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ウザいけどカワイイ後輩と四六時中ダベる日々。  作者: かるたっくす
2年・春――後輩、ときどき押しかけ新妻的な日々
27/57

27.一応、顧問はいる



 例によって放課後なわけだが、今日は水曜日。休日を除けばデブ研の活動が唯一休みと決まっている曜日である。

 今となっては俺が部長なのだから、俺が部室を開けるかどうかのさじ加減みたいなところもあるが……どうせ文化祭前までは大した活動もないわけだし。


 ひとまず今日の放課後は、まっすぐ図書室に向かうと決めていた。

 本を借りたり返したりで毎日のように訪れてはいるが、今日に限っては別の目的――曜日限定で司書の代わりをしている先生に会うためだ。


小鳥遊たかなし先生、ちょっといいですか」


 無人のカウンター越しに準備室の方へ呼びかけると、中から「は~い」と独特な甘ったるい声。

 ほどなく現れたのは、司書教諭の小鳥遊奏美(かなみ)先生。正規の図書館司書がいない曜日や時間帯に司書業務を行っている人で、普段は普通の音楽の先生でもある。


「あら、秋月君。今日は部活じゃないの?」

「水曜日は休みですって、去年も言った思うんですけど」

「あ、いっけない。そうだったわね。ごめんなさいね、私ってば顧問なのに」


 謝っているとは思えないほど柔和な微笑みだった。いつものことだが。

 小鳥遊先生は去年の途中からデブ研の顧問をしてもらっているが、普段は部活にはほとんど顔を出さない。その方がお互い助かるだろう――というのは前部長の言葉だが。


「今日はどうしたの? あ、ついに榊原さんとの成就報告とか? やったね秋月君、これでますます私が行きづらくなっちゃうわね」

「違いますから。勝手な決めつけで部活に顔を出さない理由を増やさないでください」

「なぁんだ、違うのね。せっかく二人きりにして気を遣ってあげてるんだから、たまにはちゃんとアタックしなきゃ」


 まったく、どいつもこいつもなんでこう色恋ばかり……。

 余談だが、小鳥遊先生は男女問わず人気がある先生らしい。

 まだ二十代半ばと比較的若く、見た目もまあ、可愛らしい部類に入るのだと思う。冴姫さんのようなクールな感じではなく、優しいお姉さんのような雰囲気がウケているのだとか。


 しかし俺がどうも苦手だ……用事がある時くらいしか話さないにもかかわらず、俺が冴姫さんに抱いている密かな好意をいとも簡単に見抜いてくる辺りとか、それを遠慮なしにいじってくるところとか。

 この人といい志賀といい、俺はそんなに分かりやすい人間なのだろうか。自分ではむしろポーカーフェイスな方だと思っているのだが。


「与太話はいいですから。それに、冴姫さんは予備校でもうほとんど顔出さないみたいですし」

「あら、そうなの? それじゃあ今は秋月君のソロ?」

「それならそれでよかったんですけどね……まあ、こういうわけです」


 溜め息混じりに言いながら、俺は鞄から取り出した書類をカウンターの上に置く。

 それは一昨日に受け取ったまま提出するのを忘れていた、志賀の入部届だった。


「まあ、新入部員? よかったじゃない、ぼっちにならなくて」

「さっきはソロと言っておいて、なぜぼっちと言い換えたのかは意味不明ですが……まあ、廃部は免れそうなのではそこはいいんですけどね」

「そこはって、なにか気に入らないことでも? もしかして、榊原さんとの恋路を邪魔する好敵手現れたり、みたいな?」

「いや、よく目を通してくださいよ。名前的にどう見ても女子でしょう」

「あら、榊原さんとの恋路に関しては否定しないんだ。ふぅん」


 意味ありげに細めた目を俺に向けたのち、入部届を手に取る先生。

 この人も別ベクトルでウザいな――と心の中で毒づいていた時、先生は「あら?」と声を上げ、


「この子って、もしかして金髪の子じゃない? それも凄く可愛らしい」

「可愛らしいかどうかはともかく、金髪ではありますね。知ってるんですか?」

「ええ、昨日の休み時間にね。ちょうど私がカウンターにいた時に来た子だったの。まだこの時期は一年生が来るのって珍しくて、それもすっごく目立つ感じの子だったから覚えててね」


 先生が名前を顔と名前を覚えていたということは、なにか本を借りたのだろうか。しかも昼休みや放課後ではなく、普通の休み時間にか。

 少し意外な気がした。読書が趣味とは聞いていないが……一応、本を読む気はあるということなのか。

 あるいはまたなにか、俺をからかう企みのためなのか。


 志賀がどんな本を借りたのか興味深くはあったが、やがてほかの生徒たちも図書室を訪れ始めると、俺がカウンターを占領しているわけにもいかなくなった。


「じゃあ、とりあえずそれは提出したんで。俺はこれで」

「はい、ちゃんと受理しました。せっかくだから、私もそのうち顔を出すわね。秋月君にとっては別の意味でライバルかもだし」

「そういう目的なら別に来なくていいんですけど……あっ」

「どうしたの?」

「……いえ、なんでもないです」


 先生が入部届を手にした時、ふと志賀の連絡先――携帯電話の番号を、俺も控えておきべきじゃないかと頭をよぎった。

 が、わざわざ電話するほどの用件もないし、部長だから把握しておかなければいけないわけでもないだろう。先生が知っていればそれでいいだけなのだから。



明日も投稿できるよう頑張りますが、時間は未定です。

更新できなかった時はすみません…。

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