

「目撃者がいます。あなたは青いアウディ・R8の助手席から降りました」

「ああ。あの自動車がアウディ・R8という自動車だったのですか。どうも自動車の名称には疎いので」

「それで運転手は誰ですか」

「答える義務はありません。プライベートの問題ですから」


 南野は微笑みながら火野の個室の前に立つ。開かれた火野の部屋のドア。そこには異様な光景が映し出されていた。

 そこにあったのは右腕で缶ジュースを握りつぶし、左手で胸を押さえた状態でうつ伏せに倒れた火野の遺体だった。

 開けられた火野のドアの近くには未開封の黒い封筒が落ちている。床は火野が手にしている缶ジュースから零れたオレンジジュースで濡れている。

「不可能犯罪。火野先輩が自分の部屋に籠ってから五分しか経過していない。そんな短時間で犯人は火野先輩を殺害した。そしてこの館にいる八人全員にアリバイを証明する証人がいる」

 南野は有安の推理を聞き、冷静に分析する。

「つまりまた八人全員のアリバイが証明された状態で殺人事件が発生したということですね」

「ただし条件がある。ある事実が確認された場合の話だが」

 有安虎太郎は白い手袋を両手に填めてから火野の部屋に落ちている封筒を回収する。

 その後で有安はクーラーボックスを開ける。クーラーボックスの中には七本の缶ジュースが入っていた。

「南野先生。もう一つ確認したいことがあります」

 有安と南野と共に確認を済ませた後で遊戯室に戻る。


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