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ウザいけどカワイイ後輩と四六時中ダベる日々。  作者: かるたっくす
2年・春――後輩、ときどき押しかけ新妻的な日々
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57.元部長からの事情聴取



 冴姫さんがホワイトボードの前まで移動する。彼女がまだデブ研の部長だった頃、文化祭の前はこうしてよく部誌の編集会議をしたもので、不意に懐かしさがこみ上げた。


「いくつか質問をしていくから、秋月君にはできるだけ正直に答えてほしい。いいね?」

「いいですけど、まるで容疑者になった気分です」

「それは言い得て妙かも。私が敬愛するポアロに則ったやり方だから。まず最初に、秋月君は志賀さんのことが好き?」

「ノーコメント」


 俺の即答に、冴姫さんはわざとらしく困った顔をする。


「秋月君、今しがた約束したことをいきなり破るの?」

「冴姫さんがいきなり変なこと言うのが悪いんです」

「正直に答えればいいだけなのに。好きか嫌いか。ノーコメントなんて一番面白くない」

「面白がってもらうために話してるわけじゃないですから」


 静かな抵抗を続ける俺。

 さすがの冴姫さんも諦めたのか、「しょうがない」と言葉を継ぎ、


「質問を変えよう。今度は真面目に」

「やっぱり真面目じゃなかったんですね……」

「緊張を解いてもらうためのスキルだよ――秋月君が志賀さんと初めて会ったのはいつ、どこで?」

「四月、学校が始まってから最初の部活の日です。この部室で」


 ようやくちゃんとした聞き取りが始まり、俺も一応記憶をたどりながらまともな答えを返す。


「それが本当に初めてなんだよね?」

「俺が覚えてる限りでは……ただ、あいつの口ぶり的には、そうじゃないみたいですけど」

「というと?」

「いつかは分からないんですけど、向こうは俺とどこかで会ってるみたいなことを言ってて」

「なるほど。でも秋月君には身に覚えがないんだ」

「そうですね。中学は一緒でしたけど、そこそこ生徒いる学校ですし、学年も違いましたから。話す機会なんて」


 俺の話を聞きながら、冴姫さんはホワイトボードに整理した情報を書き込んでいく。走り書きのくせにやたら字が上手い。


「確か、志賀さんは秋月君の友達の妹さんなんだったよね」

「まあ、友達というか知り合いレベルですけど。学校で話すくらいですし」

「放課後とかお休みの日、一緒に遊びに行くとかもなかったってこと?」

「まったく。志賀はバスケ部でしたから、放課後も休みの日も練習ばっかりでしたよ。たとえ暇でも遊びに行ってたかは疑問ですけど」

「本当にまったくない? だとしたら友達とは呼べないかもね」

「いや、だから知り合いレベルだって……」


 やんわり突っ込みつつ、志賀とのこれまでについて思い返してみる。

 大抵は教室で、しかも向こうから絡んでくることばかり。あとは昼飯を一緒に食べるくらいだが、それは中三でクラスが一緒だった時に同じ班で給食を食べていた頃の名残りみたいなものだ。

 ――いや、中三といえば。


「そういえば、志賀と学外で会ったことありました。中三の時、志賀に誘われて試合を見に」

「試合って、部活の?」

「はい。地区大会の決勝戦が近くの体育館であって、負けたら中学最後の試合になるかもしれないから応援に来てくれって」

「それで、秋月君は行ったの? 応援に」

「志賀がそんなこと頼んでくるのは珍しかったので、一応」


 冴姫さんは「ふむ」と顎に手を当てる。


「もしかしたら、その時じゃないかな」

「その時?」

「君が志賀さんと初めて会ったの――女子の試合も同じ会場で行われていたのだとしたら、可能性はあるわ」



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